学資保険と貯金、教育資金準備に適しているのは?特徴等を解説

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子どもが生まれたら、考えておかなければいけないのが、将来の教育資金です。大学進学まで合計すると多くのお金がかかるため、子どもが小さいうちから計画的に準備しておくことが大切です。

教育資金に備える代表的な手段として、学資保険と貯金があります。「学資保険と貯金では、どちらが効率的に教育資金を準備できるのだろう?」と悩んでいる人も多いかもしれません。

ここでは、学資保険と貯金のメリット・デメリットを比較した上で、学資保険と貯金のどちらが教育資金の準備に向いているのかを見極めるコツを紹介します。

大学卒業までにかかる教育資金

子どもが生まれてから大学卒業までには、多額の教育資金がかかるといわれます。では、実際にどれくらいの金額がかかるのでしょうか。

子どもの教育費が特に必要となるタイミングは、幼稚園や小学校、中学校、高校、大学進学といくつかありますが、進学する学校が私立か公立かによっても金額が大きく変わります。また、教育費のなかでも大きな割合を占めるのが、大学進学の費用です。

文部科学省の調査によると、幼稚園から高校までにかかる平均的な費用は、以下の表のとおりです。

■幼稚園から高校までにかかる費用の目安(単位:万円)

区分幼稚園小学校中学校高校(全日制)
公立私立公立私立公立私立公立私立
学習費年額1731351675414451105
合計
(小学校6年、他は3年で計算)
51932101002162432153315

※1,000円以下四捨五入
出典:「令和3年度子供の学習費調査」(文部科学省)P.1
https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-000026656_1a.pdf)を基に作成

また、大学進学に伴って必要になる費用は、国公立か私立、文系か理系、自宅通学か自宅外通学等、条件によって金額が大きく変わります。大学4年間でかかる費用の目安は、さまざまな費用を合計すると約480万円から1,240万円と大きな幅があります。ただし、いずれの進路にしても多額のお金がかかることには変わりありません。このような多くの教育資金を準備する方法として選択肢に挙がるのが、学資保険や貯金です。

学資保険で教育資金に備えるメリット

学資保険に加入すると、教育資金を準備する上で、目標に向かって計画的に備えられます。学資保険には、主に次のようなメリットがあります。

教育資金を計画的に準備できる

学資保険の大きなメリットは、教育資金を計画的に準備できることです。学資保険に加入すると、基本的に、毎月決まった額の保険料を払込んでいくことになります。無理のない金額を自動的に積み立てることができる上、その分のお金を使ってしまうことも防げます。祝金や満期保険金の受取額は契約時に決まるため、いつまでにどれくらいのお金が用意できるのか明確になり、子どもの進路や家計についても具体的に考えやすくなるでしょう。

契約者に万が一のことがあっても安心

多くの学資保険では、契約者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった時、以後の保険料の払込みが免除される保険料払込免除特約があります。もし貯金だけで教育資金を準備していた場合、保護者に万が一のことがあると、貯金の継続が難しくなる可能性が高いでしょう。そのような場合、学資保険であれば、それ以降の保険料を払わなくても、将来は予定どおりのお金を受取ることができます。教育資金の準備と万が一の保障を両立できるのは、学資保険ならではのメリットです。

生命保険料控除が受けられる

学資保険に加入していると、生命保険料控除が受けられることもメリットのひとつです。学資保険の保険料は、所得税の生命保険料控除の対象になります。年末調整や確定申告で生命保険料控除を申告すれば、学資保険の保険料のうち一定額が所得から差し引かれ、所得税や住民税の負担を軽減することができます。

学資保険で教育資金に備えるデメリット

学資保険は、教育資金を計画的に準備できる等のメリットがある一方で、次のようなデメリットに注意する必要があります。

解約すると元本割れのリスクがある

学資保険を途中解約すると、払込んだ保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなる、元本割れが起こる場合があります。特に、契約から解約までの期間が短いと、解約返戻金を受取れないか、受取れたとしてもごくわずかになる可能性も出てくるでしょう。学資保険に加入する際は、途中解約を避けるために、保険料の金額や払込期間を慎重に検討する必要があります。

急な出費等への対応が難しい

学資保険は、急な出費等への対応が難しいというデメリットもあります。学資保険で払込んでいる保険料は、預貯金のように必要なときにすぐ引き出すことはできません。払込んだ分を使用する場合は、解約の手続きが必要になってしまう上、途中解約には元本割れのリスクもあります。急な出費等に備えるためには、学資保険とあわせて、ある程度の貯金をしておくのもひとつの方法です。

インフレに弱い

学資保険は契約時に満期保険金の金額を設定するため、インフレに弱いというデメリットがあります。インフレとは、物価の上昇によって相対的にお金の価値が下がることです。契約時に決めた満期保険金等の金額は、受取時に物価が上がっていても変わりません。学資保険は長期間にわたって保険料を払込むケースが多いため、将来インフレが起こると、受取れる祝金や満期保険金の価値が、想定よりも低くなってしまう可能性があります。

学資保険については、以下をご覧ください。
学資保険とは?メリット・デメリットや仕組みについて解説

教育資金を貯金で準備するメリット

教育資金を学資保険で備える場合と比較して、貯金で準備した場合は、どのようなメリットがあるのでしょうか。3つのメリットを見ていきましょう。

毎月の貯金額を調整できる

貯金のメリットとして挙げられるのが、毎月の貯金額を調整できることです。学資保険は月々に払込む保険料の額が決まっていますが、貯金の場合は、いつ、どれくらいの金額を貯金に回すかは自由です。例えば、余裕のある月は貯金額を多くして、支出が多く余裕がない月は他の月で調整する等、家計の状況に合わせて柔軟に対応することができます。

急な出費に対応しやすい

貯金には、急な出費に対応しやすいというメリットもあります。子どもが成長するなかで、急に大きな費用が必要になることもあるかもしれません。そのような場合でも、貯金なら、まとまったお金を比較的スムーズに用意しやすいでしょう。ただし、使った分のお金は、後で忘れずに補てんすることが大切です。

元本割れのリスクがない

貯金の場合は、学資保険の途中解約のような元本割れが起こりません。積み立てたお金は確実に貯まっていきますし、貯金の一部を途中で引き出しても、使った分のお金が減るだけです。ただし、入金や引き出しの時に余計な手数料を払わなくて済むように注意しましょう。

教育資金を貯金で準備するデメリット

教育資金を学資保険で備える場合と同様に、貯金にもデメリットがあります。教育資金を貯金で準備するデメリットは、以下のとおりです。

計画どおりに貯められない可能性がある

貯金のデメリットは、計画どおりに教育資金を貯められるとは限らないことです。例えば、家計の状況によっては、毎月一定の金額を貯めることが難しいケースや、予定以上の出費が重なることもあるでしょう。そうなると、大学入学までの貯金額を決めていても、計画が変わってしまうことになります。また、家計の担い手である保護者に万が一のことがあった場合は、思うように貯金できなくなる可能性も考えられます。

利息が少ない

2024年3月にマイナス金利政策の解除が発表されましたが、お金を銀行に預けても、まだ金利はほとんどつかない状態です。元本割れこそないものの、お金を増やすという意味では貯金には期待できないでしょう。同じ金額を積み立てるのであれば、学資保険は返戻率が高い商品もあります。

学資保険が向いている人

コツコツ貯金をするのが苦手な人や、お金があると使ってしまうタイプの人は、教育資金を自動的に積み立てられる学資保険がおすすめです。また、長期間にわたって保険料を払込み続ける見通しが立っている人も、学資保険が向いているでしょう。学資保険で生命保険料控除を適用することで、長期的な節税メリットも得られます。

貯金が向いている人

教育資金の準備に貯金が向いている人は、家計に余裕があり、すでに資金のめどが立っている人です。特に、「自分で資産運用をしたい」という場合は、必要な時にすぐに資金を用意できる貯金のほうが向いているかもしれません。また、仕事や生活スタイルの関係で、収入や支出の増減が激しい場合等は、柔軟に対応できる貯金がおすすめです。

自分に合った方法で教育資金を計画的に備えよう

子どもには多くの教育費が必要となるため、教育資金を計画的に準備しておくことが大切です。教育資金を準備する方法としては、主に学資保険と貯金があり、どちらにもメリット・デメリットがあります。学資保険で計画的に積み立てをしつつ、急な出費に備えてある程度の貯金をしておく等、学資保険と貯金を上手に併用するのもよいでしょう。

また、学資保険にもさまざまな商品があり、各家庭のライフプランに合わせて選ぶことが重要になります。保険選びに迷ったときには、保険の専門家に相談しましょう。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。学資保険に関する疑問や悩みも、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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