退職金の相場はいくら?平均額や勤続年数別の目安を解説

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老後資金への備えを考える上で、退職金は公的年金に次ぐ大きな収入源のひとつです。退職金の支給額は、企業規模や業種、勤続年数等によって異なります。老後の資金計画をしっかりと立てるには、退職金の相場を知っておくことが大切です。

ここでは、退職金の相場をケース別に示すとともに、退職金だけに頼らない老後資金の備え方についても解説します。

この記事のポイント

  • 退職金の金額は、企業規模、業種、勤続年数、退職時の基本給や役職、退職理由等によって決まる
  • 老後資金の準備は、退職金以外にも、資産形成の制度や保険等を組み合わせて計画することが重要
  • 老後資金について迷ったら、「ほけんの窓口」で無料相談を活用する方法もある

退職金の支給額はどう決まる?

退職金は、退職する時に企業から支払われるお金です。ただし、法律で支給が義務付けられているわけではありません。

退職金の有無や支給額は、企業ごとに就業規則や退職金規程(企業年金規程を含む)等で定められています。

退職金の支給額や計算方法は、企業によって異なります。

支給額に影響する主な要素と、代表的な計算方法は以下のとおりです。

<退職金の支給額に影響する主な要素>

  • 企業規模
  • 業種
  • 勤続年数
  • 退職時の基本給や役職
  • 退職理由

■退職金の主な計算方法

計算方法内容
ポイント制退職金勤続年数や等級・役職、評価等に応じてポイントを付与し、企業が定める計算式(例:累積ポイント×単価×退職理由係数等)で支給額を算出
給与比例制退職時(または一定期間平均)の給与等を基に、企業が定める支給率や係数を掛け合わせて算出
定額制退職金勤続年数等に応じた定額表(テーブル)や一律額に基づき支給

【企業規模別】退職金の相場

企業規模別の退職金の相場について、ここでは、国や自治体の調査を基に、「定年退職・標準的な勤続年数」を前提とした退職金水準の目安を紹介します。

なお、本記事で紹介する相場は、調査ごとに対象や算出方法が異なるため、金額はあくまで参考値としてご覧ください。

大企業

中央労働委員会の「令和5年賃金事情等総合調査」によると、大企業における平均退職金額は以下のとおりです。

■大企業の定年退職者の平均退職金額(男性)

大企業
大学卒2,139万6,000円
高校卒2,019万9,000円

※出典:「令和5年賃金事情等総合調査」(中央労働委員会)P.7
https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/23/dl/07.pdf)を基に作成

※調査対象が「資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上」であるため、本記事では「大企業」として分類

中小企業

次に、中小企業の退職金の相場を見ていきましょう。

東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」によると、中小企業における退職金の相場は以下のとおりです。

■中小企業の定年退職者の平均退職金額(モデル退職金)

中小企業
大学卒1,149万5,000円
高校卒974万1,000円

※出典:「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(東京都産業労働局)P.34<図表8-1>モデル退職金(会社都合退職)
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/sangyo-rodo/r6chincho_2-8-pdf)を基に作成

※調査対象が「従業員数10~299人の都内中小企業」であるため、本記事では「中小企業」として分類
※男女計・実態ベースの平均値

【業種別】退職金の相場

退職金の相場は、業種によっても異なります。

ここでは、前述の東京都産業労働局の調査より、中小企業における業種別の退職金相場を紹介します。大学卒、高校卒共に、「定年退職・標準的な勤続年数」を前提とした退職金水準の目安です。

■業種別の定年退職者の平均退職金額(モデル退職金)

業種大学卒高校卒
建設業929万6,000円991万4,000円
製造業1,107万6,000円1,027万2,000円
運輸業・郵便業938万3,000円866万1,000円
卸売業・小売業1,239万円880万7,000円
金融業・保険業1,940万4,000円1,497万円

※出典:「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(東京都産業労働局)P.120-123
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/sangyo-rodo/r6chincho_3-8-pdf)を基に作成

【勤続年数別】退職金の相場

ここからは定年退職ではなく、勤続年数別の退職金の相場を企業規模ごとに見ていきましょう。

一般的には、勤続年数が長いほど、受取れる退職金の金額は高くなる傾向があります。

また、同じ勤続年数でも、自己都合か会社都合かといった退職理由によって支給額が異なります。

なお、自己都合は転職や家庭の事情といった本人の都合による退職を指し、会社都合は倒産やリストラといった会社側の事情による退職のことです。

■大企業の勤続年数別の退職金平均支給額(大学卒)

勤続年数(年齢)自己都合会社都合
10年(32歳)182万8,000円305万7,000円
15年(37歳)402万7,000円585万1,000円
20年(42歳)761万9,000円1,021万6,000円
25年(47歳)1,186万3,000円1,487万5,000円
30年(52歳)1,771万8,000円2,054万5,000円

※出典:「令和5年賃金事情等総合調査」(中央労働委員会)
https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/23/index.html)を基に作成

※調査対象が、原則として「資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上、または運輸・交通関連業種」であるため、本記事では「大企業」として分類

■中小企業の勤続年数別のモデル退職金額(大学卒)

勤続年数(年齢)自己都合会社都合
10年(32歳)112万5,000円144万8,000円
15年(37歳)209万3,000円255万9,000円
20年(42歳)346万8,000円408万1,000円
25年(47歳)507万3,000円615万6,000円
30年(52歳)750万7,000円776万2,000円

※出典:「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(東京都産業労働局)
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/sangyo-rodo/r6chincho_2-8-pdf)P.34を基に作成

退職金制度の種類

退職金制度は、「退職一時金制度」「確定給付企業年金制度(DB)」「企業型確定拠出年金制度(企業型DC)」「中小企業退職金共済制度(中退共)」の大きく4つに分けられます。

退職金制度の種類によって特徴が異なるため、勤務先がどの制度なのかを確認しておきましょう。

退職金制度の種類

退職一時金制度

退職一時金制度は、退職時に企業から従業員へまとまった金額を一時金として支給する制度です。

退職金の有無や支給額、計算方法は就業規則や退職金規程で定められており、勤続年数や役職等が反映されるのが一般的です。

確定給付企業年金制度(DB)

確定給付企業年金制度(DB)は、従業員が将来受取れる給付額が、企業によってあらかじめ約束されている年金制度です。

給付額は原則として企業が保証し、資産運用の責任も企業側が負います。受取方法は年金の他、一時金として選択できる場合もあります。

企業型確定拠出年金制度(企業型DC)

企業型確定拠出年金制度(企業型DC)は、企業が掛金を拠出し、従業員が運用を行う年金制度です。

運用成果によって将来の受取額が変動するため、従業員自身の運用判断が老後資金に大きく影響します。

中小企業退職金共済制度(中退共)

中小企業退職金共済制度(中退共)は、主に中小企業の従業員を対象とした退職金共済制度です。

退職金制度の整備が難しい中小企業を支援するため、事業主の相互共済と国の援助によって運営されています。企業が掛金を拠出し、資産の管理・運用は共済団体が行います。

退職金の受取方法

退職金の受取方法は、「一時金受取り」「年金受取り」「一時金受取り・年金受取りの併用」の大きく3パターンに分けられます。

どの方法で受取るかによって、税金の扱いや資金計画に大きな影響が出るため、それぞれの特徴について知っておくことが重要です。

退職金の受取方法

一時金受取り

一時金受取りは、退職する時に退職金を一括で受取る方法です。

住宅ローンの返済や教育費等、退職後にまとまったお金が必要な場合に向いていますが、使い過ぎないように計画的な資金管理が必要です。

受取った退職金は「退職所得」として所得税や住民税の課税対象になります。しかし、勤続年数に応じた「退職所得控除」が適用されるため、税負担が比較的軽く抑えられます。

なお、税金は原則として勤務先から源泉徴収されるため、従業員自身が確定申告を行う必要はありません。

年金受取り

年金受取りは、退職金を分割して、一定期間受取る方法です。

老後の生活費として定期的な収入を確保したい場合に向いています。

制度によっては、受取期間中も運用を継続できることがあり、運用状況次第では運用益を期待できる点が特徴です。

受取ったお金は公的年金等と合算して「雑所得」として扱われ、所得税や住民税がかかります。課税所得の計算にあたっては「公的年金等控除」が適用され一定額までは非課税です。

しかし、控除額はそれほど多くないため、一時金受取りの場合と比べて税負担が重くなる可能性があることに注意が必要です。

一時金受取り・年金受取りの併用

企業によっては、一時金受取りと年金受取りを併用できることがあります。この場合は、退職金の一部を一時金、残りを分割して年金形式で受取ることが一般的です。

まとまったお金も、定期的な収入としても受取りたいという場合に向いています。

一時金部分には「退職所得控除」、年金部分には「公的年金等控除」が適用され、それぞれ所得税や住民税の課税対象になります。

受取りの配分によって、税負担や退職後の社会保険料が変動するため、事前にシミュレーションしておくことが大切です。

老後資金に備える方法

退職金の有無や支給額、受取方法は、企業や人によって異なります。

退職金は老後資金の重要な柱のひとつですが、それだけで将来の生活費をまかなえるとは限りません。

かつては退職金といえば退職一時金制度が一般的でしたが、近年では、年金形式で受取る方法や、従業員が運用を行う企業型確定拠出年金制度(企業型DC)を導入する企業も増加しています。

時代の変化に伴い、退職金制度のあり方は多様化しているといえるでしょう。

また、退職金は「いくら受取るか」だけでなく、「どのように活用するか」まで含めて考えることが大切です。すべてを預貯金として保有するのか、計画的に取り崩すのか、一部を運用に回すのかによって、老後の資金計画は変わります。

そのため、老後に向けた資金計画は、退職金をどのように位置づけるかを整理した上で、公的年金や私的年金、医療・介護への備え等と組み合わせながら、老後資金全体を考えなければなりません。

老後資金に備える主な方法として、資産形成を目的とした制度と、保障を目的とした保険商品があります。例えば、次のような制度や商品が挙げられます。

<老後資金に備える主な制度・保険>

  • NISA(少額投資非課税制度)
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
  • 個人年金保険
  • 終身保険

NISA(少額投資非課税制度)

NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得られた利益(売却益や配当金等)が非課税になる制度です。老後資金をはじめ将来に向けた資産形成に幅広く活用できます。

通常、投資で得られた利益には約20%の税金がかかりますが、NISAを利用すれば非課税となるため、効率的な資産形成が可能です。

必要な時にいつでも売却して現金化できる点も、NISAのメリットのひとつです。

NISAについての相談は、以下のページをご覧ください。
ほまどNISA相談室

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金の準備を目的とした私的年金制度です。

加入者が自分で掛金の額を設定して積立て、定期預金や保険商品、投資信託等から商品を選んで運用し、掛金と運用益との合計額を60歳以降に受取る仕組みになっています。

掛金は全額が所得控除の対象となり、給付金を受取る際に税制上の優遇措置があります。

原則として、60歳までは資産を引出せないことに注意が必要です。

NISAとiDeCoの違いや活用については、以下の記事をご覧ください。
NISAとiDeCoはどっちを優先する?違いや併用の可否についても解説

個人年金保険

個人年金保険は、国民年金や厚生年金等の公的年金を補う目的で、個人が任意で加入する私的年金のひとつです。

公的年金や退職金だけでは老後資金が不足するおそれがある場合でも、個人年金保険を活用すれば、運用判断に悩まずに必要な老後資金を補填できます。

一般的に60歳や65歳等、所定の年齢まで保険料を払込み、契約時に定めた受取開始時期になったら、一定期間または終身にわたって年金を受取ります。

受取る金額や期間をあらかじめ決めて、老後資金を計画的に準備したい人に向いているでしょう。

個人年金保険については、以下の記事をご覧ください。
個人年金保険とは?メリット・デメリットや必要性をわかりやすく解説

終身保険

終身保険は、一生涯にわたって保障が続く、貯蓄性のある生命保険です。

途中で解約しなければ、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態となった場合に保険金が支払われます。また、途中で解約した場合は、それまでの払込保険料の総額に応じた解約返戻金を受取れることが特徴です。

万が一の際の死亡保障を確保しながら、必要に応じて解約して解約返戻金を老後資金として活用することもできます。ただし、終身保険は早期に解約すると、解約返戻金が払込保険料の総額を下回る場合がある点には注意が必要です。

万が一への備えを重視しつつ、老後にまとまった資金を確保しておきたい人に向いているでしょう。

終身保険については、以下の記事をご覧ください。
終身保険とは?メリット・デメリットと種類についてわかりやすく解説

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退職金の相場についてよくある質問

退職金の相場について、よく聞かれる疑問をまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。

退職金の相場はいくらですか?
退職金の支給額は、企業ごとの就業規則や退職金規程等で定められており、企業規模や業種、勤続年数等によっても相場が変わります。
厚生労働省や東京都産業労働局の調査によれば、大企業における退職金の相場は大学卒が約2,140万円、高校卒が約2,020万円、中小企業の場合は大学卒が約1,150万円、高校卒が約974万円です。
退職金の種類は?
退職金制度には、「退職一時金制度」「確定給付企業年金制度(DB)」「企業型確定拠出年金制度(企業型DC)」「中小企業退職金共済制度(中退共)」という大きく4つの種類があります。
従来は、多くの企業が退職一時金制度を採用していましたが、近年では企業型DC等も緩やかに増加傾向にあり、退職金制度の多様化が進んでいます。
退職金以外で老後資金に備える方法は?
退職金以外で老後資金に備えるには「NISA(少額投資非課税制度)」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「個人年金保険」「終身保険」等の方法があります。
それぞれ異なる特徴があるため、現在の資産状況や将来のライフプランを踏まえ、自分に合った方法を検討することが大切です。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
FPサテライト株式会社 流山サテライトオフィスマネージャー

大学院修了後、IT企業や通信事業者でセールスエンジニア兼企画職として働く。保険や税制の執筆業務を得意とし、年間約150本の執筆・監修を行う。通信事業者での経験を活かし、通信費削減に関する情報提供にも力を入れる。地域とのつながりを重視し、3人の子育てをしながら「地域×FP」をテーマに空き家問題や創業支援に取り組む。

黒川 一美
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