火災保険の見直しは必要?変更・乗り換えのポイントとタイミング
しかし、住まいや家族の状況に変化があると、補償内容が現状にそぐわなくなっている場合もあるため、適切なタイミングで見直すことをおすすめします。
ここでは、火災保険の見直しが必要な理由とそのタイミング、見直す際のポイントを解説します。
この記事のポイント
- 万が一に備えるため、火災保険は状況に応じて定期的に見直すことが大切
- 火災保険の更新時や住宅の引越し時、家族構成に変化があった時等が見直しのタイミング
- 火災保険を見直す際は、補償内容や契約期間、地震保険の必要性をチェックすることが大切
- 火災保険を見直す時は、保険の空白期間や「新価」「時価」の違いに注意が必要
火災保険の見直しが必要な理由とは?
火災保険の見直しが必要な理由は、万が一の際に十分な補償が受けられなくなってしまう可能性があるからです。
火災保険は、火災をはじめ、落雷、風災、水災等の自然災害により、建物や家財に生じた損害を補償する保険で、同じものを再購入する場合にかかる金額を基に保険金額を決めることが一般的です。
建物であれば、同じものを建て直すのにかかる金額、家財であれば、新品で同等のものを手に入れるのに必要な金額になります。
しかし、建物や家財を再購入するのにかかる金額は、常に一定ではありません。住宅の増築や家族が増えたことによる家財の増加、建築費用の高騰等、住まいや家族の状況が変われば、その分、再調達に必要な金額も変動します。
さらに、加入した当時には想定していなかったリスクが新たに発生することもあります。
そのため、変化した状況にあわせて補償内容や保険金額を見直す必要があるのです。
火災保険の見直しのタイミング
火災保険を見直すタイミングはいくつかあります。火災保険を見直す主なタイミングは以下のとおりです。
■火災保険を見直すタイミング

火災保険の更新
保険会社や保険代理店から満期案内が届いたら、火災保険を見直すいい機会です。
火災保険の満期が近づくと満期案内が届きます。満期案内には、加入している火災保険の内容等が記載されているので、現在の状況に合っているかどうかチェックし、必要に応じて他のプランを検討するのもいいでしょう。
加入当時にはなかったプランや割引制度が登場していたり、同じような補償内容でも保険料が違う商品があったりします。
なお、火災保険は2024年10月に全国的な保険料の値上げが行われました。すでに契約中の人も、更新時には新しい保険料が適用される可能性があります。
更新の際には、保険料改定の影響をふまえ、複数社を比較検討することが大切です。
2024年10月の火災保険の保険料改定については、以下の記事をご覧ください。
火災保険料が2024年10月改定で過去最大級の値上げ!安く抑える方法とは?
住宅の引越し
住宅の引越しや売却は、火災保険の補償内容を見直すタイミングです。
引越しや売却により住宅を移る際には、まずは保険会社へ連絡をする必要があります。条件によっては、加入中の火災保険の契約内容を変更することで継続できる場合もありますが、基本は元の火災保険を解約し、新しい保険に加入しなければなりません。
また、引越し前の建物や家財を引き続き所有している場合には、その建物や家財を補償している火災保険を継続していたほうが安心です。例えば旧宅の売却を検討しつつ、先に新居へ引越した場合、火災保険を解約してしまうと、その後に旧宅が火災にあっても補償を受けられなくなってしまいます。
保険の空白期間を避けるためにも、火災保険の保険期間は「旧宅は引き渡し日まで」「新居は契約上の引き渡し日から」を目安に設定することが、リスクを回避する上で有効です。
家族構成の変化
家族構成に変化があった時は、火災保険の補償内容を見直すタイミングです。
結婚、子どもの誕生、子どもの独立等、家族の人数が増減すると、家財の量も変化するケースが多く見られます。
家財の内容や量が変われば、その分必要な補償額も変わるでしょう。家財が増えれば必要な補償額は上がり、逆に家財が減れば必要な補償額は下がります。現状に沿った適切な補償額になるよう、契約内容を見直すことが大切です。
家財保険については、以下の記事をご覧ください。
家財保険とは?火災保険との違いや賃貸での必要性、補償対象を解説
建物評価額の変動
建物評価額に変動があった時は、火災保険を見直すタイミングです。
建物の価値は、増改築やリフォーム等によって上がることもあれば、築年数の経過等で下がることもあります。建物の評価額が上がれば、当初の契約の保険金額では補償が足りなくなる可能性があり、下がっていれば、必要以上の補償を契約している状態かもしれません。加入中の保険金額が現在の建物に対して適切かどうかを確認し、必要に応じて見直しを行いましょう。
外部要因による変化
補償内容を見直すタイミングとして、外部要因による変化も挙げられます。
例えば、物価変動による建築費の変動や、自然災害の被害予測を地図にまとめたハザードマップの更新があった時です。
物価の上昇によって建築費や材料費が高騰した場合、家財や建物の価格も上がり、補償額が不足するおそれがあります。また、自然災害のリスク評価の見直しによりハザードマップが更新された場合、補償対象の追加等を検討する必要もあります。
いざという時に、必要な補償が受けられるかを検討し、足りないようなら保険金額や補償範囲を見直しましょう。
火災保険を見直す際のポイント
火災保険を見直す際に大切なのは、自分に合った補償内容になっているかどうかを確認することです。また、保険料を抑えられるかも検討してみましょう。
ここでは、火災保険を見直す際のポイントについて解説します。

補償範囲の確認
火災保険を見直す際には、補償内容が十分かどうかを確認することがポイントです。
火災保険では火災の補償だけではなく、落雷や水災等の自然災害も補償されるものが多くあります。補償内容を細かく設定できる場合もありますので、住まいに合った補償範囲になっているかを確認しましょう。適正な補償範囲にすることで、十分な補償を確保しつつ、保険料も抑えられます。
もし、加入中の火災保険が希望どおりの補償を備えていない場合は、他の商品を検討することも必要かもしれません。
水災補償の必要性については、以下の記事をご覧ください。
火災保険の水災(水害)への補償は必要?補償内容や適用条件を解説
長期契約を検討
火災保険を見直す際には、長期契約にすることを検討してみてもいいでしょう。
現在、火災保険の保険期間は、最長で5年間となっており、長期で契約したほうが、1年契約で毎年更新するよりも保険料を抑えられる場合があります。
なお、途中で解約した場合には、解約返戻金を受取れるケースがあります。ただし、保険期間の残日数等によって解約返戻金の額は異なり、解約返戻金がない場合もあるため注意が必要です。
また、2022年9月までは10年契約も可能でした。この場合は、割引メリットが高いため、解約するとメリットを失う可能性があり、解約は慎重に検討する必要があります。
地震保険への加入を検討
火災保険を見直す際のポイントとして、地震保険への加入を検討することも挙げられます。
地震や噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害や、地震等で発生した火災による損害は火災保険の対象外です。これらの損害を補償するには、地震保険への加入が必要です。
ただし、地震保険は単独では加入できず、火災保険にセットして加入することになります。地震保険に加入していない場合は、火災保険の見直しのタイミングで、地震保険が必要かどうかを検討しましょう。
地震保険については、以下の記事をご覧ください。
地震保険は入るべき?必要性や補償内容、検討のポイントについて解説
火災保険を見直す際の注意点
火災保険は、住宅の状況や家族構成の変化、建物の価値の変動等に応じて、定期的な見直しが必要です。ただし、見直しの際には補償が不足したり、契約が途切れたりするリスクにも注意しましょう。
ここでは、火災保険を見直す時に押さえておきたい主な注意点について見ていきます。

保険の空白期間をつくらない
火災保険を見直す時に気をつけたいのは、保険の空白期間をつくらないことです。
特に引越しや住宅の売却・購入等で保険を切り替える場合、旧居と新居の補償期間がずれてしまうと、その間に起こる火災や災害による損害が補償されなくなるおそれがあります。
例えば、旧居の保険を引き渡し前に解約してしまった場合、その間に火災が発生しても補償は受けられません。
一方、新居についても、引き渡し日からきちんと補償が始まるよう、事前に保険契約を整えておくことが大切です。
「新価」と「時価」の違いを確認する
火災保険を見直す際には、「新価」と「時価」の違いを正しく理解しておくことが重要です。
新価では、損害を受けた建物や家財を同等の新品に買い替えるための金額を基準に補償され、時価では新価から経年劣化等による価値の減少分を差し引いた金額で補償されます。
例えば、テレビが火災で壊れた場合、新価であれば同等の新品を購入するための費用が全額補償されますが、時価では年数に応じて価値が下がっていると判断され、その分だけ補償額も少なくなります。
火災保険の見直しの際は、現在の契約がどちらの評価基準になっているかを確認しましょう。必要に応じて補償内容を変更し、万が一の際に十分な補償が受けられるように備えておくと安心です。
火災保険は定期的に見直しをしよう
火災保険は、建物や家財に万が一のことがあった場合に、生活を再建するのに必要な金額を補償する保険です。住まいや家族の状況が変われば、必要な補償の内容や金額は変わるため、「一度加入すれば安心」とはいえません。
常に必要十分な補償が受けられるように、保険が満期を迎えたり、住まいや家族に変化があったりしたタイミング等で、定期的に見直しましょう。
同じような補償内容でも、損害保険会社や商品によって保険料が違う場合があるので、保険の見直しをすることで保険料を抑えられる可能性もあります。
「ほけんの窓口」では、複数の損害保険会社の保険商品を取扱っており、補償内容や保険料を比較検討しながら選ぶことができます。火災保険の見直しや新規加入は、ぜひ「ほけんの窓口」にご相談ください。
- ※特約の名称や補償内容は保険会社ごとに異なります。
- ※当ページでは火災保険に関する一般的な内容を記載しています。個別の保険商品等の詳細については保険会社及び取扱代理店までお問い合わせください。
(2025年10月承認)B25-201127
火災保険の見直しについてよくある質問
火災保険の見直しについて、よく聞かれる疑問をまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。
- 火災保険の見直しが必要なのはなぜですか?
- 火災保険は、火災や落雷、風災、水災等による建物や家財の損害を補償しますが、加入当初の補償内容が現状に合わなくなることがあるため、定期的な見直しが必要です。
状況が変化すると、加入時の補償内容では、万が一の際に十分な補償が受けられない可能性があるため、住まいや家族構成、リスクの変化に応じて火災保険を見直すことが大切です。
- 火災保険を見直すタイミングはいつですか?
- 火災保険を見直すタイミングとしては、保険の更新時をはじめ、住宅の引越しや売却時、家族構成に変化があった時、建物の評価額が変動した時、ハザードマップの更新があった時等が挙げられます。
住まいやライフスタイルに変化があった時はもちろんのこと、外部要因による変化があった時も、火災保険の補償内容が現状に適しているかを確認するいい機会となります。
- 火災保険を見直す際のポイントはありますか?
- 火災保険を見直す際の主なポイントは、補償内容が住まいの現状に合っているかを確認することです。
火災保険は火災の他、落雷や水災等幅広く補償対象になる場合があり、補償範囲は契約内容によって異なります。必要な補償を備えつつ、不要な補償を省くことで、保険料を抑えることが可能です。
また、保険期間を長期に設定することで、年単位の契約よりも保険料を安くできるケースや、解約時には解約返戻金を受取れるケースもあります。
- 火災保険を見直す際の注意点はありますか?
- 火災保険を見直す際は、保険の空白期間をつくらないようにすることが重要です。
特に住宅の引越しや売却の際、旧居と新居の補償期間がずれると、万が一の事故に対応できないリスクがあります。
また、新価と時価の違いを理解し、自分の契約がどちらに該当するかを確認することも大切です。必要な補償が確実に受けられるよう、契約内容を把握しておきましょう。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
FPサテライト株式会社 流山サテライトオフィスマネージャー
FPサテライト株式会社 流山サテライトオフィスマネージャー
大学院修了後、IT企業や通信事業者でセールスエンジニア兼企画職として働く。保険や税制の執筆業務を得意とし、年間約150本の執筆・監修を行う。通信事業者での経験を活かし、通信費削減に関する情報提供にも力を入れる。地域とのつながりを重視し、3人の子育てをしながら「地域×FP」をテーマに空き家問題や創業支援に取り組む。

