学資保険をおすすめしない理由とは?デメリットやメリット等を解説

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子どもが生まれると、将来の教育資金の準備が必要となります。学資保険は、そのような子どもの教育資金を準備する手段として広く活用されている保険商品です。一方で、「学資保険はおすすめしない」という意見もありますが、本当に必要ないのでしょうか。

ここでは、学資保険のデメリットやメリットの他、学資保険の必要性が高い人・低い人、学資保険以外で教育資金を準備する方法等について解説します。

学資保険は貯蓄型の生命保険

学資保険は、子どもの教育資金を積み立てることを目的とした貯蓄型の保険です。基本的に保護者が契約者となり、保険料の払込期間と満期保険金の受取時期を決めて契約します。毎月保険料を払込み、設定された受取り時期を迎えたら、満期保険金を受取ることが可能です。満期保険金に加え、子どもが6歳や12歳等の年齢に達したタイミングで、祝金が受取れるタイプの商品もあります。

保険料払込期間中に、契約者が死亡または保険会社所定の高度障害状態となった場合、以降の保険料の払込みは免除されるのが一般的です。その場合も、受取れる満期保険金の額は変わりません。

学資保険のデメリット

「学資保険はおすすめしない」といった意見があるのは、学資保険には契約者にとってデメリットとなる特徴があるためです。ここでは、学資保険のデメリットについて解説します。

自由に引き出せない

払込んだ保険料を自由に引き出せない点は、学資保険のデメリットといえるでしょう。金融機関での預貯金と違って、学資保険では払込んだ保険料は自由に引き出すことができません。途中でどうしてもお金が必要となった場合には、一定の金額内で貸付けを受けられる契約者貸付制度を利用したり、学資保険を解約したりする必要があります。自由に引き出せない不便さがある一方で、払込期間の途中で安易に使ってしまう心配が少ないため、確実に教育資金を準備できるともいえるでしょう。

途中解約すると元本割れする可能性がある

途中解約すると元本割れする可能性がある点も、学資保険のデメリットのひとつです。学資保険は、満期まで解約しない前提で契約する保険商品です。途中で解約した場合は、それまでに払込んだ保険料総額に応じて解約返戻金が支払われますが、払込保険料の総額を下回る金額となる可能性があります。

つまり、家計収入の低下等で途中解約せざるをえなくなると、払込んだ保険料の一部が戻ってこない可能性があるのです。なお、保険料を払込んだ期間が短いほど、解約返戻金が払込保険料の総額を下回る可能性が高まります。

インフレリスクがある

学資保険にはインフレリスクもあります。学資保険は、加入する時に、払込む保険料と満期時に受取る金額を決める保険商品なので、一度決めた保険料と満期保険金の額が変わることはありません。また、学資保険は加入から満期を迎えるまでに、15年から20年といった長い時間がかかります。この間にインフレが発生した場合、進学にかかる費用も増加することが見込まれ、満期保険金の金額では実際に必要な教育資金をまかなえない可能性があるのです。

学資保険の返戻率については、下記の記事をご覧ください。
学資保険の返戻率とは?計算方法や返戻率を高くするポイントを解説

学資保険のメリット

学資保険にはデメリットと考えられる特徴がある一方で、メリットもあります。ここでは契約者にとってのメリットについて解説します。

万が一の際に保障がある

万が一の際に保障があることは、学資保険のメリットといえるでしょう。学資保険は、契約者である保護者が死亡または保険会社所定の高度障害状態となった場合、それ以後の保険料の払込みは免除されるのが一般的です。払込みが免除となった場合でも、子どもが満期保険金の受取時期として指定された年齢に達すれば、契約通りの額の満期保険金が支払われます。

預貯金で教育資金を積み立てる場合は、保護者に万が一のことがあると、積み立てを継続するのが難しくなるかもしれません。学資保険なら、契約者である保護者に万が一のことがあった場合にも、教育資金を準備することができます。

生命保険料控除の対象となる

保険料が生命保険料控除の対象となることも、学資保険のメリットのひとつです。学資保険の保険料は、所得税・住民税額の計算において生命保険料控除の対象となり、2012年以降の契約の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8,000円が、契約者のその年の所得から差し引かれます。所得税や住民税の税制上のメリットが得られるので、保険料に相当する額を銀行等に預金する場合と比べ、家計への負担を小さくできます。

なお、生命保険料控除を利用するには申告が必要です。年収が2,000万円を超える人等を除く会社員は、年末調整の際に保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を添付して申告します。個人事業主は、確定申告が必要となり、この場合も生命保険料控除証明書を添えて申告します。

計画的に教育資金を準備できる

計画的に教育資金を準備できることも、学資保険のメリットに挙げられます。学資保険は、払込んだお金を自由に引き出すことはできません。そのため、途中で他の用途に使ってしまう心配がなく、計画的に教育資金を準備できます。

学資保険のメリット・デメリットについては、下記の記事をご覧ください。
学資保険とは?メリット・デメリットや仕組みについて解説

学資保険の必要性が低い人

学資保険にはメリットとデメリットの両方があり、教育資金を準備する手段として適しているかどうかは、それぞれの状況によって異なります。ここでは学資保険の必要性が低い人について解説します。

自分で積極的に資産運用したい人

学資保険の必要性が低い人として、自分で積極的に資産運用したい人が挙げられます。学資保険は、払込んだ保険料の運用を保険会社に任せる保険商品です。そのため、自分で積極的に資産運用をしたい人には、学資保険は向いていません。学資保険の返戻率は、普通預金の金利よりは高いことがほとんどですが、現在の低金利の状況下では、それほど高くはなく、大きく資産を増やすものではありません。そのため、効率的に資産を増やしたいと考える人は、学資保険以外の手段が向いているでしょう。

計画的に貯蓄するのが得意な人

計画的に貯蓄するのが得意な人も、学資保険の必要性は低いといえるでしょう。学資保険のように、毎月口座から保険料が引き落とされ、払込んだ保険料を自由に引き出せないという制約がなくても、確実に貯蓄できる人は、銀行等での預貯金でも教育資金を準備できます。このような人は、学資保険を活用する必要性は低いかもしれません。

毎月の保険料が負担になる人

毎月の保険料が負担になる人にも、学資保険は適していません。学資保険は、途中で解約した場合、解約返戻金は払込んだ保険料総額より少なくなることがほとんどです。そのため、保険料が家計の負担となり、途中で解約する可能性がありそうなら、加入は慎重に検討する必要があります。

このような場合は、満期保険金の額を見直し、保険料負担の少ない保険商品を探すか、学資保険以外の手段を検討するとよいでしょう。満期保険金には必要な額を設定するのが基本ですが、設定金額が上がるほど、月々の保険料支払いの負担は大きくなるため、無理なく支払える額にしておくことが大切です。

学資保険の必要性が高い人

学資保険の必要性が低い人がいる一方で、必要性が高い人もいます。ここでは、どのような人にとって学資保険の必要性が高いか解説します。

万が一の際の教育資金が心配な人

学資保険の必要性が高い人には、万が一の際の教育資金が心配な人が挙げられます。学資保険は、契約者である保護者が死亡または保険会社所定の高度障害状態となった場合には、その後の保険料を支払わなくても、契約時に決めたタイミングで祝金や満期保険金を受取ることが可能です。契約者に万が一のことがあった際に子どもの教育資金が心配な人は、学資保険を利用すれば、確実に教育資金を確保できます。

計画的な貯蓄が苦手な人

計画的な貯蓄が苦手な人にも、学資保険の必要性は高いといえるでしょう。学資保険で払込んだ保険料は途中で引き出すことができません。そのため、預貯金だとつい引き出して使ってしまう人や、自分で資産運用をするのは自信がないといった人は、学資保険を利用するのがおすすめです。引き出してしまう心配がないので確実に資金を貯められるだけでなく、資産運用は保険会社が行ってくれるので安心です。

また、自分で資産を運用すれば、学資保険より効率良くお金を増やし、教育資金を準備できる可能性はあります。一方で、資産運用には知識や時間が必要となる上リスクも伴うため、大きなリスクを負わずに教育資金を準備したいという人には学資保険が適しているでしょう。

保障を増やしたい人

保障を増やしたい人にも、学資保険が適しています。学資保険には、貯蓄性重視と保障性重視の2タイプがあり、貯蓄性重視タイプは一部例外があるものの、基本的には返戻率が100%以上となるように設計されています。

一方、保障性重視タイプの特徴は、返戻率は低めになる代わりに、契約者や子どもの万が一の際の保障が充実していることです。例えば、子どもの入院等に備える医療保障が付いていたり、契約者である保護者に万が一のことがあった場合に満期まで育英年金が受取れたりする保険商品の他、三大疾病(がんや心筋梗塞、脳卒中等)となった場合に保険料が免除される保険商品もあります。

子どもの医療保障が付いた保険商品なら、別途医療保険に入る必要はなく、育英年金が付帯したものなら、契約者に万が一のことがあった際の備えになります。これらの保障が必要な人は、保障性重視のタイプの学資保険を利用するのがおすすめです。なお、貯蓄性重視と保障性重視のどちらのタイプも、契約者が死亡または保険会社所定の高度障害状態となった場合には、以後の保険料の払込みが免除される点は同様です。

学資保険以外で教育資金を準備できる方法

教育資金を準備する手段は、学資保険だけではありません。自分に適した方法を選択することが重要です。ここでは、教育資金の準備に活用できる2つの保険商品について解説します。

終身保険

終身保険でも教育資金を準備することが可能です。終身保険は死亡保険の一種で、一生涯保障が続く保険です。被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態となった場合に保険金が支払われますが、途中で解約した場合は、払込んだ保険料に応じた解約返戻金が支払われます。保険料の払込みが終了していれば、解約返戻金の額は、払込んだ保険料の総額と同程度になるか、上回るのが一般的です。なお、終身保険は子どもの有無にかかわらずいつでも加入できます。

子どもが生まれた際に終身保険を契約し、保険料の払込期間を進学の年齢までに設定しておけば、払込期間を終えてから、任意のタイミングで解約することで、解約返戻金としてまとまった資金が受取れます。例えば、大学進学のタイミングで解約し、教育資金にあてるといったように、教育資金の準備に活用できます。ただし、子どもが生まれた時点ですでに終身保険に加入している場合は保障が重複してしまう点や、解約後は保障がなくなってしまう点には注意が必要です。

個人年金保険

個人年金保険も、教育資金の準備に活用できます。個人年金保険とは、公的年金に上乗せする私的年金です。契約時に決めた保険料払込期間中は保険料を払込み、設定した年齢に達した時に、一括または年金形式で保険金を受取ります。

年金の受取開始時期を子どもの進学に合わせ、一括で受取るようにしておけば、受取った保険金を教育資金として活用できます。ただし、保険商品によっては、受取開始時期が55歳、60歳、65歳等の選択制で、自由には設定できない場合もあるので、その点は注意が必要です。

メリットやデメリットを把握して学資保険を検討しよう

学資保険は、子どもの教育資金を準備する手段のひとつとして活用できます。自由に引き出せなかったり、インフレに対応しにくかったりといったデメリットがあることから「学資保険はおすすめしない」との声もありますが、一方で、万が一の際の保障や生命保険料控除が活用できる等のメリットもあります。教育資金を準備するための手段として適しているかは、家計や契約者の状況によって変わるので、メリットとデメリットを知った上で、自分に必要かどうか検討することが大切です。

「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。自分に合った学資保険を検討したい場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子さん
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