高齢者に保険はいらない?高齢者医療制度についてわかりやすく解説

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年齢を重ねると、若い時に比べて病院にかかる機会が多くなり、医療費が心配になります。日本には高齢者医療制度があるため、民間の医療保険への加入は必要ないという意見もありますが、本当に民間の医療保険への加入は不要なのでしょうか。

ここでは、高齢者医療制度の2つの制度や民間の医療保険が適している人の他、高齢になってから民間の医療保険への加入を検討する際の注意点、民間の医療保険を選ぶ際のポイント等について解説します。

多くの高齢者が民間の医療保険への加入を必要だと感じている

生命保険文化センターの「2023年度ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査」によると、60歳以上の59.6%が自身の病気やケガに経済的不安を感じると回答しています。日本には65歳以上を対象とした高齢者医療制度がありますが、公的医療保険制度があっても経済的不安を抱えている人が多いのが現状といえるでしょう。病気やケガの経済的な負担に備えるため、民間の医療保険への加入が必要だと考える人も多く、同調査では63.9%の人が「生命保険に加入している」と回答しています。

出典:公益財団法人生命保険文化センター「2023年度ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査」P149,151
https://www.jili.or.jp/files/research/elderly/pdf/2023/2023honshiall.pdf

高齢者医療制度には2つの制度がある

高齢者医療制度と呼ばれる制度には、75歳以上の人を対象とする後期高齢者医療制度と、65歳から74歳までの人を対象とする前期高齢者医療制度の2つがあります。ここでは、2つの制度について解説します。

後期高齢者医療制度は75歳以上を対象とした公的医療保険制度

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人を対象とする公的医療保険制度です。健康保険等の被用者保険や国民健康保険に加入していた人は、75歳になると後期高齢者医療制度に移行します。また、65歳以上74歳未満の人でも、寝たきり等の障害があると認定を受けた場合は、後期高齢者医療制度の対象になります。被保険者の医療費の自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割負担、現役世代並みの所得のある人は3割負担です。

後期高齢者医療制度は、健康保険や国民健康保険とは別の制度であるため、保険料の請求も別々に行われます。例えば、夫が妻より年上の夫婦で、夫を世帯主として夫婦ともに国民健康保険に加入していた場合、夫が74歳までは2人とも国民健康保険の被保険者のため、世帯主の夫宛にまとめて2人分の保険料請求書が届きます。

一方、夫が75歳となり後期高齢者に該当すると、夫は後期高齢者医療制度に移行しますが、妻は国民健康保険の被保険者のままです。国民健康保険の保険料は世帯主に請求されるため、夫が後期高齢者医療制度に移行しても、妻の国民健康保険の保険料は引き続き夫に請求されますが、夫の後期高齢者医療制度の保険料の請求とは別になります。

また、後期高齢者医療制度には扶養という概念がないため、夫が会社の健康保険などの被保険者で、妻はその被扶養者であった場合、夫が75歳となり後期高齢者医療制度に移行すると、妻は国民健康保険等の新たな公的医療保険に加入する必要があります。

前期高齢者医療制度は65歳から74歳までを対象とした制度

前期高齢者医療制度は65歳から74歳までを対象とした制度です。前期高齢者医療制度の対象になっても、加入する健康保険に変わりはなく、特別な手続きも必要ありません。また、69歳までは医療費の自己負担も3割のままですが、70歳になると高齢受給者証が交付され、70歳から74歳までの自己負担は原則2割となります。ただし、現役世代並みの所得のある人の自己負担は3割のまま変わりません。

前期高齢者医療制度は、健康保険等の被用者保険と、国民健康保険の間での医療費負担の不均衡を調整するための制度です。そのため、後期高齢者医療制度のように独立した保険制度ではなく、一般の公的医療保険制度の中に設けられた枠組みです。65歳から74歳までの前期高齢者は、退職後に国民健康保険に加入するケースが多いため、国民健康保険の高齢者医療の負担は大きくなっています。一方で、健康保険等の被用者保険は、在職中の被保険者がほとんどのため、高齢者医療の負担は大きくありません。国民健康保険の医療費負担の一部を、被用者保険に担ってもらうことで、両保険間の不均衡をなくそうと前期高齢者医療制度がつくられました。

民間の医療保険は幅広い治療の選択肢や快適な入院環境を求める人に適している

民間の医療保険は先進医療等の幅広い治療の選択肢や、快適な入院環境を求める人に適しています。入院や通院にかかるすべての費用が公的医療保険制度の対象になるわけではないからです。

公的医療保険の対象となる医療費であれば自己負担は原則3割となります。また、高齢者医療制度によって70歳から74歳までの人の自己負担は原則2割、75歳以上の人の自己負担は原則1割です。

さらに、公的医療保険制度には、1か月の医療費が自己負担限度額を超えた場合に、超えた金額が支給される高額療養費制度もあります。そのため、公的医療保険の対象となる医療であれば、高齢になり病院にかかる機会が増えたとしても、急に医療費負担が大きくなる可能性は高くないといえるでしょう。

しかし、高額療養費制度の対象になるのは、公的医療保険が適用される医療費だけです。先進医療の技術料や、4床以下の病室を使った場合の差額ベッド代、入院中の食事代等は対象となりません。これらの費用は高額療養費制度ではカバーされないため、全額が自己負担となります。

そのため、治療の際に先進医療等を検討したい人や、快適な入院環境を求める人にとっては、これらの負担に備えるため、民間の医療保険への加入が適しているといえるでしょう。

高齢になってから民間の医療保険への加入を検討する際の注意点

高齢になってから民間の医療保険への加入を検討する場合、若い年代での加入とは状況が異なる可能性があります。次のような点に注意が必要です。

若い時より保険料が割高となる

高齢になってから民間の医療保険への加入を検討する際の注意点として、若い年代より病気になるリスクが高いことで、一般的に保険料は割高となってしまう点が挙げられます。保険料が家計の負担にならないか、加入前にしっかりチェックしましょう。

保険に加入できない可能性がある

高齢になってから民間の医療保険への加入を検討する場合、保険に加入できない可能性がある点にも注意が必要です。民間の医療保険の多くは加入年齢に上限が設けられており、一般的に上限は70歳から80歳までの年齢に設定されています。加入年齢の上限を超えてしまうと、健康であってもその保険には加入できません。また、高齢者は若い年代よりも既往症や持病のある可能性が高く、既往症や持病があると加入できない保険商品もあります。

民間の医療保険に加入する際には、既往症や持病の有無、現在の健康状態等について保険会社へ告知する義務があるため、既往症や持病について正しく告知しなくてはなりません。保険商品の中には、健康状態の告知が必要ない保険商品もありますが、一般的な医療保険より保険料が割高だったり、保障内容に制限があったりする場合もあります。

高齢になってから民間の医療保険を検討する際は、希望する保険商品について、自分の既往症や持病の状況でも加入できるか確認しましょう。

高齢者が民間の医療保険を選ぶ際のポイント

高齢者が民間の医療保険を選ぶ際、確認が必要となるポイントがあります。それぞれどのような点を意識すればいいのか、順番に見ていきましょう。

高額な医療費への保障を確認する

高齢者が民間の医療保険を選ぶ際は、高額な医療費への保障があるかどうか確認しましょう。高齢者医療制度や高額療養費制度によって、公的医療保険の対象となる医療を受ける場合、高齢者の医療費の自己負担は若い世代より小さくなっています。

しかし、高齢者医療制度や高額療養費制度の対象になるのは、公的医療保険が適用される医療費だけです。保険適用外の費用はカバーできないため、高齢者であっても、公的医療保険の対象外の先進医療にかかる費用や、4床以下の病室を使った場合の差額ベッド代等については自己負担となります。

例えば、厚生労働省の「令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」によると、がん治療に用いられる陽子線治療は1件あたり平均約269万円、重粒子線治療は1件あたり平均約316万円かかります。また、同省の「主な選定療養に係る報告状況」によれば、2022年7月1日における1日あたりの差額ベッド代は、平均6,620円です。高齢になってから民間の医療保険への加入を検討する場合、自己資金では負担しきれない高額な医療費をカバーできるかどうか確認が必要です。

※出典:厚生労働省「令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001058546.pdf
※出典:厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001117412.pdf

保障内容と保険料のバランスを検討する

保障内容と保険料のバランスを検討することも、高齢者が民間の医療保険を選ぶ際のポイントのひとつです。民間の医療保険には、さまざまな保障内容・保険料の保険商品があります。保障内容が手厚ければ安心ですが、それだけ保険料も高くなるので、家計への負担になる可能性もあります。

そのため、何に備えるために保険に加入したいのかを明確にした上で、自分に必要な保障内容をカバーした保険商品を選ぶことが重要です。例えば、長期入院でかかる差額ベッド代や食事代に備えたいのなら、入院給付金が充実した保険が候補になるでしょう。

自分の年齢や希望に合った民間の医療保険を検討しよう

高齢者医療制度によって、高齢者の医療費の自己負担は70歳以上で原則2割、75歳以上で原則1割となります。ただし、先進医療の技術料や差額ベッド代、入院中の食事代等は公的医療保険の対象外です。そのため、先進医療等を選択肢としたい人や、快適な入院環境を求める人は、民間の医療保険への加入を検討するとよいでしょう。

高齢者が民間の医療保険に加入する際は、自分に合った保障内容・保険料の保険商品を選ぶことが重要です。「ほけんの窓口」では、医療保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。高齢になってから医療保険への加入を検討する場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子
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