教育資金の貯め方は?
大学までの資金の平均額と貯めるポイントを解説

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子どもが生まれると、気になるのが将来の教育資金です。子どもの教育には、さまざまなお金がかかります。特に、大学進学のタイミングでまとまった資金が必要になることが多いので、子どもが小さいうちから計画的に準備しておくことが大切です。子どもの教育資金に備えるには、「預貯金」「保険」「投資」という主に3つの貯め方があります。

ここでは、将来に向けて備えておきたい教育資金の目安と、教育資金を貯める3つの方法、それぞれのメリット・デメリットの他、教育資金を貯める際のポイント等について解説します。

教育資金はいくら必要?

子どもの教育資金を貯めるにあたって大切なことは、まず、必要な金額の目安を知っておくことです。

教育費がかかるタイミングは、幼稚園や小学校、中学校、高校、大学進学といくつかありますが、進学する学校が私立か公立かによっても金額が大きく変わります。幼稚園から高校までにかかる費用と大学4年間でかかる費用は、それぞれ以下の表のとおりです。

これらの表から、「幼稚園から高校までは公立、大学は私立文系で自宅通学」というケースを想定して費用を計算すると、教育費の総額は約1,268万円になります。

特に、教育費のなかでも大きな割合を占めるのが、大学進学の費用です。子どもの教育資金は、もっとも負担が大きくなる大学進学の時期にあわせて準備することが多いでしょう。

■幼稚園から高校までにかかる費用の目安(単位:万円)

区分幼稚園小学校中学校高校(全日制)
公立私立公立私立公立私立公立私立
学習費年額1731351675414451105
合計(小学校6年、他は3年)50932121,000162431154316

※出典:「令和3年度子供の学習費調査」(文部科学省)P.1
https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-000026656_1a.pdf)を基に作成

■大学4年間でかかる費用の目安(単位:万円)

区分初年度2年目以降4年間合計
国公立自宅171104481
自宅外305199903
私立文系自宅234152690
自宅外3682481,112
理系自宅272183822
自宅外4072791,244

※出典:「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」(株式会社日本政策金融公庫)P.5~6,P.10~11
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf)を基に作成

教育資金の主な貯め方は3つ

教育資金の貯め方には、大きく分けて「預貯金」「保険」「投資」の3つがあります。

具体的には、預貯金では普通預金や積立預金、定期預金等がよく活用されており、保険では学資保険や終身保険に加入するケースがあります。また、投資の例として挙げられるのが、投資信託や株式、長期的な資産形成が可能なNISA等です。

預貯金で教育資金を貯めるメリットとデメリット

教育資金を貯める方法のなかでもっとも手軽に始められるのが、預貯金です。預貯金で教育資金を貯める場合、家計の状況にあわせて毎月の貯金額を柔軟に調整でき、急な出費にも対応しやすいというメリットがあります。また、積み立てたお金は確実に貯まり、元本割れ等のリスクがないことも預貯金の特徴といえるでしょう。

ただし、インフレが起こると、貯めたお金の価値が相対的に下がってしまうことがデメリットです。また、預貯金は元本割れの心配はないものの、現在は低金利が続いており、資産を増やすことは期待できません。さらに、家計の状況等によっては、計画どおりに教育資金を貯められないこともあります。預貯金で目標金額を貯めるには、毎月の給与から一定額を自動的に貯蓄に回せる自動積立貯金を利用する等の工夫が必要です。

貯金で教育資金を準備する場合については、以下の記事をご覧ください。
学資保険と貯金、教育資金準備に適しているのは?特徴等を解説

保険で教育資金を貯めるメリットとデメリット

保険を活用して教育資金を貯める方法も、多くの人に選ばれています。保険で教育資金を貯めるメリットは、万が一の保障が受けられることや、払込んだ保険料が生命保険料控除の対象になるため節税効果があることです。教育資金を貯める目的で加入する保険には、学資保険や終身保険があります。

学資保険は、計画的に教育資金を準備でき、多くの場合、契約者に万が一のことがあったら、以後の保険料の払込みが免除されることが特徴です。終身保険は、解約返戻金が受取れるため、保険料払込満了時を大学進学時にあわせることで教育資金として活用でき、万が一の際は死亡保険金をのこすことができます。なお、教育資金を目的とした場合、終身保険のなかでも、保険料払込期間の解約返戻金を少なくする代わりに通常の終身保険に比べて保険料が割安に設定されている「低解約返戻金型終身保険」が人気です。

一方、保険で教育資金を貯めるデメリットとしては、途中解約すると、払込保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなる可能性があることです。また、預貯金と同様に、インフレリスクがある点にも注意しましょう。

学資保険については、以下の記事をご覧ください。
学資保険とは?メリット・デメリットや仕組みについて解説

低解約返戻金型終身保険については、以下の記事をご覧ください。
低解約返戻金型の終身保険とは?メリット・デメリットを解説

投資で教育資金を貯めるメリットとデメリット

投資信託や株式、NISAといった投資を活用して、教育資金を貯める方法もあります。投資で教育資金を貯めるメリットは、運用益によって資産を大きく増やせる可能性があることです。また、資産運用によって得た利益は原則として課税対象ですが、NISA(少額投資非課税制度)の場合は、投資信託の売却益、分配金がともに非課税になるメリットもあります。

ただし、投資は資産を増やせる可能性がある反面、損失が出ることもあります。教育資金は必要な時期がある程度決まっているため、投資だけで準備しようとするのはリスクが高く、確実に準備できる他の方法との併用がおすすめです。

教育資金を貯める際のポイント

子どもが大学に進学する直前になって、急にまとまった金額を用意するのは難しいものです。教育資金は、必要な時期や金額をある程度予測することができるため、子どもが生まれたら、できるだけ早い時期から、堅実的な方法を中心に教育資金を貯めていくことが大切です。

また、教育資金の貯め方によって、それぞれメリットとデメリットがあるため、どれかひとつの方法に絞るのではなく、複数の方法で備えることもおすすめです。預貯金や保険のインフレリスクに不安を感じるなら一部を投資に回したり、万が一のことが心配なら保険の保障を重視したりする等、状況にあわせて無理なく貯められる方法を選びましょう。

保険で教育資金を準備するなら、学資保険と終身保険のどちらがよい?

保険で教育資金の準備をしようと考えた時に、学資保険と終身保険のどちらで教育資金を貯めればよいか迷う人もいるかもしれません。学資保険と終身保険のどちらがよいかは、個々の状況や受けたい保障、重視するポイント等によって異なります。以下の表を参考に違いを比較して、自分に合った方法を検討することが大切です。

学資保険と終身保険のそれぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

■学資保険と終身保険の主な違い

学資保険
(契約者が保護者の場合)
終身保険
(被保険者が保護者の場合)
保険の目的教育資金の準備保護者の万が一への備え
加入時の子どもの年齢制限ありなし
保険期間一定期間(子どもの年齢が22歳くらいまで)一生涯
お金を受取るタイミング契約時に設定したタイミングで祝金や満期保険金が受取れる任意のタイミングで解約すれば、解約返戻金が受取れる
保護者に万が一のことが起こった場合保険料が払込免除となることが一般的で、以降の保険料を払込まなくても祝金や満期保険金が受取れる死亡保険金が支払われる

学資保険の特徴

学資保険は、子どもの教育資金を積み立てることを目的とした貯蓄型の保険です。基本的に保護者が契約者となって加入し、子どもの進学のタイミング等、契約時に定めた時期に、祝金や満期保険金を受取ることができます。そのため、計画的に教育資金を準備できることがメリットです。祝金や満期保険金の受取時期や受取額は契約時に決めるので、いつまでにどれくらいのお金が用意できるのか明確になり、子どもの進路や家計についても具体的に考えやすくなるでしょう。

また、多くの学資保険には、契約者である保護者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合、以後の保険料を払込まなくても満期保険金等を受取れる「保険料払込免除特約」があることも特徴です。

一方で、学資保険には、加入できる子どもの年齢に制限があります。年齢制限は保険商品によっても異なりますが、多くは出生140日前から7歳くらいまでです。子どもの年齢によっては、学資保険を活用したいと思っても加入できないケースがあるため、注意が必要です。

このようなメリットとデメリットを考えると、学資保険は、子どもがまだ小さく、あらかじめ決めたタイミングで確実に教育資金を準備したい人に向いているといえます。

終身保険の特徴

終身保険は、一生涯にわたって保障が続く保険です。被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態となった場合には保険金が支払われ、途中で解約した場合は、払込んだ保険料に応じた解約返戻金が受取れます。解約返戻金の金額は、保険料の払込みが終わっていれば、払込保険料の総額と同程度になるか、上回るのが一般的です。そのため、保険料の払込期間を子どもの進学時期に設定しておけば、払込期間満了後、払込んだ金額と同等、あるいはそれ以上の金額を解約返戻金として任意のタイミングで受取ることが可能です。また、払込期間中に万が一のことが起きても、保険金を教育資金としてのこすことができます。

払込期間満了後も、時間が経つほど解約返戻金が増えるため、解約タイミングによっては学資保険より返戻率が高くなる可能性もあります。もしも、貯蓄等で教育資金をカバーできた場合、終身保険は解約せずに継続し、解約返戻金を老後資金等の他の用途に活用できることもメリットです。

ただし、終身保険は解約すると保障がなくなってしまいます。保障を継続したい場合は、契約時に保険金額を大きく確保しておき、教育資金が必要なタイミングで「部分解約(一部解約)」するのもひとつの方法です。部分解約なら、保険契約の一部分だけが解約となり、保険契約そのものは継続するため、万が一の備えは失わずに済みます。

終身保険の部分解約(一部解約)については、以下の記事をご覧ください。
終身保険の部分解約(一部解約)とは?途中解約のメリットと注意点を解説

教育資金の貯め方に迷ったら、保険の専門家に相談しよう

子どもが生まれると、将来多くの教育資金が必要になるため、子どもが小さいうちから計画的に準備しておくことが大切です。教育資金の主な貯め方には「預貯金」「保険」「投資」の3つがあり、それぞれ異なる特徴があります。ひとつの方法だけで教育資金を貯めようとすると、想定外のリスクに対応しにくくなるかもしれません。それぞれのメリットとデメリットを把握した上で、上手に組み合わせて教育資金を貯めていきましょう。

教育資金を貯める時には、各家庭のライフプランにあわせて計画を立てる必要があります。教育資金の貯め方に迷ったら、「ほけんの窓口」に相談するのがおすすめです。「ほけんの窓口」では、保険を活用した教育資金の貯め方の他、資産形成についても無料で相談可能です。教育資金に関する疑問や悩みも、お気軽にご相談ください。

資産形成については、以下のページをご覧ください。
NISAのことなら!資産形成のプロと一緒に始めよう

教育資金の貯め方についてよくある質問

教育資金の貯め方について、よく聞かれる疑問をまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。

教育資金はいくら必要ですか?
子どもの教育資金は、進学する学校が私立か公立か等によって、必要な金額が大きく変わります。例えば、「幼稚園から高校までは公立、大学は私立文系で自宅通学」というケースを想定して費用を計算した場合、教育費の総額は約1,268万円になります。
教育資金を貯めるにはどのような方法がありますか?
教育資金を貯めるには、「預貯金」「保険」「投資」という大きく3つの方法があります。預貯金で貯める場合は、普通預金や積立預金、定期預金等、保険の場合は、学資保険や終身保険が多く活用されています。投資には、投資信託や株式、税制優遇のあるNISAが挙げられます。それぞれメリットとデメリットがあるため、複数の方法を併用するのもおすすめです。
教育資金を保険で準備するなら学資保険がよいのでしょうか?
教育資金の準備のために活用できる保険には、学資保険の他に終身保険もあります。どちらの保険がよいかは、各家庭の状況や目的等によって異なります。教育資金のために学資保険、長期的な資産形成と死亡保障を目的として終身保険と、2つの保険を併用するケースも少なくありません。
教育資金を準備する際に考えておきたいポイントは何ですか?
教育資金の準備にあたって大切なポイントは、できるだけ早い時期から、無理のない堅実的な方法で必要なお金を貯めていくことです。また、「預貯金」「保険」「投資」の3つの方法のうちどれかひとつに絞るのではなく、複数の貯め方を組み合わせて備えることで、将来のさまざまなリスクに対応しやすくなります。

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子
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