ファミリーバイク特約とは?補償内容やメリット・デメリットを解説

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原動機付自転車を運転する場合、加入義務のある自賠責保険に加え、任意保険への加入も検討する人が多いのではないでしょうか。二輪自動車や原動機付自転車向けの保険としてはバイク保険がありますが、原動機付自転車の場合、自分や家族がすでに自動車保険に加入しているなら、自動車保険の特約であるファミリーバイク特約をセットできます。

ここでは、ファミリーバイク特約の対象や補償内容の他、バイク保険との違い、メリット・デメリット等について解説します。

ファミリーバイク特約は自動車保険にセットする特約

ファミリーバイク特約は、任意加入の自動車保険にセットできる特約です。特約によって、原動機付自転車を運転中の事故で他人にケガをさせたり、他人の物を壊してしまったりした場合に補償を受けられます。なお、ファミリーバイク特約は自動車保険にセットできる特約なので、単独で加入することはできません。

ファミリーバイク特約の対象

ファミリーバイク特約の対象となる自動車は原動機付自転車です。原動機付自転車とは以下の自動車を指し、電動キックボードも含まれます。

<ファミリーバイク特約の対象車種>

  • 総排気量が125cc以下、または定格出⼒が1.00キロワット以下の二輪自動車
  • 総排気量が50cc以下、または定格出⼒が0.60キロワット以下の三輪以上の自動車(「側車付二輪自動車」を含みます)

また、ファミリーバイク特約では、以下の1から4までのいずれかに該当する人が、原動機付自転車を運転中に起こした事故による損害が補償の対象になります。自動車保険の主契約に30歳以上といった運転者年齢条件や「本人に限る」等の運転者限定が設定されている場合であっても、以下の1から4までに該当する対象者が、原動機付自転車の使用中に起こした事故については、すべて補償の対象です。

<ファミリーバイク特約の補償の対象者>

  1. 自動車保険の記名被保険者
  2. 記名被保険者の配偶者
  3. 1または2の同居の親族
  4. 1または2の別居の未婚の子

なお、ファミリーバイク特約では、対象となる原動機付自転車の台数に制限はないので、2台以上の原動機付自転車を所有している場合もすべて対象です。原動機付自転車が対象者以外の所有物であっても、運転者が対象者であれば補償の対象になります。

自損事故型と人身傷害型の補償内容

ファミリーバイク特約には、自損事故型と人身傷害型の2種類があり、どちらに加入するかによって補償内容が異なります。どちらも、相手への賠償について、対人賠償保険と対物賠償保険があります。一方で、自分のケガへの補償には違いがあります。それぞれの補償内容について解説します。

■自損事故型と人身傷害型の違い

相手への賠償自分のケガへの補償
対人賠償保険対物賠償保険相手のある事故自損事故
(単独事故)
自損事故型×
人身傷害型

自損事故型の補償内容

自損事故型では、自分のケガは相手がいない自損事故(単独事故)等の場合が補償の対象となり、相手のある事故の場合は補償されません。ただし、相手のある事故でも相手が無保険車だった場合等、相手方の保険から補償を受けられないケースでは、例外的に補償される可能性があります。

人身傷害型の補償内容

人身傷害型では、相手のある事故と自損事故のどちらの場合でも自分のケガが補償され、同乗者がいた場合は、同乗者のケガも補償されます。人身傷害型は、補償範囲が自損事故型より広い分、保険料も自損事故型より高くなるのが一般的です。

なお、総排気量50cc以下の原動機付自転車はそもそも2人乗りが禁止されているので、同乗者のケガが補償の対象になるのは、51cc以上125cc以下で乗車定員2名の原動機付自転車に限られます。

自賠責保険で事故への備えは十分?

総排気量125cc以下の原動機付自転車の保険は、自賠責保険で十分に事故への備えができ、任意保険までは必要ないのではと考える人もいるかもしれません。しかし、原動機付自転車であっても運転をすれば、交通事故の加害者・被害者のどちらにもなる可能性が常にあるため、任意保険への加入の検討は必要です。

任意保険に加入していなければ、万が一の時は自賠責保険のみで対応することになります。しかし、自賠責保険の補償範囲は対人賠償保険に限られており、最高4,000万円までといった上限もあります。近年は、事故の損害賠償額が高額になることがあり、自賠責保険の補償限度額を超えてしまうケースもあります。

また、自賠責保険では、相手への対物賠償保険や自分のケガは補償されないので、これらは自己負担です。自賠責保険だけでは、事故を起こした場合の自己負担が重くなりかねないので、ファミリーバイク特約やバイク保険といった任意保険が重要だといえるでしょう。自賠責保険でカバーできる補償の範囲は以下のとおりです。

■自賠責保険の補償範囲

補償の対象となる損害金額(被害者1名につき)
傷害最高120万円
後遺障害
  • 神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残して介護が必要な場合
    常時介護のとき…最高4,000万円
    随時介護のとき…最高3,000万円
  • 上記以外の場合、後遺障害の程度により
    第1級:最高3,000万円~
    第14級:最高75万円
死亡最高3,000万円
対物賠償等、
対人賠償以外
なし

ファミリーバイク特約とバイク保険の違い

ファミリーバイク特約とバイク保険の大きな違いは、加入対象の制限と等級制度の有無です。バイク保険にはファミリーバイク特約のような総排気量による加入対象の制限がなく、125cc超のバイクでも加入することができます。また、保険料に影響する等級制度があり、事故の際に保険を使うと翌年度の保険等級が下がり、その分保険料が高くなります。

ファミリーバイク特約には、等級制度がないため、保険を使っても主契約の等級に影響はなく、翌年度の保険料が高くなることもありません。ただし、ファミリーバイク特約では基本的にロードサービスが利用できません。バイク保険には一般的にロードサービスがセットされており、一定の範囲内のサービスを無料で利用できます。

ファミリーバイク特約のメリット

ファミリーバイク特約にはバイク保険にはないメリットがあります。ここでは、3つのメリットについて解説します。

自動車保険の年齢制限の影響を受けない

ファミリーバイク特約のメリットに、自動車保険の年齢制限の影響を受けないことが挙げられます。ファミリーバイク特約は、家族のうち1人が自動車保険にセットしていれば、その家族は年齢に関係なく補償の対象になります。自動車保険の主契約に30歳以上といった運転者年齢条件や、「本人に限る」等の運転者限定が設定されていても、ファミリーバイク特約では30歳未満の家族や、本人以外の家族も補償の対象です。子どもが原動機付自転車を運転するようになった場合等は、ファミリーバイク特約に加入すれば、手軽に原動機付自転車での事故に備えることが可能です。

保険料が割安となる可能性がある

保険料が割安となる可能性がある点も、ファミリーバイク特約のメリットといえるでしょう。ファミリーバイク特約には補償対象となるバイクの台数制限がないため、原動機付自転車を複数台所有している場合は、それぞれバイク保険に加入するよりも、1台あたりの保険料が割安になる場合があります。

例えば、子どもが通学用、配偶者が通勤用に原動機付自転車を使っているような場合は、それぞれがバイク保険に加入するより、家族全体を補償対象とするファミリーバイク特約に加入したほうが、保険料を抑えられる可能性があります。

保険金を請求しても等級・事故有係数適用期間に影響しない

ファミリーバイク特約のメリットとして、保険金を請求しても等級・事故有係数適用期間に影響しない点も挙げられます。ファミリーバイク特約で保険金を受取っても、主契約ではノーカウント事故として扱われるため、翌年度の等級・事故有係数適用期間に影響はありません。バイク保険には等級別割引・割増制度があるので、保険金を受取ると一般的に等級が下がり、保険料が高くなってしまいます。

ファミリーバイク特約のデメリット

ファミリーバイク特約には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは、加入の際の3つの注意点について解説します。

自動セットではない

ファミリーバイク特約は自動セットではない点に注意しましょう。ファミリーバイク特約は、自動車保険に自動セットするものではなく、自損事故型か人身傷害型かを選び任意で加入する特約です。また、ファミリーバイク特約に加入すれば、その分の自動車保険の保険料は高くなります。

ロードサービスが利用できない

ロードサービスが利用できない点も、ファミリーバイク特約に加入する際に注意が必要です。ファミリーバイク特約はロードサービスの利用対象外なので、ロードサービスが必要な場合は、別途JAFへの入会等が必要となります。

自動車保険がないとファミリーバイク特約を付帯できない

ファミリーバイク特約は、主契約となる自動車保険がないと加入できないことにも注意が必要です。ファミリーバイク特約は自動車保険の特約なので、主契約がないと加入できません。家族の誰も自動車保険に加入していない場合は、ファミリーバイク特約には加入できないので、バイク保険を検討しましょう。

メリットや補償範囲を把握してファミリーバイク特約を検討しよう

ファミリーバイク特約は、自動車保険に任意で追加する特約で、自動車保険の記名被保険者とその家族が運転する原動機付自転車を補償の対象としています。主契約に運転者の年齢条件や範囲が限定されていた場合でも、記名被保険者の家族なら補償の対象となり、また対象とする原動機付自転車の台数にも上限がありません。ファミリーバイク特約には、自損事故型と人身傷害型という補償範囲が異なる2つのタイプがあり、ニーズに合わせて加入できます。

「ほけんの窓口」では、ファミリーバイク特約に関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。ファミリーバイク特約について疑問点がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

  • 特約の名称や補償内容は保険会社ごとに異なります。
  • 当ページでは自動車保険、ファミリーバイク特約に関する一般的な内容を記載しています。個別の保険商品等の詳細については保険会社および取扱代理店までお問い合わせください。

(2024年3月承認)B23-104442

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子
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