中小企業の退職金の相場

中小企業の退職金の相場

東京都産業労働局の平成30年版の調査結果によると、集計企業(従業員10~299名の中小企業)1,060社のうち「退職金制度がある」と回答したのは756社(71.3%)であり、その内訳は以下の通りです。

退職金制度あり 756社100.0%




退職一時金のみ 574社75.9%
退職一時金と退職年金の併用 156社20.6%
退職年金のみ 26社3.4%

よって、退職一時金制度を設けている企業は730社、全体の約7割にのぼります。

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退職一時金の準備形態は?

退職一時金の支払準備形態については、「社内準備」と回答した企業が64.4%で最も多く、次いで「中小企業退職金共済制度」と回答した企業が48.5%になっています。

退職一時金の支払準備形態

※東京都産業労働局ホームページより

中小企業退職金共済制度とは?

中小企業退職金共済制度とは、国の機関である独立行政法人勤労者退職金共済機構の中小企業退職金共済事業本部が運営している中小企業対象の公的な退職金の積立制度です(略称:中退共)。

中小企業者の相互共済と国の援助で退職金制度を確立し、これによって中小企業の従業員の福祉の増進と雇用の安定を図り、企業の振興と発展に寄与することを目的とした制度です。中退共制度を利用すれば、管理が簡単な退職金制度が手軽に作れます。

企業が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付し、掛金は損金算入ができます。退職金は中小企業退職金共済機構から退職した従業員に直接支払われます。

詳しくは、中退共ホームページをご確認ください。

その他の退職金の準備方法は?

養老保険の福利厚生プラン

生命保険会社が販売している養老保険は保険期間中に被保険者に万が一のことがあった場合には死亡保険金が支払われ、保険期間の満了(満期)を迎えた場合には満期保険金が支払われる保険です。

福利厚生プランとして、会社で養老保険に従業員が被保険者として加入した場合には、所定の要件のもとで保険料の1/2を福利厚生費として損金算入することができます。
従業員が在職中に、万が一の場合の保障と生存退職金の準備があわせてできるプランです。

退職一時金の算出方法は?

退職一時金の算出方法については、「退職金算定基礎額×支給率」と回答した企業が44.0%と最も多く、次いで「勤続年数に応じた一定額」と回答した企業が21.5%でした。

退職一時金の算出方法

※東京都産業労働局ホームページより

退職金算定基礎額の算出方法は?

また、算出の基礎となる退職金算定基礎額については、「退職時の基本給」と回答した企業が38.1%で最も多く、次いで「退職時の基本給×一定率」と回答した企業が32.7%でした。

退職金算定基礎額の算出方法

※東京都産業労働局ホームページより

退職一時金を受給するための最低勤続年数は?

退職一時金を受給するための最低勤続年数をみると、3年と回答した企業が、自己都合退職(48.8%)、会社都合退職(29.5%)ともに最も多かった。

退職一時金を受給するための最低勤続年数

※東京都産業労働局ホームページより

退職金の水準は?

モデル退職金 ※1(調査産業計)

※1)モデル退職金:卒業後すぐに入社し、標準的に勤務した場合の退職金水準
※2)支給率(月数):退職金支給額÷モデル所定時間内賃金月額

モデル退職金(調査産業計)

※東京都産業労働局ホームページより

モデル退職金(退職一時金のみの企業)

モデル退職金(退職一時金のみの企業)

※東京都産業労働局ホームページより

モデル退職金(退職一時金と退職年金を併用している企業)

モデル退職金(退職一時金と退職年金を併用している企業)

※東京都産業労働局ホームページより

まとめ

上表の退職金の支給額は東京都の企業のデータなので、地方公務員の給与等を比較した場合と同様、他の地域より高い金額になっていることは想定されます。ただ、いずれの地域であっても、終身雇用や年功序列が諸外国に比べ根強い日本においては、勤続年数の長さと比例して退職金額が増加していくことが見て取れます。

退職金制度は70%以上の中小企業が導入している従業員福利厚生において根幹をなす制度でありながら、企業の状況によってさまざまな準備の方法があります。

国からの掛金助成や税制上の優遇もある中退共など退職金に特化した制度や養老保険の福利厚生プランのように生命保険を活用する方法もあります。

特に、養老保険の福利厚生プランの場合、従業員の遺族への保障(死亡退職金)と定年時等の生存退職金という2つの目的を達成することができます。また、企業の経営状況の変化に応じて増額や解約など柔軟な対応ができることもメリットの一つです。

退職金を準備する方法にはそれぞれ特徴がありますので、企業のニーズに合った方法を早期に導入することをおすすめします。

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