新NISAのデメリットとは?活用のメリットや運用ポイントを解説

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個人の資産形成を支援する制度として2014年から始まったNISA制度が、2024年に「新NISA」として大きく改正されました。これまでのNISA(以降、旧NISAとする)よりもさらに資産形成に役立つ制度になった点がクローズアップされているのを見聞きして、これから新NISAを始めようと考えている人もいるでしょう。しかし、始める前に制度の内容をきちんと理解し、メリットだけではなくデメリットについても知っておかなくてはなりません。

この記事では新NISAで資産形成する場合にどのようなデメリットがあるか、新NISAを活用する際のポイント等について解説します。

新NISAは旧NISAと比べて何が変わった?

新NISAは旧NISAと同じく、NISA口座内で投資信託や株式等に投資して、得られた利益に税金がかからない制度です。また、これまでのように年間投資上限額や投資できる金融商品に関する規定があります。

また、新NISAになって変更された点もあります。

  • 制度が恒久化された
  • 従来の制度が一本化されて、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」を併用できるようになった
  • 年間投資枠が360万円に拡大された(成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円)
  • 非課税保有限度額が1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)に拡大された
  • 非課税保有期間が無期限になった
  • 成長投資枠で投資できる商品に一部制限が設けられた

特に大きく変わった点は、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つの枠を併用できるようなったことと、非課税保有期間が無期限になったことです。

旧NISAでは一般NISAかつみたてNISAの選択制でしたが、新NISAでは一般NISAに相当する成長投資枠とつみたてNISAに相当するつみたて投資枠の併用が可能です。それにより、一括・積立での購入方法を併用できるようになり、柔軟に投資できるようになりました。

また、旧NISAでは非課税保有期間が一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間と制限がありましたが、新NISAでは無期限となり生涯にわたる保有も可能になりました。これまでのように、期限到来時には売却あるいはロールオーバー、課税口座への移管のいずれかを選択し、手続きをする必要がありません。

新NISAにデメリットはある?

新NISAは、旧NISAよりも非課税メリットがさらに拡大した上、生涯を通して利用できます。長いライフプランに向けた資産形成として活用したい制度といえるでしょう。一方で、新NISAにデメリットがないわけではありません。新NISAを利用する際にはどのようなデメリットがあるかを、きちんと理解した上で利用することが大切です。

旧NISAからのロールオーバーができない

旧NISA口座の非課税保有期間の終了を迎えた際、新NISA口座にロールオーバーすることはできません。また、非課税保有期間の期限到来前に旧NISA口座内の資産を新NISAに移管することもできません。

旧NISA口座内で保有している資産は、新NISAとは別枠でそのまま運用されます。

投資対象商品が限定されている

新NISAのつみたて投資枠で投資できる商品は、旧NISAのつみたてNISAの対象となっていた商品と同じです。金融庁が定める基準を満たした「長期・積立・分散」投資に適する投資信託(ETFを含む)に限定されています。

成長投資枠では、旧NISAの一般NISA同様、上場株式やつみたて投資枠対象外の投資信託等に投資できます。しかし、一般NISAにはなかった以下の除外条件が設定されました。

  • 整理銘柄や監理銘柄
  • 毎月分配型の投資信託等
  • デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等
  • 信託期間20年未満の投資信託等

新NISAでは生涯を通した資産形成のサポート趣旨があるため、除外されたのは主に長期的な資産運用に向かない商品・銘柄です。投資する側としては、長期投資に向かない商品・銘柄があらかじめ除外された点は商品を選びやすく、メリットになるといえるでしょう。

18歳未満は口座開設ができない

新NISAを利用できるのは18歳以上の人に限られています。

旧NISAには「ジュニアNISA」という、未成年者のみが利用できる制度がありました。しかしジュニアNISAも2023年末に終了し、2024年以後は未成年者が行える非課税投資制度はありません。そのため、18歳未満の人はNISA口座を開設できなくなりました。

損益通算ができない

新NISAも旧NISAと同様に、NISA口座での投資は損益通算ができません。

損益通算とは、投資で利益が出た場合に他の投資の損失と相殺させて課税対象となる利益を小さくすることです。NISA口座を利用した投資で損失が出ても、他の口座の利益と相殺はできません。

元本割れのリスクがある

新NISAにかかわらず投資は預貯金と違い、元本割れのリスクがあります。NISAは、投資で得られた利益が非課税になる制度ですが、あくまでも投資なので元本保証はありません。

元本割れするリスクを抑えておかないと、損失が出た際に後悔する可能性があります。元本割れを起こしたときに慌てないよう、リスクを想定したライフプランニングを行うこと、長期的に投資を行う意識を持つことが大切です。

運用の自由度が高く投資判断が難しい

新NISAでは旧NISAに比べて投資方法や投資タイミング、投資商品選び等の自由度が高くなりました。その一方で、運用する際に自分で考えて判断しなければいけないことが増えたため、初心者にとっては難易度の高いと感じる部分も出てきたといえます。

売買のタイミングや商品・銘柄選びに不安を感じる人は、対象商品が限定されているつみたて投資枠の利用から始めるとよいでしょう。また、必要に応じて専門家に相談するのもおすすめです。

新NISAにはメリットもたくさん!

新NISAにはデメリットがありますが、メリットも多くあります。

以下で、あらためて新NISAのメリットも確認しておきましょう。

長期的な資産運用ができる

新NISAでは非課税保有期間が無期限になり、長期的な運用を考えやすくなりました。旧NISAのように5年後あるいは20年後にどのような取扱いをするか考える必要もなくなり、お金が必要になる時まで運用を続けられます。

買付した後、非課税期間の終わりを気にせず新NISA口座で長く運用できるため、非課税期間の終わりを気にして運用する必要がありません。投資判断を下す機会が減り、長期的にじっくりとした投資を行いやすいでしょう。

また、長期的に運用できれば、収益が平準化して、安定したリターンを得られる公算が高まるでしょう。

非課税枠の再利用ができる

新NISAでは非課税保有限度額が1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)ですが、この非課税枠は再利用ができます。これは新NISA口座で保有している資産を売却した場合、その資産を買付た時の価格(簿価)の分だけ枠が空き、翌年以降に空いた部分の枠を利用できる仕組みです。

加えて非課税枠は生涯継続して利用できるので、必要に応じて資産を取崩しながらも流動的に資産形成を行えるでしょう。

つみたて投資枠と成長投資枠が併用できる

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。そのため、資産形成の目的に応じて使い分けることが可能です。

例えば、つみたて投資枠では将来の老後資金を長い期間をかけて安定的に増やすために使い、成長投資枠ではより短期的な利益や株主優待を目的として使う方法が考えられるでしょう。

資産運用の選択肢が増え、目的に応じて柔軟に投資を行える点は、新NISAのメリットといえます。

新NISAを上手に活用するためのポイント

新NISAを上手に活用するためには、メリット・デメリットを理解するだけでなく、次のポイントをしっかり踏まえた上で投資することが大切です。

投資目的を明確にする

何のために投資をするのか、目的を明確にしてから実行しましょう。例えば、教育資金や老後資金等といったライフプラン上の資金を用意する目的や、「○年後に○万円」等具体的な期間や金額でも構いません。

目標とする期間や金額、目的とする資金の種類等を明確にすれば、投資する商品や運用の仕方、リスクの度合い等を適切に判断できます。

長い運用期間をとれる場合は株式、安全性を重視して運用したいお金に関しては債券等、目的に応じて自分に合っている金融商品を選びましょう。

リスク許容度を明確にする

投資をする際には、自分のリスク許容度を明確にしておくことが大切です。リスク許容度とは、「どれだけの損失を受け入れられるか」という度合いです。リスク許容度は、「資金(売却)が必要となるまでの期間」や「投資の目的」「預貯金等の他の資産状況」「家計の状況」「性格」等によって変わります。

投資目的に加え、もしも目標額に満たなくても貯蓄等で補填できるか、一時的に価格が下がってもまた上昇するのを待てるかどうか等、さまざまなパターンをシミュレーションしましょう。

自分のリスク許容度を超えて投資をすると、暴落相場に巻き込まれた時にパニック状態となりかねません。長期的に投資を行うためにも、リスク許容度を意識することが大切です。

長期運用と分散投資を心掛ける

新NISAのメリットを活かせるように、長期運用と分散投資を心掛けるようにしましょう。

つみたて投資枠を利用して積立投資を行うことで購入タイミングの分散ができ、リスクを抑えることが期待できます。また、長期運用をすることで複利効果が大きくなるメリットが見込めます。

集中投資には短期的に大きく資産を増やせる可能性がある一方で、損失が大きくなりやすいデメリットがあります。リスクを抑えつつ安定的にリターンを得たい場合は、長期運用と分散投資を心掛けることが欠かせません。

初心者の方はプロに相談するのがおすすめ!

新NISAには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。デメリットを理解しつつ、新NISAをより有効活用するためには、投資目的やリスク許容度を明確にするとともに、自身に合った商品選びや投資枠の使い分けが大切です。投資初心者は、まずプロに相談しながら新NISAでの投資を始めることもデメリット対策としておすすめです。

「ほけんの窓口」では、一人ひとりの不安に寄り添い、リスク許容度把握のための家族構成や収支状況のヒアリングから行います。新NISA活用のサポートはもちろん、iDeCoの仕組みのご説明、投資目的に適する制度の選び方のアドバイス等も行います。新NISAの利用を検討されている方はお気軽にご相談ください。

ほけんの窓口グループ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第1020号
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