妊娠中に加入したい保険は?
出産までの費用やリスク、公的制度を解説

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妊娠中から出産にかけては多くの費用がかかります。「妊娠や出産にはお金がかかる」という漠然としたイメージはあっても、何にどれくらいの費用が必要なのか、具体的にはよくわからないという人もいるかもしれません。また、妊娠中や出産時にはさまざまなリスクがあり、いざという時のためにリスクに備える方法を知っておくことも大切です。

ここでは、妊娠中や出産時にかかる費用やリスクと、それらをカバーできる健康保険等の公的医療保険や公的制度、妊娠・出産に備えて加入を検討しておきたい保険について解説します。

妊娠から出産までに必要な費用

妊娠から出産までには、さまざまな費用がかかります。病気やケガで医療機関を受診すると公的医療保険が適用されますが、妊娠や出産は病気ではありません。そのため、妊娠・出産にかかる費用は、基本的に公的医療保険の適用外となります。ただ、一部公的医療保険が適用となったり、助成が受けられたりする費用もあるので、事前によく確認しておくことが大切です。妊娠中と出産時にかかる費用について、それぞれ見てみましょう。

妊娠中にかかる費用

妊娠中にかかる主な費用は、妊婦健診費用です。妊娠中は、妊娠初期から出産までに計14回ほど妊婦健診を受け、血液検査等を行う場合は検査費用が必要です。妊婦健診費用は、基本的に公的医療保険適用外となりますが、住んでいる自治体から一部助成が受けられます。妊娠の確定後、自治体に届出を行うと、母子手帳等とともに妊婦健診の補助券が支給され、医療機関の窓口に提出することで妊婦健診費用から助成額が差し引かれます。補助券の枚数や金額は自治体によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

妊娠中は妊婦健診以外に、妊娠高血圧症候群や妊娠悪阻、貧血等で通院や入院が必要になる場合があります。こうした妊娠にまつわる症状の医療費については、公的医療保険が適用され、自己負担額はかかった医療費の3割です。

出産時にかかる費用

出産時にかかる費用は、入院費や分娩費、検査費、処置料等です。自然分娩ともいわれる正常分娩の場合、基本的に公的医療保険が適用されないため、全額が自己負担となります。ただし、出産育児一時金等の公的制度で一定金額をカバーすることが可能です。

一方、切迫早産や帝王切開といった異常妊娠・異常分娩の場合は、手術費や入院費、治療費等に公的医療保険が適用されます。ただし、切迫早産や帝王切開は正常分娩より入院期間が長くなりがちなので、場合によっては自己負担額が高額になる可能性もあります。

妊娠・出産にまつわる入院や手術のリスク

妊娠や出産にまつわる心配ごとは、費用だけではありません。妊娠中から出産にかけては体が大きく変化し、母体や胎児にとってさまざまなリスクが生じます。なかでも、次のようなリスクは、入院や手術を伴う可能性があります。

重度のつわり(妊娠悪阻)

つわりの症状が悪化し、脱水症状や栄養障害、代謝障害等を招く状態を妊娠悪阻といい、入院による治療が必要なケースもあります。場合によっては、頭痛や意識障害、めまい、肝機能障害等の症状が現れることもあります。

切迫早産

妊娠22週以降37週未満の出産を早産といいますが、切迫早産とは、早産となる危険性が高いと考えられる状態のことです。おなかの張りや痛みが規則的かつ頻回に起こる、子宮口が開いている、破水する等、早産の一歩手前の状態で、長期入院になることも少なくありません。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群は、妊娠時に高血圧を発症することで、母体と胎児の両方に大きなリスクがあると判断された場合は、入院が必要になります。妊娠高血圧症候群のうち、妊娠20週以降に高血圧のみを発症する場合を妊娠高血圧症、高血圧とたんぱく尿が認められた場合は、妊娠高血圧腎症と呼ばれます。

妊娠うつ・産後うつ

妊娠中や産後に発症するうつ症状を、妊娠うつ、産後うつと呼び、病院での治療が必要な場合もあります。産前産後は女性ホルモンが大きく変化するため、ストレスに対する脳の抵抗力が低下しがちです。そこへ妊娠や出産、育児に関するプレッシャーやストレスがかかり、うつの引き金になってしまうことがあります。妊娠うつや産後うつの悪化を防ぐためには、早期に適切な治療を行うことが大切です。

帝王切開等の異常分娩

帝王切開とは、腹部と子宮を切開し、外科手術によって胎児を取り出す分娩方法のことです。正常分娩を予定していたとしても、母体や胎児の状況によっては、医師の判断で緊急帝王切開になることもあります。

厚生労働省の「令和2(2020)年 医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」(2022年)によれば、一般病院での分娩に占める帝王切開の割合は27.4%となっており、増加傾向にあります。

流産

妊娠22週未満で胎児が亡くなってしまうことを流産といいます。流産の時期や状況によっては、入院や手術が必要になる場合があります。また、流産の一歩手前の状態を切迫流産といい、入院することも少なくありません。

妊娠・出産時に公的医療保険が適用されるケース

妊娠や出産に関わる費用のうち、医療行為とみなされるものについては、一般的な治療費と同様に公的医療保険が適用されます。公的医療保険の適用対象になるのは、重度のつわり(妊娠悪阻)や切迫早産、妊娠高血圧症候群等に伴う入院費、貧血等の治療費、帝王切開の手術費、陣痛促進剤、吸引・鉗子分娩出術費用等です。

妊娠・出産時に利用できる公的制度

妊娠や出産に関わる費用は、正常分娩であれば基本的に自己負担です。ただ、高額な費用負担を軽減するために、下記のようにさまざまな公的制度が設けられています。公的制度を適用する際には、細かい規定について、必ず事前に確認をしておきましょう。

出産育児一時金

出産すると、加入している公的医療保険から、子ども1人につき50万円(2023年3月31日以前の出産は42万円)の出産育児一時金が支給されます。なお、妊娠週数が22週に達していない等、産科医療補償制度の対象にならない出産の場合は48万8,000円です。

出産育児一時金の支給方法は、公的医療保険から医療機関に直接支払われる「直接支払制度」か、医療機関が被保険者に代わって受取る「受取代理制度」が一般的です。ただし、出産する施設がそのどちらにも対応していない場合は、出産育児一時金が支給されるのは退院後になるため、前もって出産費用を準備しておく必要があります。

出産手当金

働く女性が出産のために仕事を休んで給与が支払われない時には、勤務先の健康保険から出産手当金が支給されます。支給金額は標準報酬日額の3分の2相当額で、出産の日(実際の出産が予定日後の時は出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産の翌日以後56日までの範囲内で会社を休んだ期間が対象です。なお、国民健康保険には出産手当金の制度はありません。勤務先の健康保険に加入していないパートやアルバイト、主婦、自営業、個人事業主等は対象外です。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1か月にかかった医療費の自己負担額が上限を超えた場合に、超えた分の金額が払戻される制度です。上限額は年齢や所得によって異なります。高額療養費制度の対象になるのは、公的医療保険が適用される切迫早産や帝王切開等の医療行為にかかる費用です。正常分娩の費用は適用外となります。

医療費控除

医療費控除は、1年間の医療費が世帯合計で10万円(総所得金額等が200万円未満の場合はその5%)を超えた場合に適用できる所得控除です。医療費控除を受けるには、会社員であっても年末調整とは別に確定申告が必要です。また、医療費控除の対象となる年間医療費は、出産育児一時金や高額療養費、民間の医療保険から支給される入院給付金等を差し引いて計算する必要があります。

傷病手当金

傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んで給与が支払われない時に勤務先の健康保険から支給される給付金で、切迫流産やつわり等で会社を休んだ場合も適用対象になります。金額は標準報酬日額の3分の2相当額で、連続する3日を休んだ後の休業4日目から支給されます。傷病手当金は、出産手当金と同様に国民健康保険にはない制度です。

妊娠中に加入を検討しておきたい保険

妊娠や出産にまつわるリスクは、民間の保険で備えることも可能です。また、出産後は、子育て中のリスクや費用に備える必要もあります。妊娠を機に、次のような民間保険への加入を検討するのもおすすめです。

医療保険:妊娠・出産にかかる妊婦のリスクに備える

医療保険に加入することで、妊娠・出産の妊婦のリスクに備えられます。妊娠前に民間の医療保険に加入している場合、帝王切開等の異常分娩の際には入院給付金や手術給付金を受取れることがあります。重度のつわり(妊娠悪阻)や切迫早産等で入院することになった場合も、保険金を受取れる可能性が高いでしょう。

一方、妊娠後に一般的な医療保険への加入を検討する場合、経過が良好であれば、週数によって新規加入も可能です。ただし、加入できてもその時の出産が保険金の給付対象外になる等の条件が付く場合があるため、事前に確認が必要です。

生命保険:子育て中の万が一に備える

自分や配偶者に万が一のことがあった際、のこされた家族の生活を守るための保険が、生命保険です。妊娠や出産をきっかけに、保護者である自分や配偶者の万が一に備えて、生命保険の新規加入や見直しを検討する人は少なくありません。すでに生命保険に加入している場合は、保障内容を今一度見直してみましょう。

学資保険:子どもの教育費に備える

出産後の子どもの教育費に備えるための保険が、学資保険です。学資保険は、加入時期が早いほど月々に支払う保険料の負担は軽くなります。また、出産予定日の140日前から加入できる学資保険もあります。出産後は何かと忙しいため、加入を検討するなら時間に余裕がある妊娠中がおすすめです。

教育資金準備のポイントについては、下記の記事をご覧ください。
知っておきたい教育資金準備のポイント

妊娠中に必要な保険を見直してみよう

妊娠や出産にあたっては、さまざまなリスクがあり、費用もかかります。妊娠や出産にまつわる費用に不安を感じている場合や、万が一の事態に備えたい場合は、民間の保険に加入しておくのもひとつの方法です。出産後は忙しくなるので、将来的に必要となる保障内容を妊娠中に見直しておきましょう。

保険を選ぶ時は、専門家に相談するのがおすすめです。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。自分に合った保険を検討したい場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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