がん保険の選び方は?保障内容で確認しておくべきポイントを解説

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近年では、「日本人の2人に1人が生涯のうちに何らかのがんにかかる」といわれるほど、がんは身近な病気になっています。同時に、医療技術の進歩等により、早期に発見して適切な治療を行えば、がんを過剰に恐れる必要はない、ということも広く知られてきています。このような背景から、がんになった時の治療費の負担を考え、がん保険への加入を考えている人も多いのではないでしょうか。

ただ、がん保険にはさまざまな保障内容があるため、選び方がわからずに戸惑ってしまうこともあるかもしれません。加入の際は自分に合った保障を検討し、選ぶことが大切です。

ここでは、がん保険の概要から主な保障内容、確認しておくべき5つのポイントまで解説します。

がん保険とは、がんの保障に特化した保険

がん保険とは、がんの保障に特化した保険になります。がんと診断された時やがんの治療のための手術を受けた時に、その内容に応じて給付金を受取ることが可能です。

がんは、日本人の病気による死亡原因としては、もっとも多い割合を占めています。厚生労働省の「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況」によると、以下のグラフのとおり、2022年に悪性新生物(がん)が原因で亡くなった人は38万5,797人で、死亡数全体の24.6%を占めていることがわかります。

■日本人の主な死因の構成割合

日本人の主な死因の構成割合

※出典:「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況」(厚生労働省)P.15
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei22/dl/10_h6.pdf)を基に作成

また、国立研究開発法人国立がん研究センターの「最新がん統計」の2019年のデータによると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性65.5%、女性51.2%です。

がんは死亡者の割合・罹患率ともに高く、以前は重い病気として恐れられてきました。しかし現在では、医療技術の進歩等により、早期発見と適切な治療で生存率も高くなってきています。

しかし、がんのために入院や手術をすると、経済的な負担が大きくなってしまう可能性があります。万が一のリスクを考え、希望する治療を受けるためにも、がん保険等で備えておくことが大切です。

がんの治療にかかる費用

がんの治療にはさまざまな費用がかかります。手術や放射線治療、抗がん剤治療といった代表的ながん治療だけでも、高額な治療費が発生することは珍しくありません。

がん保険の目的は、がんになった場合の経済的な負担をカバーすることです。保障内容を検討する際には、がん治療にどのような費用がかかるのかを把握しておく必要があります。次に、がんに罹患した際にかかる主な費用を見ていきましょう。

公的医療保険が適用される医療費

公的医療保険が適用される主な医療費としては、初再診料、入院料、検査料、治療費、手術料等があります。保険診療の範囲内の治療であれば、自己負担額は1~3割で済むでしょう。また、公的医療保険には、1か月にかかった医療費が上限額(自己負担限度額)を超えると、超えた分が後で払戻される「高額療養費制度」があります。したがって、がん治療のために手術や入院をしても、自己負担が上限額を超えることはありません。高額療養費制度の上限額は、年齢や所得に応じて決まります。

公的医療保険が適用されない医療費

公的医療保険が適用されない医療費としては、先進医療の技術料や、入院時の差額ベッド代等が挙げられます。これらの費用は全額が自己負担となり、高額療養費制度も利用できません。

なかでも高額になりやすいのが、先進医療の技術料です。がん治療の際に行われる陽子線治療や重粒子線治療では、1件あたりの技術料が数百万円に上ることも少なくありません。

その他の費用

がんの治療による入院や通院が発生する場合は、上に挙げた治療費の他にも、入院中の食事や日用品、入院前後の通院費、家族が付き添うための費用等が発生します。また、がんの治療により外見に変化が生じた場合、それをカバーするための医療用ウィッグや乳房の再建手術等の費用がかかる場合もあります。さらに、治療により長期間働けなくなった場合は、生活費の補填も考える必要があるでしょう。

がん保険の主な保障内容

がん保険の保障内容や受取れる給付金の金額は、保険商品によって異なります。がん保険に加入する際には、自分にとって必要な保障を受けられるかどうかを確認することが大切です。

がん保険の主な保障内容は、以下のとおりです。

■がん保険の主な保障内容

給付金保障内容
診断給付金がんと診断された時に受取れる給付金。入院の準備や生活費の補填、医療費等、どのような用途にも使える
治療給付金(放射線・抗がん剤・ホルモン剤等)放射線治療や抗がん剤治療、ホルモン剤治療を受けた場合に受取れる給付金
入院給付金入院した際に受取れる給付金。支給限度日数はない
手術給付金手術をした際に受取れる給付金。回数の上限はない
通院給付金治療のために通院が必要になった際に受取れる給付金。入院を伴うかどうかは商品による
先進医療給付金所定の先進医療を受けた際に受取れる給付金

がん保険の選び方のポイント

では、がん保険を選ぶ時には、どのような点を確認すればいいのでしょうか。ここからは、がん保険の選び方のポイントを紹介していきます。

保障内容を確認する

がん保険への加入を検討する際に大切なのは、保障内容を確認することです。がん保険の給付金にはさまざまな種類があり、また保険商品によって中心となる保障内容や、給付金の支払条件は異なります。まずは主契約に含まれている保障内容を確認した上で、追加が必要な場合は、特約で保障を充実させることを検討しましょう。

この時注意したいのが、診断給付金の有無です。がん保険のなかには、がんの治療のために入院や手術等をすることが支払条件となっている商品もあり、その場合はがんの診断確定だけでは給付金が受取れません。また、がんに罹患すると、仕事を休む間の生活費や、通院にかかる交通費、セカンドオピニオンの費用等、入院・手術の他にもさまざまな費用が発生する可能性があります。費用の不安なく治療に専念するためにも、がんと診断された時点で診断給付金を受取れるがん保険がおすすめです。

がんの診断を受けた時の保障を決める

がん保険の保障金額は自由に設定することができますが、基本的に、保障が手厚くなるほど保険料の負担も大きくなります。保険料の払込みは月々の家計にも影響してきますから、無理のない範囲で決めるようにしましょう。

さらに、保障金額だけではなく、給付条件や支払回数についても確認が必要です。例えば、診断給付金の支払回数は、1回のみ、複数回、無制限等、保険商品によって異なります。また、診断給付金を複数回、または無制限で受取れる場合は、所定の条件が設けられていることが一般的です。がんは再発や転移で何度も発症するリスクがある病気です。そのようなリスクに備える場合は、診断給付金が複数回受取れるがん保険を選ぶとよいでしょう。同時に、2回目以降の受取条件についても十分に確認しておくことが大切です。

なお、がんの種類には「悪性新生物」と、転移するリスクの低い「上皮内新生物」があります。保険商品によっては、上皮内新生物は給付金の対象外であったり、満額が受取れなかったりする場合もあるため注意が必要です。がん治療のリスクに幅広く備えたいという場合は、上皮内新生物も保障対象になるがん保険を選ぶとよいでしょう。

治療に対する保障を決める

がんに対する治療は、「手術療法」「化学療法」「放射線療法」の3種類が基本となります。がんの治療は、進行度に応じた標準治療を基本に、本人の希望や体の状態等を担当医師と話し合って総合的に検討されますが、どの方法に決定した場合でも対応できるように、これら3つの治療が保障対象となっているかどうかを確認することが大切です。

治療の選択肢の幅を広げたい場合は、先進医療特約を付帯するのもひとつの方法です。先進医療特約とは、がんの治療のために所定の先進医療を受けた際に給付金を受取れる特約のことをいいます。先進医療の技術料は高額になりやすいですが、公的医療保険の適用外なので全額自己負担となります。必ずしも先進医療が適用されるとは限りませんが、先進医療特約を付帯することで経済的な負担を軽減できるでしょう。

入院・通院の保障を決める

がん保険に加入する際には、入院保障や通院保障の内容も確認して選びましょう。特に、かつてのがん治療は入院や手術での治療が中心でしたが、現在は、通院での放射線治療や抗がん剤治療のケースが増えています。加えて、がんの治療は一般的な病気やケガより長引きやすく、長期にわたる通院治療が必要なケースも少なくありません。そのため、入院治療だけでなく、通院治療にも対応できる治療給付金の有無や、その受取条件等について、しっかりと確認しておくことが大切です。

保障期間を決める

がん保険は、保険期間によって、終身タイプと定期タイプに分かれます。終身タイプのがん保険は、保障が一生涯続き、加入時に決定した保険料が払込期間中に上がることは基本的にありません。一方、定期タイプのがん保険は、5年や10年等、保障を受けられる期間があらかじめ決められています。保険期間が満了になると保障も終了するため、継続して保障を受けたい場合は更新手続きが必要です。ただし、更新時の年齢で保険料の見直しが行われるため、更新のたびに保険料が高くなっていく可能性があります。一生涯にわたって保障が必要なのか、特定の期間のみ保障を手厚くしたいのかによって、自分に合ったタイプのがん保険を選ぶとよいでしょう。

がん保険を選ぶ際は保障内容や給付条件を確認しよう

がん保険の保障内容は、保険会社や保険商品によって異なります。がん保険を選ぶ際には、自分に必要な保障を考えた上で、各商品の特徴や内容を比較検討することが大切です。

がん保険を選ぶのが難しい場合は、一人で悩まず、保険の専門家に相談するのがおすすめです。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。自分に合ったがん保険を選びたい場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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