学資保険に入りそびれた!
入っていない場合の教育資金準備方法を解説
入っていない場合の教育資金準備方法を解説
子どもの教育資金を準備する方法として、多く選ばれているのが学資保険です。ただし、学資保険には、加入時の子どもの年齢に制限が設けられています。そのため、学資保険に加入しようと思っていても、「加入できる年齢を超えてしまった」「子育ての忙しさに追われて入りそびれてしまった」ということがあるかもしれません。
ここでは、学資保険に加入できる年齢や、学資保険に入りそびれた場合の教育資金の準備方法の他、学資保険のメリット・デメリットについても解説します。
学資保険の目的と必要性
学資保険は、子どもの将来の教育資金の準備を目的とした、貯蓄性のある保険です。基本的に保護者が契約者となって加入し、子どもの進学時等、契約時にあらかじめ定めておいた時期に、祝金や満期保険金を受取ることができます。また、学資保険は、契約者である保護者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合、以後の保険料を払込まなくても満期保険金等を受取れる「保険料払込免除特約」が付帯されていることが一般的です。
子どもに必要な教育資金は、幼稚園から大学まですべて国公立に進学した場合でも、1,000万円以上といわれています。なかでも、まとまった金額が必要になるのが、大学に入学するタイミングです。これらの教育資金を預貯金だけで用意しようとすると、定期的に継続して貯めることが難しくなったり、貯めたお金を他の用途に使ってしまったりするかもしれません。また、必要な資金が貯まる前に保護者に万が一のことがあると、貯蓄が途絶えてしまう可能性もあります。
学資保険であれば、保険料を払込むことで自動的に積立が可能な上、保護者に万が一のことがあった場合でも教育資金を準備することができる保険料払込免除特約があります。そのため、学資保険は、将来必要になる教育資金を計画的に準備できる手段として活用されているのです。
子どもの教育費については、以下の記事をご覧ください。
子どもの教育費の平均はいくら?大学卒業までに必要な教育費を解説
学資保険に加入できる年齢
学資保険には、保険加入時の子どもの年齢に制限が設けられています。また、保険商品によっては、契約者である保護者の年齢にも制限が定められていることもあります。学資保険への加入を検討する際には、これらの年齢制限に十分注意が必要です。
子どもの年齢は7歳までが一般的
学資保険に加入できる子どもの年齢は、出生140日前から7歳くらいまでが一般的です。加入時の子どもの年齢に制限があるのは、保険料の運用期間を確保するためです。
契約者が払込んだ学資保険の保険料の一部は、保険会社によって運用され、その運用益が返戻率に反映されます。学資保険の返戻率とは、「払込んだ保険料の総額に対して、受取れる金額がどれくらいになるのか」という割合を示す数字で、保険商品ごとに設定されています。
学資保険は、満期保険金を大学進学時の費用にあてることが多いため、子どもが18歳や22歳になるタイミングを満期とするケースが一般的です。満期から逆算して、十分な運用期間を設けるために、加入時の子どもの年齢に制限が定められているのです。
契約者の年齢は50~60歳までが一般的
多くの学資保険には保険料払込免除特約があり、契約者に万が一のことがあった場合は、その後の保険料の払込みが免除されます。年齢が上がるほど死亡リスクも上昇することから、学資保険には、契約者に対しても加入時の年齢制限が設けられていることが一般的です。契約者の年齢は、50~60歳までとしているケースが多くありますが、保険商品や契約者の性別等によっても異なるためよく確認しましょう。
なお、保険料払込免除特約が付帯していない学資保険の場合は、契約者の年齢にかかわらず加入できるものもあります。
学資保険のメリット
学資保険は子どもにも契約者である保護者にも年齢制限があるため、加入するならできるだけ早い時期がおすすめといえます。とはいえ、学資保険に加入すべきかどうか判断がつかず、入りそびれている人もいるかもしれません。そもそも、学資保険に加入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
教育資金を計画的に準備できる
学資保険の大きなメリットが、将来必要になる教育資金を、計画的に準備できることです。学資保険は、契約時に祝金や満期保険金の受取額を決め、毎月所定の保険料を払込んでいくのが一般的です。払込んだお金を自由に引き出すことはできないので、途中で他の用途に使ってしまう心配もありません。もし預貯金だけで教育資金を用意しようとすると、一定額を継続して貯めていくのが難しくなったり、貯めたお金をつい使ってしまったりして、計画が崩れてしまう可能性があります。学資保険なら、毎月保険料を払込むことで自動的に積立ができるので、計画的に教育資金を準備できます。
契約者に万が一のことがあっても安心
多くの学資保険には保険料払込免除特約があることもメリットのひとつです。前述したとおり、保険料払込免除特約が付いた学資保険なら、契約者である保護者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合、以後の保険料の払込みが免除されます。払込みが免除になっても、満期保険金の受取時期に達すれば、契約通りの金額の満期保険金が受取れます。
教育資金を預貯金で積み立てていた場合、保護者に万が一のことがあると、貯蓄を継続するのが難しくなるかもしれません。教育資金の準備と万が一の時の保障を両立できるのは、学資保険の大きな特徴です。
生命保険料控除が受けられる
学資保険の保険料は、年末調整や確定申告の際、生命保険料控除の対象になります。生命保険料控除を適用すると、学資保険の保険料のうち一定額が課税所得から差し引かれ、所得税や住民税の負担が軽減されます。節税しながら将来の教育資金の積立ができることは、学資保険のメリットのひとつといえるでしょう。
学資保険のデメリット
メリットがある一方で、学資保険には知っておきたいデメリットもあります。学資保険への加入を検討する際には、メリットとデメリットの両方を把握しておきましょう。
解約すると元本割れのリスクがある
学資保険には、満期を待たずに途中解約すると、それまで払込んだ保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなる「元本割れ」のリスクがあります。そもそも学資保険は、満期まで解約しない前提で契約する保険商品です。途中で解約した場合は、それまでに払込んだ保険料総額に応じて解約返戻金が受取れるものの、その金額が払込保険料の総額を下回ることが大半です。特に早期解約の場合、解約返戻金を受取れないか、受取れたとしてもごくわずかである可能性が高いでしょう。途中解約を避けるために、保険料の金額や払込期間は慎重に検討することが大切です。
急な出費等への対応が難しい
学資保険は、預貯金のように、払込んだ保険料を自由に引き出すことができません。もし積み立てたお金を別の用途に使いたい場合は、解約等の手続きが必要です。そのため、学資保険は、預貯金に比べて急な出費等への対応には向いていないといえます。
例えば「大学入学に備えて18歳満期で学資保険に加入したが、私立高校に進学することになったので15歳で満期保険金を受取りたい」といった状況になっても、満期保険金の受取時期を前倒しで受取ることができない場合があります。
学資保険で積み立てるお金は満期まで使えないものと考え、急な出費等に対しては預貯金で備えておくのもひとつの方法です。
インフレに弱い
学資保険は契約時に満期保険金の金額を設定するため、インフレに弱いというデメリットがあります。インフレとは、物価の上昇によって相対的にお金の価値が下がることです。
学資保険は、加入する時に払込む保険料と満期保険金の金額を決め、その金額が途中で変わることはありません。また、学資保険は、15年や18年といった長期間にわたって保険料を払込むことが一般的です。この間にインフレが起こった場合、受取れる祝金や満期保険金の価値が、契約時の想定よりも低くなってしまう可能性があります。
学資保険の必要性が高い人
学資保険の必要性が高いのは、計画的な貯蓄が苦手な人です。学資保険は毎月保険料を払込むことで自動的に積立ができ、途中で自由に引き出せません。「コツコツ貯めるのが苦手」「手元にお金があると、つい使ってしまう」という人には、確実に教育資金を貯められる学資保険がおすすめです。
また、万が一に備えつつ教育資金を準備したい場合も、学資保険の必要性は高いでしょう。多くの学資保険には保険料払込免除特約が付いており、契約者である保護者に万が一のことがあっても、子どもの教育資金をしっかり確保できます。
学資保険の必要性が低い人
計画的に教育資金が準備できる人や、すでに十分な資金がある人にとっては、学資保険の必要性はそれほど高くないといえます。例えば、自動的な積立の仕組みがなくても、計画的に教育資金を準備できる人なら、必要な時にいつでも引き出せる預貯金のほうが大きなメリットに感じるかもしれません。また、すでに教育資金として十分な金額を確保できている場合も、あらためて学資保険に加入する必要性は低いでしょう。
一般的な学資保険に入りそびれた場合の教育資金の準備方法
学資保険に加入して教育資金を準備するつもりでいたのに、年齢制限を超えてしまっていたというケースもあるでしょう。学資保険に入りそびれた場合には、次のような方法で教育資金を貯めることができます。
対象年齢が広い学資保険を検討する
一般的に、学資保険に加入できるのは、子どもが7歳くらいまでです。しかし、なかには、7歳以上になっても加入できる学資保険もあります。一般的な学資保険に入りそびれて子どもの年齢が上限を超えてしまった場合は、対象年齢が広い学資保険を検討するのもひとつの方法です。ただし、7歳以上でも加入できる学資保険は、商品数が少なく、保険料の払込期間が短くなるため、毎月の保険料が高くなる点に注意しましょう。
終身保険
学資保険に入りそびれた場合、学資保険の代わりに、終身保険で教育資金を準備する方法もあります。終身保険は、一生涯にわたって保障が続く、貯蓄性のある生命保険です。被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態となった場合には保険金が支払われ、途中で解約した場合は、それまでに払込んだ保険料の総額に応じた解約返戻金を受取れます。保険料の払込みが終了していれば、解約返戻金の金額は、払込んだ保険料の総額と同程度か、上回る場合があります。ただし、保険料の払込期間中に解約すると、学資保険と同じく元本割れの可能性が高いため注意しましょう。
終身保険のなかでも、教育資金の準備を目的に選ばれることが多いのが、低解約返戻金型終身保険です。低解約返戻金型終身保険とは、保険料払込期間中の解約返戻金を抑える代わりに、保険料が割安になっている終身保険です。保険料の払込終了時期を子どもの進学等のタイミングまでに設定しておけば、解約返戻金を教育資金にあてられます。また、契約者を被保険者にすることで、払込期間中に契約者に万が一のことが起きても、死亡保険金を教育資金としてのこすことができます。
終身保険については、以下の記事をご覧ください。
終身保険とは?他の保険との違いやメリット・デメリット等を解説
預貯金
学資保険に入りそびれてしまっても、預貯金で定期的にお金を積み立てていけば、必要な教育資金を貯めることができます。預貯金なら元本割れの心配がなく、他の方法に比べて出入金もスムーズです。しっかりと計画に沿って貯蓄をしていかないと、思うように貯まらない可能性があるため、毎月の収入のうち一定額を先に貯蓄に回す「先取り貯金」等の工夫をするとよいでしょう。また、契約者に万が一のことがあった時に備えて、預貯金とあわせて終身保険等の加入を検討するのもひとつの方法です。
資産運用
投資の知識があり、資産運用が得意であれば、投資信託等で運用益を活用する方法もあります。自分で資産を運用すれば、学資保険より効率良くお金を増やし、教育資金を準備できる可能性があるでしょう。ただし、資産運用には知識や時間が必要となる上、リスクも伴うため、必ずしも利益を出せるとは限りません。資産運用だけで教育資金を準備しようとするとリスクが大きいため、他の方法と併用する等、慎重に判断する必要があります。
学資保険に入りそびれたら、預貯金や終身保険等で教育資金を準備しよう
学資保険は加入時の子どもや契約者である保護者の年齢に制限があるため、「検討しているうちに入りそびれてしまった」ということがあるかもしれません。学資保険に入りそびれた場合は、預貯金や終身保険等、他の方法で教育資金を準備することが可能です。ただ、いずれにしても、子どもの教育資金には多額のお金が必要になり、一朝一夕に貯められるものではありません。将来の子どもの可能性を広げるためにも、教育資金の準備には早めに取り掛かることが大切です。
「学資保険の選び方がわからない」「学資保険以外の保険で教育資金を準備する方法を知りたい」という場合は、保険の専門家に相談するのもひとつの方法です。「ほけんの窓口」では、学資保険に関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。教育資金について疑問がある場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。