孫のために祖父母は学資保険に加入できる?注意点や税金を解説

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学資保険は、主に子どもの教育資金を準備するための生命保険です。親だけでなく祖父母も契約者となって、保険金を入学祝いとして贈ろうと考えている人もいるかもしれません。ただし、学資保険は親と祖父母では、契約者になった場合に異なる点もあるので、違いをしっかり把握した上で契約することが大切です。

ここでは、祖父母が学資保険の契約者になる際に注意したい点と、かかる税金について解説します。

祖父母は孫のために学資保険に加入することが可能

学資保険は、子どもを被保険者とし、親が契約者になるのが一般的ですが、孫を被保険者として祖父母が契約者になることも可能です。契約者になれる条件は保険会社によって異なりますが、多くの保険会社では親以外に、3親等内の親族や被保険者を扶養する人等が契約者になれます。

学資保険については、以下をご覧ください。
学資保険とは?メリット・デメリットや仕組みについて解説

孫のために学資保険に加入する際の注意点

孫のために祖父母も学資保険の契約者になれますが、親が契約者になる場合とは異なり、いくつか注意しておきたい点があります。祖父母が学資保険に加入する際の注意点を見ていきましょう。

加入できる年齢の上限や健康状態の告知がある

学資保険に加入する際は、契約者が加入できる年齢の上限の確認や、健康状態の告知を行う必要があります。年齢の上限は50歳、65歳等、保険会社によって異なり、祖父母が契約者になる場合は、自身が加入できる年齢が設定されている保険を選ぶことが大切です。

なお、保険期間中に契約者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合に、以降の保険料が免除される「保険料払込免除特約」を付ける場合は、年齢の上限が厳しくなるケースもあります。

また、学資保険への加入時は、契約者の健康状態の告知も必要です。ただし、年齢が上がるほど体の変化が出てきて、病気のリスクも上がりやすくなるため、健康状態によっては契約者になれない可能性もあることを理解しておきましょう。

年齢によって保険料が上がる可能性がある

一般的に、学資保険は契約者の年齢が上がるほど保険料が高くなる可能性があります。保険料は、加入時の子どもの年齢と契約者の年齢によって決まるためです。また、契約者の年齢が上がると、保険料の払込期間の設定が短くなり、その分、保険料の月額や年額が高くなってしまうことにもなります。

親の同意や同居の証明が必要

祖父母が契約者となって学資保険を申込む際には、孫の親権者である親の同意や、孫と同居している証明が必要です。学資保険は、保険期間中に被保険者(孫)に万が一のことがあった場合、それまでに払込んだ保険料相当額が、死亡保険金として契約者に支払われます。そのため、申込書に親権者の自署をもらわないと契約ができません。

また保険商品によっては、被保険者である孫との同居が条件であったり、扶養していることの証明が必要であったりする場合もあります。このような場合も、孫の親権者の同意が必要となります。

祝金や満期保険金は課税対象になる

学資保険の祝金や満期保険金は課税対象となります。税金の種類や計算方法は、保険料負担者と受取人の関係、祝金・満期保険金の受取り方によって変わります。表にまとめると以下のようになります。

■保険料負担者や受取り方によって変わる税金の種類

保険料負担者と受取人の関係受取り方税金の種類
保険料負担者と受取人が同じ一括受取り所得税(一時所得)
年金形式所得税(雑所得)
保険料負担者と受取人が異なる一括受取り、年金形式贈与税

保険料負担者と受取人が同じ場合は、祝金や満期保険金は所得税の対象になります。親が子どもの学資保険を契約して、保険料負担者と受取人になった場合です。また、例えば祝金を進学等の節目に受取る場合は一時所得、年金形式で受取る場合は雑所得とみなされ、それぞれ税金の計算方法が異なります。

保険料負担者と受取人が異なる場合は、受取る祝金や満期保険金は贈与として扱われるため、贈与税の対象となります。祖父母が学資保険の保険料負担者となり、受取人は孫や孫の親とするようなケースです。贈与税は年間110万円の基礎控除があるので、年間に贈与される総額が110万円以下であれば税金はかかりません。

贈与税は、1年間に受取ったすべての贈与の金額から基礎控除の110万円を差し引き、その金額に応じた税率をかけて求めた金額から、所定の控除額を差し引いて計算します。計算式は、「贈与税の額=(受取った祝金や満期保険金-基礎控除110万円)×税率-控除額」です。

以下の表は、契約者・被保険者・受取人の関係によって、かかってくる税金がどの種類になるのかを示しています。祖父や祖母が孫のために学資保険に加入する際の参考にしてください。

■祖父母が契約した学資保険の保険金にかかる税金の例

契約者・被保険者・受取人の関係契約者被保険者受取人税金の種類
契約者と受取人が同一祖母祖母所得税
契約者と受取人が異なる祖母贈与税
契約者・被保険者・受取人がそれぞれ異なる祖父孫の父母贈与税

学資保険の祝金や満期保険金にかかる税金については、以下をご覧ください。
学資保険の祝金や満期保険金に税金はかかる?契約ごとの違いを解説

教育資金にかかる税金を軽減する方法

学資保険の祝金や満期保険金は課税対象となるため、祖父母が孫へ教育資金を援助する際には、祖父母が学資保険に直接加入する以外の方法も検討する必要があります。また、教育資金を一括で贈与することで、非課税となる制度もあります。教育資金を贈与する際にかかる税金を軽減する方法を、以下で見ていきましょう。

孫の親に保険料分を贈与する

年間贈与額が110万円以下であれば、一般的には贈与税がかからない暦年贈与となるため、祖父母から孫の親に年間110万円以下のお金を贈与することが可能です。贈与をしたら、祖父母が学資保険を契約するのではなく、孫の親が保険料負担者・受取人となって学資保険に加入します。祖父母から贈与される金額で保険料を払込めば、税金のかからない範囲で保険料を支援することができます。

この場合、親が一括で満期保険金を受取る場合は一時所得となり、最高50万円の特別控除があります。計算式は、「一時所得の金額=満期保険金の金額-払込保険料の総額-特別控除額(最高50万円)」です。

祖父母が契約者となり、満期保険金を孫や孫の親が受取る場合は全額が贈与税の対象になってしまいますが、この方法では満期保険金と払込保険料の差を基に課税対象を計算します。払込保険料を引く分、課税対象が少なくて済むことになります。結果として、満期保険金等を受取る際の税金の軽減につながるでしょう。

なお、「毎年110万円を贈与し、10年で計1,100万円を贈与する」といったように、決まった期間に一定の贈与を行うことを取り決めた場合は定期贈与となり、贈与額の合計に贈与税がかかるため注意が必要です。

都度贈与を利用する

「都度贈与」とは、贈与された金額を、特定の目的のために1回で使い切ると、贈与税が非課税になる制度のことです。例えば、生活費や教育費について、必要な分を祖父母が孫に一括で贈与した場合は、贈与税がかからず、上限も特に設けられていません。ただし「必要に応じて」という点が重要で、贈与で将来の分まで渡した場合や、資金を他の用途に使った場合等は、制度の対象外となってしまいます。

「教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置」を利用する

教育資金の贈与にかかる税金を非課税にする方法として、「教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置」を適用するといった方法があります。これは、教育資金にあてるための目的で銀行等の金融機関で手続きを行い、お金を子や孫に一括で贈与した場合、贈与を受取る側1人あたり合計で1,500万円までは贈与税がかからない特例です。

この制度の適用を受けるためには、以下のような条件があります。

<制度利用の条件>

  • 贈与を受ける側(受贈者)が30歳未満であること
  • 子や孫等の直系尊属への贈与であること
  • 教育資金であること
  • 受贈者が教育資金口座等の開設や申告書の提出、払出し時の支払い事実を証明する書類の提出等を行うこと

なお、対象となるのは教育資金のみで、教育資金以外に使われた部分については課税されます。教育資金にあたるのは、次の2種類です。

・学校等に直接支払われる金銭

入学金や授業料、入学試験の検定料、学用品の購入費、給食費、修学旅行費用等

・学校等以外に対して直接支払われる金銭

塾の費用、スポーツや音楽、芸術等の習い事にかかる費用、通学定期代、留学のための交通費等

なお、これらの教育資金に該当すると認められるには、証明が必要です。領収書等を保管し、期日までに金融機関へ必ず提出しましょう。「教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は、期間が2026年3月31日までと決まっている特例のため、贈与の予定がある場合は計画的に適用を受ける必要があります。

祖父母が教育費等を直接支払う

祖父母が必要な教育費等を負担した場合は贈与税対象になりません。贈与税は受取った財産に対して課税されますが、扶養者から生活費や教育費のために受取った財産には贈与税がかからないとされています。ただし、該当するのは、日常生活を送るために必要な金額を必要なタイミングで渡した場合に限ります。必要な教育費だと証明するためには、負担する学費を直接祖父母が支払った時の領収書を保管するといった工夫を行いましょう。

大切な家族のために教育資金を備えられる学資保険を検討しよう

子どもの教育資金を準備するための学資保険は、祖父母が孫のために契約することも可能です。ただし、保険によっては契約者の年齢に上限が設定されていたり、加入に際して親の同意が必要だったりする等、注意しなくてはならない部分もあります。また、保険料負担者や受取り方によってかかる税金の種類も変わります。学資保険をうまく活用すれば、孫にまとまった教育資金を贈ってあげることができるため、加入にあたっては、しっかりと検討をすることが大切です。

学資保険にはさまざまな商品があり、各家庭のライフプランに合わせて選ぶことが重要になります。保険選びに迷った時には、保険の専門家に相談しましょう。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。学資保険に関する疑問や悩みも、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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