収入保障保険とは?メリット・デメリットや必要な人を解説

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一家の働き手に万が一のことが起こる場合を考え、保険の加入を検討する人もいるでしょう。万が一に備える死亡保険のひとつに、保険金が年金形式で支払われる「収入保障保険」という保険があります。収入保障保険は、毎月の保険料の負担を減らし、のこされた家族にとって必要な時期に、重点的なサポートとなる保険です。

この記事では、収入保障保険と、一般的な死亡保険や他の収入の保障を目的とした保険との違いはどのような点なのか、その特徴とメリット・デメリット等を解説します。

収入保障保険は保険金が年金形式で支払われる死亡保険

収入保障保険とは、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になると、毎月一定額の死亡保険金または高度障害保険金が、保険期間が終わるまで年金形式で支払われる保険です。支払われる額は月額で固定されているので、支払われる保険金の総額は、保険期間の「残存期間」に応じて少なくなる特徴があります。

収入保障保険は、被保険者が加入時に設定した特定の年齢になる前に死亡した場合、その年齢になるまで保険金が遺族に毎月支払われます。例えば、30歳の被保険者が、保険期間を60歳までと決めて、毎月10万円が支払われる収入保障保険に加入したとします。もし35歳の時点で亡くなったなら、支払われる保険金の総額は、10万円×12か月×25年=3,000万円です。50歳の時点で亡くなったなら、支払われる保険金の総額は、10万円×12か月×10年=1,200万円になります。なお、保険金は毎月支払われるため、実際は亡くなった月によって支払われる総額が若干変わります。

また、収入保障保険は、保険期間の終了間近で亡くなった場合でも最低限年金の支払いが保証される「最低保証期間」を設定できるようになっているのが一般的です。

■収入保障保険の保険金支払いイメージ

収入保障保険の保険金支払いイメージ

このため収入保障保険は、契約期間内であればいつ亡くなっても一定の保険金額が支払われる死亡保険と比べて、保険料は割安に設定されています。なお、年金形式ではなく一括での受取りを選ぶこともできますが、年金形式と比べると、支払われる保険金の総額は少なくなります。

また、収入保障保険の被保険者が亡くなり、遺族に保険金が支払われた場合、その保険金は課税対象です。課される税金の種類は、被保険者と保険の契約者、保険金の受取人の関係によって変わります。

■契約者・被保険者・受取人の関係と税金の種類(年金受取りの場合)

契約者被保険者受取人税金の種類
A
(例:夫)
A
(例:夫)
B
(例:妻)
相続税
※2年目以降は所得税と住民税
A
(例:夫)
B
(例:妻)
A
(例:夫)
所得税・住民税
A
(例:夫)
B
(例:妻)
C
(例:子ども)
贈与税
※2年目以降は所得税と住民税

収入保障保険の必要性が高い人

収入保障保険は、生活にお金がかかる時期の保障を手厚くすることのできる保険です。一般的に、下記のような人は収入保障保険の必要性が高いといえるでしょう。

家計を支えている人

収入保障保険は、家計を支えている人にとって必要性が高い保険です。養う家族がいる人は、自分に万が一のことがあった場合に、のこされた家族が経済的に困窮するリスクに備えなくてはいけません。収入保障保険なら、もしものことがあった場合は毎月定額の保険金が支払われるため、家族の生活を守ることができます。

子どもが小さく、これからまだ生活資金や教育資金が必要な人

子どもが小さく、これからまだ生活資金や教育資金がかかる人にも、収入保障保険の必要性が高いといえるでしょう。子どもがいる人は、万が一のことがあった場合に、今後の生活費や教育費をどうするのか考えておかなくてはなりません。子どもがいる家庭の場合、必要な保障額は子どもの成長につれて小さくなるのが一般的です。収入保障保険であれば、時間の経過とともに支払われる保険金の総額が減っていくため、合理的にリスクに備えることができます。また、こうした仕組みから、他の死亡保険に比べて、保険料が割安に設定されているため、子どもにお金がかかる時期でも負担が少なくて済みます。

個人事業主やフリーランスの人

個人事業主やフリーランスの人は、会社員と比べて公的保険の遺族年金が少ないため、収入保障保険等で備えておくと安心です。万が一のことがあっても家族が経済的に困らないようにするためには、民間の保険への加入も選択肢のひとつとなります。収入保障保険を利用すれば、毎月の生活費にあてることができます。

収入保障保険と定期保険・就業不能保険・所得補償保険との違い

収入保障保険は掛け捨て型の保険で、契約時に定めた一定期間を保障する保険です。同じく掛け捨ての保険で、一定期間を保障する保険としては、定期保険があります。また、被保険者の収入の保障を目的とした保険には、他に就業不能保険や所得補償保険があります。これらの保険と収入保障保険の違いを確認していきましょう。

■収入保障保険と他の収入の保障を目的とした保険の比較

収入保障保険定期保険就業不能保険所得補償保険
保険の種類生命保険生命保険生命保険損害保険
保険の目的家族の生活費の確保家族の生活費、子どもの教育費・自分の葬儀等の大きな支出の確保被保険者が病気やケガで仕事ができなくなった時の生活費の確保被保険者が病気やケガで仕事ができなくなった時の生活費の確保
保険期間契約時に決めた満了日まで契約時に決めた満了日まで。更新可能な場合あり契約時に決めた満了日まで。更新可能な場合あり1~5年等の一定期間。更新可能な場合あり
保険金等が支払われる条件死亡または保険会社所定の高度障害状態死亡または保険会社所定の高度障害状態医師により保険会社所定の就業不能状態と診断された場合医師により保険会社所定の就業不能状態と診断された場合
保険金等が支払われる方法月払が基本。一括払や年払を選べる商品もある一括払が基本月払が基本。就業不能状態が続いている間月払。対象期間内で就業不能状態が続いている間

掛け捨て型生命保険については、下記の記事をご覧ください。
掛け捨て型生命保険とは?メリット・デメリット、貯蓄型との違い

定期保険との違い

収入保障保険と定期保険はどちらも、契約時に定めた保険期間内に被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった時に、死亡保険金または高度障害保険金が支払われる保険ですが、保険金の支払われる方法に違いがあります。収入保障保険は、年金形式の月払が基本で、支払われる保険金の総額は残存期間に応じて少なくなっていきます。一方、定期保険は、保険期間内であればどの時点でも支払われる保険金の額は一律で、一括払となります。そのため定期保険は、遺族の生活費や教育費だけでなく、マイカーローンの返済や、葬儀費用等の一時的に大きくかかる費用を確保する場合にも利用できます。

就業不能保険との違い

就業不能保険も、被保険者が病気やケガ等で働けなくなった際に、被保険者自身が保険金を受取る保険です。収入保障保険は死亡に備える保険、就業不能保険は働けなくなった時に備える保険という違いがあります。さらに、就業不能保険は次の所得補償保険とも似ていますが、就業不能保険は生命保険、所得補償保険は損害保険という違いがあります。また、就業不能保険は一般的に保険期間が長く、就業不能状態が続く場合は保険期間が満了するまで保険金を受取れますが、所得補償保険は保険期間が1年や2年等と短く、短期の収入をカバーするものです。

所得補償保険との違い

所得補償保険は、被保険者が病気やケガ等で働けなくなった際に、被保険者自身が保険金を受取る保険です。収入保障保険はのこされた家族の暮らしを支える保険、所得補償保険は被保険者が働けない間の暮らしを支える保険という違いがあります。また、収入保障保険は生命保険であるのに対し、所得補償保険は損害保険です。所得補償保険も自営業やフリーランス向きの保険で、会社員と違い有給休暇や傷病手当金等の制度がない部分や、公的保険の障害年金の額が少ない部分をカバーしてくれます。

生存中の就労不能までカバーする収入保障保険もある

収入保障保険の中には、一般の収入保障保険より保障範囲が広い商品や、死亡保障にプラスして、生存中の就労不能や介護状態に対応ができる商品もあります。被保険者が死亡した場合、もしくは被保険者が就労不能となった場合、どちらか一方しか対応できないという点をカバーして、両方の事態にひとつの保険で備えられる商品も選ぶことが可能です。

収入保障保険のメリット

収入保障保険は、保険金が年金形式で支払われる等、定期保険や他の収入の保障を目的とした保険とは異なる特徴があります。ここでは、収入保障保険のメリットについて解説します。

割安な保険料で手厚い保障が得られる

収入保障保険のメリットは、割安な保険料で手厚い保障が得られることです。収入保障保険は一般的には掛け捨て型の保険で、また時間の経過とともに支払われる保険金の総額が減っていく仕組みなので、定期保険に比べると保険料は割安に設定されています。

万が一への備えは大切ですが、保険料が家計を圧迫しないよう考える必要があります。比較的保険料を抑えられて必要な保障を得られることは、収入保障保険の大きなメリットです。

万が一の時のために合理的に生活費等を備えられる

万が一の時のために合理的に生活費等を備えられることも、収入保障保険のメリットといえるでしょう。一家の働き手が亡くなった場合、のこされた家族に必要となる生活費や教育費の額は、時間の経過とともに小さくなっていくのが一般的です。例えば、子どもがいる家庭の場合、時間が経てば子どもは成長し、教育費の支払いも終わり、住宅ローンの残高も減っていくため、必要な保障額は少なくなっていくのです。

まずは、大きな保障を比較的割安な保険料で準備することができ、必要な保障額が少なくなるのに伴い支払われる保険金総額も減っていく収入保障保険は、合理的な仕組みだといえます。

収入保障保険のデメリット

収入保障保険には、割安な保険料で手厚い保障が得られ、生活費や教育費が特に必要な時期に備えられるというメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。収入保障保険のデメリットについて解説します。

途中で解約しても解約返戻金がなく、満期保険金もない

収入保障保険のデメリットには、途中で解約しても解約返戻金がない点が挙げられます。基本は掛け捨てのため、期間途中で解約しても解約返戻金が支払われず、満期保険金もありません。その分、保険料が割安ではありますが、貯蓄性はない保険となっています。

保険金の総額が経過年数とともに減ってしまう

支払われる保険金の総額が経過年数とともに減ってしまう点は、デメリットともいえます。例えば、保険期間の終了間近で保険金が支払われることになった場合、保険金の総額はかなり少なく、払込んだ保険料の総額を下回ることになります。

収入保障保険の特徴を知って適切な商品を選ぼう

収入保障保険は、比較的割安な保険料で必要な時期に保障を手厚くでき、時間の経過とともに保障額が減っていくという特徴があります。そのため、保険料を抑えて合理的に保障を準備したい人にとっては有力な選択肢となります。子どもの成長につれて必要な保障額が少なくなる子育て世帯にとって、特にニーズに合った保険だといえるでしょう。

「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問等を、無料で相談できます。収入保障保険への加入を検討する際は、ぜひ「ほけんの窓口」にご相談ください。

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子さん
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