法人向け火災保険とは

法人向け火災保険とは

法人向けの火災保険は、法人の建物、設備・什器備品、商品・製品等の損害に加え、被災した場合に生じる休業損害等、法人固有のさまざまな損害に備える補償があります。

事業内容や物件の状況によって必要な補償が異なりますので、自社に適した火災保険のプランニングを行うためにも、法人向けの火災保険の補償内容を知っておきましょう。

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法人向け火災保険の補償内容

保険の対象

保険の対象

法人向け火災保険では、同じ敷地内にある法人が所有している建物、設備(屋内・屋外)・什器備品、商品・製品等(屋内・屋外)が保険の対象です。その中から補償が必要なものを選んで、それぞれに保険金額を設定します。

建物に固定されている設備や看板、門・塀、車庫・物置(66㎡以内)等は建物に含まれますが、建物に固定されていない屋外の設備や看板は屋外設備として別途補償の対象にする必要があります。

また、委託商品や倉庫業者等が管理している他人が所有する財物等は、預り品を補償する受託物賠償責任保険等での備えが必要です。

保険金額

保険金額

保険金額は再調達価額(同等の物を新たに建築したり、買替えたりするのに必要な金額)で設定し、実際の損害額が支払われる実損払い方式で加入することができます。(商品・製品を除く)

保険金額が評価額と同額になっているかは注意が必要です。評価よりも高い金額設定にすると保険料過多が生じ、評価よりも低い金額設定にすると事故発生時に損害額全額が支払われない場合があります。評価額よりも低い金額設定を希望される場合は、約定付保割合を設定し、補償限度額を下げることができます。

例えば、再調達価額1億円の建物に約定付保割合70%を設定すると保険金額は7,000万円となり、万が一全損となった場合には、建て替え時に大きな自己負担が発生しますが、一部損等の場合には損害額と同額の補償を受けることができます。

補償内容と補償例

火災保険では、基本補償である火災、落雷、破裂・爆発による損害の他、さまざまな損害を補償します。

1.主な補償

補償内容 補償例
火災、落雷、破裂・爆発 作業中の火災や爆発による工場の損壊、落雷による機械の損害等を補償
風・ひょう・雪災 台風や竜巻による自社建物の損害、大雪で工場の屋根がつぶれた等の損害を補償
水災(洪水・土砂崩れ) 集中豪雨による店舗への床上浸水、土砂崩れで事務所が倒壊した等の損害を補償(保険会社・補償プランによって床上浸水等の条件や支払い方法が異なる)
盗難、水漏れ、物体の落下・衝突等 泥棒によるドアや窓ガラスの破損や設備の盗難、道路を走行していた車両の衝突による損害等を補償(商品等の盗難補償はプランによっては対象外となり、特約が必要な会社もある)
破損・汚損 構内で商品を移動中に落としてしまった、作業中に器具を壁にぶつけて穴をあけてしまった場合等の損害を補償
電気的・機械的事故 過電流で設備が壊れてしまった、リフトが故障して動かなくなった等の損害を補償(劣化・消耗・虫食い等が原因の場合は対象外)

これらの補償を自由に選べる火災保険と、一定の補償をセットしたプランから選ぶ火災保険があります。補償の選択方法は、例えば、洪水や土砂崩れのリスクについては、ハザードマップを活用してリスクの大きさを確認し、補償の必要性を検討します。

また、基本補償では、地震・噴火・津波が原因の損害は補償対象外です。事業専用の物件は原則地震保険に加入することができません。ただし、事業用でも居住部分がある物件は地震保険に加入できます。居住部分がない物件は地震危険補償特約を付けることで補償されますが、保険会社の判断によっては加入できない場合もあります。

2.その他の補償やオプション

法人の財産の補償のほか、損害が発生した場合の費用や利益の補償、賠償責任を負うことになった場合の補償等を火災保険に付けることができます。

費用保険金

各種費用保険金は損害保険金が支払われる場合に補償され、自動セットされている保険や、自分で選択する保険等、保険会社によって異なります。

主な費用保険金 補償する内容例
臨時費用保険金 臨時に必要になる費用に対する補償
修理付帯費用保険金 復旧にあたり生じた損害原因調査費用等、保険会社が認めた費用を補償
損害防止費用保険金 火災、落雷、破裂・爆発の事故で損害の拡大防止のために使用した消火薬剤の再取得費用等を補償
処置費用保険金 保険会社指定の災害復旧専門会社による、さびや腐食等による損害の発生や拡大を防止するために行った汚染の調査や汚染除去等の費用を補償(従来の新品交換ではなく、修復により事業を早期復旧できることがある)
失火見舞費用保険金 火災、破裂・爆発事故により、近隣に被害が及んだ時の見舞費用を補償
残存物取片付け費用保険金 損害を受けた対象の残存物の取片付けに必要な費用の補償
地震火災費用保険金 地震・噴火・津波による火災で建物等が半焼以上となった場合等に一定の保険金を補償
休業損害の補償

火災等による被害で休業することになった場合は、収益の減少だけでなく、休業中でも支払わなければならない人件費等の固定費や営業を続けるための仮店舗等の費用等、物の損害の他にも損失が発生します。このような休業による損害を補償します。仕入れ先や納品先の損害により、営業や製造がストップしてしまうことによる休業損害を補償する保険もあります。

家賃補償、家主費用の補償

不動産賃貸業を営んでいる場合の家賃補償です。賃貸している建物が火災事故等により家賃収入が途絶えた場合に家賃の損失を補償します。また、住宅物件では入居者が死亡した場合等、いわゆる事故物件扱いになった場合の家賃損失や原状回復費用を補償することもできます。

賠償責任補償特約

火災保険に各種賠償責任補償特約をつけることができる会社もあります。

主な賠償責任特約補償特約 補償する内容例
施設賠償責任 お客さまが施設内でつまずいて転んでケガをした、配膳の際にお客さまの服を汚してしまった等、施設や業務に起因する事故の第三者への法律上の損害賠償責任を補償
受託物賠償責任 他人から預かった物を壊してしまった場合等の法律上の損害賠償責任を補償
借家人賠償責任 借りている物件で火災があった場合等、賃貸建物のオーナーに対する法律上の損害賠償責任を補償

法人向け火災保険の契約方法

通常は敷地内の施設ごとに建物、設備・什器備品等の保険に加入しますが、いくつかの施設をまとめて契約することもできます。その他にも法人向けの火災保険では、さまざまな契約方式があります。

包括契約

包括契約

一定規模の法人(グループ)が所有する複数の物件を包括して契約することで包括契約割引が適用され、保険料を抑えることができます。また、各地に複数の事業所を展開する一定規模の事業者向けに、包括契約と合わせて全体での補償限度額を設定するファーストロス契約方式というものもあり、合理的なプランニングができます。

包括契約には次のようなメリットがあります。

  • 支払限度額や免責金額を設定することで、合理的なプランニングが可能
  • 保険期間の途中で取得した物件も自動補償(保険期間終了後にまとめて精算)される
  • 商品・製品等は在庫価額が変動しても支払限度額を限度に実際の損害額が補償される
  • 書類整理、保険見直し等の管理がしやすい

ただし、次のようなデメリット・注意点もあります。

  • 物件ごとに違うリスクやニーズに合わせたきめ細かい保険プランニングがしにくい
  • 保険会社、保険商品によっては物件次第で包括契約ができない場合がある

免責金額の設定や補償方式の選択

免責金額の設定や、選択する補償方式によっては保険料を抑えることもできますが、注意が必要です。風災補償には免責金額を設定するほかに20万円フランチャイズ方式がありますが、20万円未満の損害の場合は保険金が支払われません。

また、水災補償では、実際の損害額が支払われるパターン、一定の浸水条件に該当した場合に損害額が支払われるパターン、一定の条件に該当した場合に一定額が支払われるパターン等があり、リスク実態に合わせた補償を選択しないと十分な補償を受けられない場合もあります。

法人向け火災保険の注意点

法人向け火災保険の注意点

法人向け火災保険を検討する際、以下の点について注意をしましょう。

  • 保険金額の設定が適切かを確認する
  • 他人が所有する財物が保険金額に含まれていないかを確認する
  • 屋外に看板や変圧器等がある場合は、屋外設備の補償漏れがないかを確認する
  • 賠償責任保険を火災保険に付ける場合、法人向け賠償責任保険等との重複加入に注意する
  • 保険金が支払われない場合について十分に確認しておき、保険でカバーできないリスクは予防等別の対策を考える
  • 保険金が支払われない主なケース(下記)を確認する
    1)契約者や被保険者等の故意もしくは重大な過失
    2)地震、噴火、津波による損害
    3)雨漏りや雨風の吹き込み
    4)事故の時の盗難

まとめ

法人向け火災保険は、補償内容をきめ細かくプランニングできます。自社のリスクに適した補償内容にするため、加入時には補償の対象となる物件の状況をしっかりと把握することが重要です。補償の重複や必要な補償の加入漏れがないよう注意しましょう。

また、法人向け火災保険特有の契約方式、免責金額設定、包括契約等を活用することで合理的なプランニングができるケースがあることも知っておきましょう。

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