最低限入っておくべき保険はどれ?年代やライフステージ別に解説

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将来のさまざまなリスクに備えられる生命保険には、数多くの種類があります。そのため、「どの保険に入ればいいのだろう」「最低限入っておくべき保険を知りたい」と悩むケースは少なくありません。保険の加入を検討する際には、目的やライフステージ等に合わせて選ぶことが大切です。

ここでは、加入目的別の生命保険の種類や、年代別や男女別、ライフステージに応じてリスクに備えやすい保険について解説します。

この記事のポイント

  • 生命保険は、死亡、病気やケガ等さまざまなリスクに備えられる
  • 最低限入っておくべき保険は、年代やライフステージ、家族構成、性別等によって異なる
  • どの年代でも検討したいのは、医療保険やがん保険
  • 家族がいる場合は、自分に万が一のことがあった際の死亡保障を手厚くする

生命保険でどのようなリスクに備えられる?

生命保険は、契約者が保険料を負担し合うことで、さまざまな「もしも」の事態が起こった時に保険金や給付金等が支払われる仕組みです。ここでいう「もしも」とは、死亡リスクだけに限りません。

最低限入っておくべき保険について考える前に、まずは生命保険でどのようなリスクに備えられるのかを知っておきましょう。保険で備えられるリスクやニーズは、以下の表のとおりです。

■生命保険で備えられるリスクやニーズ

目的生命保険保険金・給付金等を活用できる使途例
生活費葬式費用入院・
治療費
老後資金学費貯蓄介護費用
死亡に備える終身保険
定期保険
収入保障保険
養老保険
病気やケガに備える医療保険
がん保険
就業不能保険
介護に備える介護保険
老後に備える個人年金保険
子どもの教育費に備える学資保険△※

※子どもの入院・通院・手術等の際に給付金が受取れる、医療特約をセットできる商品もある

生命保険は、人生におけるさまざまな経済的リスクに対する備えとして重要な役割を果たします。特に代表的なリスクは、死亡、病気やケガ等です。自分や家族に万が一のことが起きた場合や、病気やケガで入院や手術が必要になった場合等、予期せぬ事態に備えて生命保険に加入しておくことで、経済的リスクを軽減し、家族の生活を支える助けとなります。

また、公的年金では不十分な老後資金や、公的介護保険で賄いきれない介護費用、計画的に準備したい教育費にも生命保険で備えることが可能です。

なお、保険金額に関しては、それぞれの目的や家族構成、ライフプラン、家計の状況等によって異なります。保険会社や保険代理店でシミュレーションをして、保険で備える金額を確認するのもひとつの方法です。

【備えたい目的別】最低限入っておくべき保険

備えたい目的別に保険の種類を紹介していきます。ここでは、代表的な目的といえる「死亡に備える」「病気やケガに備える」「老後に備える」について、それぞれ見ていきましょう。

死亡に備える生命保険

死亡に備える生命保険(死亡保険)は、被保険者に万が一のことがあった時、のこされた人にかかる経済的負担を軽減するための保険です。保険期間によって、終身保険と定期保険の大きく2種類があります。

・終身保険

終身保険は、保険期間が一生涯続く生命保険です。被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合は、加入時に定めた保険金が受取人に支払われます。また、満期の仕組みがなく、途中で解約した場合は一般的に解約返戻金を受取れるため、貯蓄として活用することも可能です。ただし、早期に解約すると、解約返戻金は払込保険料の総額を大きく下回ってしまう可能性があることに注意しましょう。

保険料の払込方法には、一生涯にわたって保険料を払込む終身払、一定期間で支払う有期払、一度にまとめて支払う一時払があり、加入目的や将来設計に応じて選択できます。

終身保険については、以下の記事をご覧ください。
終身保険とは?メリット・デメリットと種類についてわかりやすく解説

・定期保険

定期保険は、保険期間があらかじめ決まっている生命保険です。終身保険と同様に、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった際は保険金が支払われますが、保険期間が一定年齢または一定期間に定められているという違いがあります。

満期保険金はなく、解約返戻金もないか、あっても極めて少額なことがほとんどです。ただ、その分、保険料は終身保険より割安に設定されています。

定期保険の保険期間は、「加入から10年間」というように年数で設定する「年満了」と、「60歳まで」のように被保険者の年齢で設定する「歳満了」があります。満期後の更新も可能ですが、その時点の年齢で保険料が再計算されるため、基本的に更新のたびに保険料が高くなることに注意が必要です。

定期保険については、以下の記事をご覧ください。
定期保険とは?特徴や終身保険との違いをわかりやすく解説

なお、必要な保障額は、世帯主の年齢や世帯年収、家族構成等によって異なるため、自分に合った必要保障額を算出することが重要です。

必要な保障額の目安は、「のこされた家族が必要な費用-のこされた家族の収入」の計算式で求めることができます。

死亡保障における保障額の算出方法については、以下の記事をご覧ください。
生命保険の死亡保障はいくら必要?必要保障額の算出方法等を解説

病気やケガに備える生命保険

病気やケガに備えるための生命保険には、医療保険やがん保険、就業不能保険等があります。病気やケガをした際の治療費や生活費に備えるための保険です。

・医療保険

医療保険は、公的医療保険制度だけではまかなえない医療費をカバーするための保険で、病気やケガで入院したり、所定の手術や治療を受けたりした場合に給付金を受取ることができます。公的医療保険制度が適用されない費用は、具体的に、公的医療保険を利用した場合の自己負担分の補填の他、入院時の差額ベッド代や食事代、先進医療の技術料です。

なお、医療保険には保険期間によって2タイプに分けられます。保障が一生涯続く終身医療保険と、保障が一定期間に限られる定期医療保険です。

なお、入院時の1日あたりの自己負担額は、1万~1万5,000円未満を目安として考え、医療保険で必要な保障の一部を準備するのが現実的です。

医療保険については、以下の記事をご覧ください。
医療保険とは?公的医療保険制度と民間の医療保険の違いと種類、仕組みを解説

入院給付金については、以下の記事をご覧ください。
入院給付金とは?日額の金額の決め方や入院時の平均日数も解説

※出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」P.59
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf

・がん保険

がん保険は、がんに特化した保障が設けられている保険です。がんと診断された時や、がんによる入院・手術をした時、がんのために所定の通院治療を受けた時等に、その内容に応じて給付金を受取れます。がん保険は保険期間によって2タイプにわかれます。保障が一生涯続く終身がん保険と、保険期間があらかじめ決まっている定期がん保険です。

がん保険の給付金は、さまざまな種類があり、保険商品によって中心となる保障内容や、給付金の支払条件が異なります。まずは、主契約に含まれている保障内容を確認し、不足があれば特約で保障を充実させることを検討しましょう。

がん保険については、以下の記事をご覧ください。
がん保険とは?医療保険との違いや選び方、加入時の注意点を解説

がん保険の選び方については、以下の記事をご覧ください。
がん保険の選び方は?保障内容で確認しておくべきポイントを解説

・就業不能保険

就業不能保険は、病気やケガのために長期間働けず、収入が減少してしまうリスクに備える保険です。病気やケガで一定期間以上、所定の就業不能状態が続いた時に、一時金や年金、給付金等を受取れます。

病気やケガで長期間働けなくなると、「治療費の支払い」と「収入の減少」という二重のリスクが発生します。さらに、自分や家族が生活するには日々お金がかかります。住宅ローンや教育費の支払いがある場合は、負担はさらに大きくなるでしょう。

就業不能保険の保障額は、貯蓄や公的保障でカバーできる金額を考慮した上で決めることをおすすめします。

就業不能保険については、以下の記事をご覧ください。
就業不能保険とは?働けなくなった時の保険の必要性について解説

老後に備える生命保険

老後に備える生命保険は、老後の生活費等を準備する目的で加入する保険です。代表的なものに個人年金保険が挙げられます。

・個人年金保険

個人年金保険は、国民年金や厚生年金といった公的年金を補うために、個人が任意で加入する私的年金のひとつです。60歳や65歳等、所定の年齢まで保険料を払込み、契約時に定めた受取開始時期になると、一定期間または終身にわたって年金を受取れます。

老後にどれくらいの資金が必要になるかは、個人の状況によっても異なりますが、まずは、将来受取る予定の公的年金額を確認し、「公的年金に加えていくらぐらいの資金が必要なのか」をシミュレーションしておくことがポイントです。

個人年金保険については、以下の記事をご覧ください。
個人年金保険とは?メリット・デメリットや必要性をわかりやすく解説

【年代別】最低限入っておくべき保険

備えたいリスクや必要な保障は、年代やライフステージ、家族構成等によって変わります。保険に加入する際には、年代ごとに備えるべきリスクを把握し、必要な保障を選ぶことが大切です。

ここからは、年代別のリスクに備えやすいといわれている保険について解説していきます。

20~30代の場合

20~30代は、結婚や出産、マイホーム購入、転職等、大きなライフイベントが起こりやすい時期です。その一方で、まだ若いため、十分に貯蓄がないケースも少なくありません。

独身であれば、自分自身が病気やケガをした時の医療費や、働けなくなった時の収入減少リスクに備える必要性が高いといえます。医療費に備える保険には、医療保険やがん保険、収入減少に備える保険には、就業不能保険があります。

既婚者の場合は、自分自身だけではなく、家族のことも考えて保険を選びましょう。医療保険やがん保険、就業不能保険に加えて、死亡保険を検討するケースも多くあります。特に子どもがいる場合、自分に万が一のことがあると、配偶者だけでなく、子どもの生活費や教育費に影響する可能性があります。子どもの教育費がかかる時期等、一定期間のみ定期保険に加入し、保障を手厚くするのもひとつの方法です。

40~50代の場合

40~50代は、30代までに比べて疾病リスクが高まるため、自分自身の健康や老後の備え等についても考え始める時期です。医療費への備えの必要性が高まり、医療保険やがん保険のニーズがより高くなります。あわせて、老後の生活を考え、個人年金保険等を検討する人もいるでしょう。

また、40~50代は、人によって生活環境や家族の状況等の違いが生じやすい年代でもあります。例えば、子どもの進学等でまとまった教育費がかかる家庭もあれば、すでに子どもが独立した家庭、住宅ローンを返済中のケースもあるかもしれません。

自分自身が主に家計を支えている場合はもちろん、共働きであっても、子どもが独立するまでは死亡保険や就業不能保険等で生活の保障を継続することが大切です。すでに加入している保険についても、必要に応じて保障内容を見直すことをおすすめします。

60代以降の場合

60代以降になると、それまで以上に病気やケガのリスクが高まります。ただ、60代以降は、年齢や健康状態等の影響もあり、希望する保険への新規加入が難しくなるケースも少なくありません。突発的な医療費や介護費用の負担に備えるために、加入している医療保険やがん保険の保障を見直しましょう。

一方で、子どもが独立したり、住宅ローンの返済が終わったりすれば、家族を養うための大きな保障は不要になるかもしれません。

定年退職後は収入が大きく減少する可能性も高いため、保険料が無理なく払える金額かどうかも考慮しながら、改めて保障内容を検討する必要があります。

【男女別】最低限入っておくべき保険

必要な保障は、性別によっても異なります。男性と女性では、備えておきたい健康リスク等が異なるからです。ここからは、男女別に、向いている保険の種類を紹介します。

男性の場合

男性が検討したいのは、健康リスクへの備えとなる医療保険やがん保険等です。国立研究開発法人国立がん研究センターの「最新がん統計」の2020年のデータによると、日本人男性が一生のうちにがんと診断される確率は62.1%です。また、厚生労働省の「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によれば、男性の死因でもっとも多いのは、一般的にがんと呼ばれる悪性新生物で、特に45歳以降で増加傾向にあります。さらに、老衰を除く死因の第2位は心疾患(高血圧性を除く)、第3位は脳血管疾患等となっており、がん・心疾患・脳血管疾患の三大疾病への備えが重要であることがわかります。

一般的な医療保険やがん保険の他、三大疾病に特化した三大疾病保険や三大疾病保障特約等、保障を手厚くするのもいいでしょう。

※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

※出典:厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」P.11,P.12
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/kekka.pdf

女性の場合

女性の場合も、医療保険やがん保険の必要性は高いといえます。前出の「最新がん統計」によれば、日本人女性が一生のうちにがんと診断される確率は48.9%です。男性に比べるとやや低いものの、決して看過できる割合ではありません。さらに、20~70代前半にかけて、がんで死亡する人の割合は、男性よりも女性のほうが多くなっています。

医療保険のなかには、女性特有の病気による入院・治療に対する備えを手厚くしている保険商品があります。女性特有の病気は、具体的には、乳がん、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)、卵巣がん、子宮筋腫等です。また、女性特有のトラブルとしては、重度のつわり(妊娠悪阻)や切迫早産、妊娠高血圧症候群、帝王切開等の、妊娠・出産時のトラブルもあります。医療保険に加入する際には、このような女性特有の病気等への保障についてもしっかりと考えておくことが大切です。

また、長生きのリスクに備えるには、個人年金保険も選択肢のひとつです。厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によれば、平均寿命は男性が81.09年、女性が87.14年です。男性より女性のほうが寿命は長い傾向があるため、個人年金保険等で老後の生活に備えておきましょう。

※出典:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life23/dl/life23-15.pdf

女性に必要な医療保険については、以下の記事をご覧ください。
女性に必要な医療保険は?特有の病気に備える保険や特約の選び方を解説

状況に応じて必要な保険に加入することでリスクに備えよう

さまざまなリスクに合わせて保険を紹介しましたが、ここで挙げた保険は一例にすぎません。最低限入っておくべき保険は、年齢や性別、家族構成、ライフステージ等によって異なります。また、自分や家族の状況によって、必要な保障は変わってきます。例えば、同じ死亡保険でも、終身保険と定期保険のどちらが適しているかは、人それぞれで違います。保険を選ぶ際には、加入の目的を明確にした上で、自分や家族にとって必要な保障を選びましょう。

生命保険には数多くの種類や商品があるため、自分にとっての最低限必要な保険を見極めるのは難しいかもしれません。保険選びに迷った時には、保険の専門家に相談するのがおすすめです。

「ほけんの窓口」では、生命保険の種類に関する質問や保険の見積もり等が、何度でも無料で相談できます。最低限入っておくべき保険についても、ぜひ「ほけんの窓口」にご相談ください。

最低限入っておくべき保険についてよくある質問

最低限入っておくべき保険について、よく聞かれる疑問をまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。

生命保険でどのようなリスクに備えられますか?
生命保険では、死亡、病気やケガ等のリスクや、公的保障ではカバーできないリスクに備えることができます。例えば、自分や家族に万が一のことがあったり、病気やケガで入院や手術が必要になったりした時の金銭的な負担に備えられます。また、公的医療保険が適用されずに高額な自己負担が発生しやすい先進医療の技術料や、公的年金では不十分な老後の資金等、公的保障がカバーしきれないリスクに対しても備えることが可能です。
年代によって最低限入っておくべき保険が変わりますか?
最低限入っておくべき保険は、年代によって変わります。結婚や出産等、大きなライフイベントが起こりやすい20~30代の場合、医療保険やがん保険、就業不能保険等がリスク対策に向いており、既婚者であれば、死亡保険の検討も必要性が高くなります。
40~50代は、医療保険やがん保険で健康リスクに備え、個人年金保険等で老後の生活に備えるという方法もあります。死亡保険や就業不能保険についても、子どもが独立するまでは継続すると安心です。
60代以降になると保険の新規加入が難しくなることも多いため、すでに加入している医療保険やがん保険の保障を見直し、突発的な医療費や介護費用の負担に備える必要があります。
既婚者が最低限入っておくべき保険はありますか?
既婚者が保険を検討する場合は、自身の健康リスクに加え、のこされた家族の生活を考える必要があります。具体的には、医療費に備える医療保険やがん保険の他、生活費に備える就業不能保険や死亡保険等です。特に子どもがいると、自分に万が一のことがあった際に、配偶者だけでなく、子どもの生活費や教育費に影響が及ぶ可能性があります。子どもの教育費がかかる時期等、一定期間のみ定期保険に加入し、保障を手厚くするのもいいでしょう。
性別によって入っておくべき保険は変わりますか?
男性と女性では備えておきたい健康リスクが異なるため、入っておくべき保険も変わります。男性が検討したいのは、医療保険やがん保険です。日本人男性が一生のうちにがんと診断される確率は62.1%と高く、がん・心疾患・脳血管疾患の三大疾病も死因の上位を占めるため、保険での備えが必要でしょう。女性も同様に医療保険やがん保険の必要性は高く、さらに、女性特有の病気等への備えもあると安心でしょう。女性は男性に比べて平均寿命が長いため、個人年金保険等で老後の生活に備えることも大切です。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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