育休中、お金がないと感じたら?
家計のピンチにすぐできる対策と節約術
家計のピンチにすぐできる対策と節約術

公的な給付金はありますが、育休開始から28日目までは給与の約80%、その後は約67%しか受取れません。半年後には給与の約50%まで減ることから、思った以上に手取りが少なく感じることもあります。
育休期間中の生活が不安な方に向けて、本記事ではお金が足りない時の対処法やすぐ実践できる節約術を紹介します。
あなたはどのタイプ? ケース別「お金が足りない時」の対処法
育休中にお金が足りなくなったら、原因や状況に合った対処法を選ぶことが大切です。以下では3つのケースに分けて、家計の見直し方や利用できる支援制度を紹介します。
ケース①:パートナーが転職活動中等で収入が不安定
妻が育休中でさらに夫に収入がない場合等は、家計全体の見直しが必要です。まずは固定費を見直し、さらには食費等の変動費をできるだけ抑えて、場合によっては住宅ローン返済の一時減額や、失業給付の申請も検討しましょう。
それでも生活が苦しい場合は、自治体の生活支援を受ける方法があります。支援金の給付や家賃補助を受けられる自治体もあるので、近くの役所に相談をしてみてください。
ケース②:ひとり親(シングルマザー等)の育休
ひとり親に該当する方は、以下の支援制度を利用できる可能性があります。
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児童扶養手当
ひとり親家庭の子ども(18歳の年度末まで)を対象として、自立支援等を目的に支給される手当です。扶養児童1人につき、最大で年間約56万円の手当金を受取れます
参考:こども家庭庁「児童扶養手当について」
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ひとり親家庭等医療費助成制度
病気やケガで医療機関にかかった際に、自己負担分(通常は3割)の一部または全額を自治体が助成する制度です。ひとり親家庭の子どもに加えて、親や養育者も助成対象になります
参考:東京都福祉局「ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)|医療助成」
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住宅手当
自治体によっては、住宅手当や家賃補助の支給、市営住宅への入居等でひとり親家庭を支援しています。地域ごとに制度の仕組みや名称が異なるため、役所に問い合わせることをおすすめします
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ベビーグッズや食料品の無料配布
ひとり親への支援制度は種類が多く、ベビーグッズや食料品等を配布する事例も見られます。各自治体の他、企業やNPO団体による支援もあるため、お住まいの地域の情報をこまめに確認しましょう
上記の他、育休後の復職で悩んでいる場合は、ハローワーク等の就労支援も選択肢としてあります。資格取得等のスキルアップを目指している方は、最大700,000円の訓練促進資金を借りられる「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付制度」の利用も検討してみてください。
ケース③:非正規雇用で育児休業給付金を受取れない
非正規雇用の方でも、原則無利子の貸付型支援を受けることは可能です。例えば、厚生労働省は低所得者世帯等を対象に「生活福祉資金貸付制度」を実施しています。
参考:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」
また、育休取得者の制度利用が難しくても、パートナーなら要件を満たせるかもしれません。具体的には、父親が産後パパ育休(※)を取得し、母親の復職を早めるような方法が考えられます。
(※)子どもの出生後8週間以内に、最大4週間(28日)まで取得できる特別な育児休業。通常の育児休業と異なり、2回まで分割して取得できる。
参考:厚生労働省「産後パパ育休」
産前産後は出費がかさみやすく、予想以上に貯金が減ることも珍しくありません。育休前から家計に余裕がないケースもあるため、事前にさまざまな備えをしておくことが大切です。ひとつの手段として、民間の医療保険によって一定カバーできる場合があります。
以下の記事では「妊活前・妊娠前や妊娠中に加入を検討しておきたい保険」や「妊娠中に医療保険に加入する際の注意点」等について詳しく紹介しています。
妊娠中に加入したい保険は?出産までの費用やリスク、公的制度を解説
お金が不安な時は、まず「現状把握」を
「いつまでに・いくら足りなくなるのか」を把握しておかないと、漠然とした不安だけが募ります。ご自身に合った対策を立てるためにも、まずは現状を把握し、具体的な不足額を知ることから始めましょう。
将来を見据えて家計のシミュレーションをすると「今後どれくらいのお金が必要になるか」が見えてきます。ご自身でのシミュレーションが難しい場合は、ファイナンシャルプランナー(以下、FP)等の専門家に頼る方法がおすすめです。
相談先によっては、将来の収支を細かくシミュレーションし、必要な備えを一緒に考えるところまでサポートしてもらえます。
いますぐ実践! 育休中のリアルな節約術

ここからは現実的な方法に絞って、育休中のリアルな節約術を紹介します。
固定費の見直しが効果大
固定費は変動費とは違い、一度の見直しで節約効果が長く続きます。まずは固定費から減らすことを考えましょう。
わかりやすい例としては、通信費の見直しがあります。なかにはスマートフォンの契約を格安SIMに乗り換えるだけで、月々5,000円程度の節約になるケースも。
また、すでに加入している保険の見直しも有効です。「保障が重複していないか」「過剰な保障がないか」をチェックすると、保険料の削減につながるかもしれません。
現在貯蓄型保険に加入されている方は、掛け捨て型に乗り換えることで保険料を抑えられるようなケースも見られます。
ただし、貯蓄型保険は払込んだ保険料の一部が積み立てられて運用される仕組みとなっており、解約時や満期時に解約返戻金や満期保険金等のまとまったお金を受取ることができます。
効率的に保険を見直したい方は、相談サービス等を利用するのがおすすめです。
「ほけんの窓口」なら、専門家と一緒に現在の家計の事情をふまえつつ、ご自身に合った無理のないプランを立てることができます。相談は何度でも無料です。
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食費は「まとめ買い+冷凍+地域スーパー」で節約
買い物の回数が増えると、目についた特売品等を買ってしまいがちです。無駄遣いを防ぐために、あらかじめ1週間分の献立を作成しておき、買う必要があるものを明確にしておくといいでしょう。
生協や業務用スーパー等で計画的にまとめ買いをすれば、1日あたりの食費を節約できます。すぐに使わない食材は冷凍保存し、すべて使い切ることを目指しましょう。
ベビー用品はフリマアプリで購入する
子どもの成長は早く買い替えが早いため、すべてのベビー用品を必ず新品でそろえる必要は低いでしょう。せっかく高価な衣類を買っても、すぐにサイズが合わなくなることもあります。
中古品の購入は、掘り出し物の宝庫であるフリマアプリの利用がおすすめです。フリマアプリでは衣服の他、絵本やおもちゃ、チャイルドシート等も購入できます。手頃な価格でベビー用品を購入し、不要になったものは出品することも検討してください。
無料支援をフル活用する
育休中は、自治体等の無料支援を利用しやすい期間です。
例えば、自治体によっては子育て世帯に向けて、ベビー用品が入ったベビーボックスや子育て応援券等を配布しています。また、地域の子育てサロンでおむつ等を配布しているケースもあります。
一つひとつは小さな支援でも、上手に活用して積み重ねると、育休中の出費を大きく抑えられます。
夫婦の対話は「我慢」ではなく「協力」で乗り切る
夫婦で家計について話す時には、お互いに協力するスタンスが大切です。感情的に話すとけんかに発展することもあるので「今月は○○円の赤字になる」「病院代が△△円足りない」のように、事実ベースでの対話を意識してください。
また、毎月1回の家計ミーティングを習慣化するのもおすすめです。お互いが常に家計を把握できるように、ミーティングでは以下のことを話し合うといいでしょう。
- 今月の支出(食費、光熱費、保育費等)
- 来月の支出予定
- 預金や積立等の資産状況
- 無理のない節約方法や、家計の調整方法
冷静に話し合うコツは、お互いの意見を最後まで聞き、協力して達成できるような目標を設定することです。また、大切な話し合いを習慣化するために、ミーティングの曜日・時間帯をあらかじめ決めておくのがおすすめです。
育児休業給付金だけじゃない! 育休中に使える公的支援制度一覧

育児休業給付金以外の支援を活用すると、お金がない時期を乗り越えられる可能性があります。以下では、育休中に使える主な公的支援制度をまとめました。
制度名 | 内容 | 条件 |
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①児童手当 | 月額(1人あたり)10,000~15,000円を支給 | 所得制限あり。夫婦のうち「主たる生計維持者(所得が高い方)」の所得で判定 |
②高額療養費制度(帝王切開、異常分娩の際、適用) | 医療費上限超過分を還付 | 世帯収入で上限が変動 |
③医療費控除 | 年間100,000円超の医療費が対象 | 確定申告が必要 |
④出産育児一時金 | 1人あたり原則500,000円 | 健康保険加入者が対象 |
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①児童手当
児童(※)を養っている人に支給される手当です。3歳未満は15,000円、3歳以上は10,000円(第三子以降はいずれも30,000円)等、児童の数や年齢によって支給額が変わります
※0歳から、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
参考:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
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②高額療養費制度
医療機関や薬局で支払った自己負担額が、1か月(暦月)で上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。例えば、69歳未満で年収が3,700,000円以下とすると、上限額は57,600円になります。ひと月の医療費がこれを上回ると、その分の払い戻しを受けられます
参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
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③医療費控除
ご自身や家族のために支払った医療費が年間100,000円を超えると、所得税や住民税から一部が控除される制度です。医療費控除かセルフメディケーション税制を選択し、確定申告で申請を行います
参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
参考:厚生労働省「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について」
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④出産育児一時金
公的医療保険の加入者が出産した際、子ども1人につき原則500,000円が支給される制度です。受給する場合は、出産日の翌日から2年以内に申請する必要があります
参考:厚生労働省「出産育児一時金等について」
窓口の探し方は? 公的支援制度の活用方法
公的支援制度の内容はお住まいの地域によって異なるため、まずは情報収集をする必要があります。気になる制度を見つけたら以下の手順で窓口を探し、申請のステップへ移りましょう。
- 「〇〇市 子育て支援 窓口」で検索する
- 電話で相談し、持ち物や必要書類を確認する
- 予約して窓口に行く
自治体や制度によっては、オンライン申請にも対応しています。
それでもお金が足りない…緊急時の資金調達方法
公的支援制度を使っても生活が苦しい場合は、身内を頼る方法もひとつの手です。実際の相談時には、負担が一箇所に偏らないように配慮し、返済予定を事前に伝える等の工夫をしましょう。
どうしても生活費が不足する場合は「契約者貸付制度」が選択肢になります。生命保険の加入者が解約返戻金を担保に低金利で融資を受けられる制度で、返済負担を抑えやすいことが特徴です。
また、最終手段としてはカードローンやクレジットのキャッシングも考えられます。ただし、公的な貸付制度に比べると金利が高いため、利用の際には必ず返済計画を立ててください。
「お金がない」という経験が、未来の家計を強くする

育休中の「お金がない」という困難は、見方を変えれば家計と向き合うチャンスです。日々の支出を客観的に受け止める姿勢が、未来の家計を強くすることにつながります。
将来の不安を払拭するために、まずは以下のことから始めましょう。
- 家計を見える化し、細かい支出を把握する
- 将来の教育費や住居費用について考え、早めに準備をする
- 家計と人生設計をセットで考えるために、FP等の専門家に相談する
お金がない時期を乗り越えるには、現実的な計画を立てることが大切です。お金がない時こそ「専門家に相談していい」と考え、知恵を借りながらライフプランを組み立てましょう。
お金の疑問は、なかなか周りに話しにくいものです。しかし、その不安を抱えているのはあなただけではありません。
パートナーや家族と不安を共有し、小さな一歩を踏み出すことで、家計にも心にも余裕が生まれてくるでしょう。
過去のお金の使い方を振り返ると、反省点を今後のライフプランに活かせます。妊娠や出産にかかった費用をあらためて整理し、いまできることから始めてみましょう。
それらの費用は、民間の医療保険によって一定カバーできる場合があります。以下の記事では「妊活前・妊娠前や妊娠中に加入を検討しておきたい保険」や「妊娠中に医療保険に加入する際の注意点」等について詳しく紹介しています。
妊娠中に加入したい保険は?出産までの費用やリスク、公的制度を解説
家計や保険のことを「いま考える」ことで、これからの生活に余裕を持たせることができます。専門家と一緒に無理のないプランを立てて、この先の安心につなげてみませんか?
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- ※本コラムは、2025年10月現在の社会保障制度の概要についての説明です。詳細につきましては、所轄の年金事務所等にあわせてご確認ください。
監修者プロフィール
高橋 禎美
ファイナンシャルプランナー(CFP)、FP1級、一種証券外務員
大手アパレル会社在職中に FP資格を取得し独立。
投資がこわい・わからない投資初心者の女性向けにマネー相談、相続相談、セミナーを開催。執筆多数。
カラーアドバイザーとしてパーソナルカラー診断、骨格診断をベースにしたスタイリング提案も人気。お金もおしゃれも手に入れたい女性を応援している。

