傷害保険とは?補償内容や生命保険との違い、支払われない例を解説

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傷害保険は、日常生活でのケガに備えるための保険です。ただ、そう聞いても「具体的にどのようなケガが対象になるのだろう」「医療保険と何が違うの?」等と、疑問を感じる人も多いのではないでしょうか。

傷害保険への加入を検討する際には、補償対象となるケガや、補償内容等について正しく理解しておくことが大切です。

ここでは、傷害保険の概要と種類、補償が適用されるケガの例の他、生命保険のひとつである医療保険との違いについても解説します。

この記事のポイント

  • 傷害保険はケガによる入院・通院・死亡を補償する保険
  • ケガの原因となる事故が「急激」「偶然」「外来」に該当しない場合は、傷害保険の補償対象にならない
  • 傷害保険には、夫婦を対象とする「夫婦型」や家族も対象になる「家族型」等がある
  • スポーツやレジャーの機会が多い人や高齢の人等は傷害保険への加入がおすすめ

傷害保険とはケガで発生する費用を補償する保険

傷害保険は、骨折ややけど、全身打撲といった、日常生活におけるケガに備える保険です。ケガによって入院・通院したり、死亡したりした場合に、契約時に定めた保険金が支払われます。スポーツ中や通勤中、旅行中、交通事故によるケガ等、補償対象は幅広いものの、「急激」「偶然」「外来」の3つに該当することが条件です。

また、「傷害保険」という名前のとおり、ケガに対する保険であり、病気は補償対象外となります。

傷害保険で対象となるケガの種類

傷害保険はケガに対する保険ですが、すべてのケガが補償対象となるわけではありません。傷害保険で対象となるケガには、いくつかの要件があります。

ケガは「急激」「偶然」「外来」を満たす必要がある

傷害保険で補償対象となるケガは、「急激」「偶然」「外来」のすべてを満たしている必要があります。急激・偶然・外来の事故とは、「突発的(急激)に、たまたま(偶然)、被保険者の身体の外部からの作用(外来)によって生じる事故」のことで、具体的には以下のようなケースを指します。

■「急激」「偶然」「外来」とは

急激

突発的に発生した事故で、ケガに至るまでのタイムラグがなく、事故を予測・回避することが不可能なもの

偶然

事前に予知できない事故や、ケガをした本人の意思に基づかずにたまたま発生した事故

外来

ケガの原因が、身体外部からの作用による事故

補償が適用される・されないケガの例

傷害保険は「急激」「偶然」「外来」のうち、1つでも該当しないものがある場合は、傷害保険の補償対象外となります。補償が適用される・されないケガの例は以下のとおりです。

<傷害保険の補償が適用されるケガの例>

  • 自動車との接触による全身打撲
  • 階段で足を踏み外して骨折
  • 料理中のやけど
  • 運動をしていてアキレス腱を断裂
  • 自転車で走行中に転倒して捻挫

<傷害保険の補償が適用されないケガの例>

  • 靴ずれやしもやけ
  • 疲労骨折
  • 食中毒
  • 足の骨折治療中にボールを蹴って悪化させた
  • 危険な運動や犯罪行為、飲酒運転によるケガ

なお、特約をセットすれば、傷害保険の補償範囲を広げることも可能です。例えば、特約をセットすれば「熱中症」「法律上の賠償責任」等への補償をカバーできる保険商品もあります。

傷害保険の種類

傷害保険には、いくつかの種類があります。ここからは、代表的な傷害保険の種類を紹介していきます。

普通傷害保険

普通傷害保険は、もっとも基本的な傷害保険です。家庭内や職場の他、通勤中、旅行中、スポーツ中、レジャー中といった、日常のさまざまなシーンで起こる急激・偶然・外来の事故によるケガが補償されます。被保険者本人のみが対象となるため、「本人型」とも呼ばれます。

家族傷害保険

家族傷害保険は、被保険者本人に加えて、家族のケガに対しても補償される保険です。補償の範囲は普通傷害保険と同じですが、対象者が家族まで広がります。被保険者とその配偶者までを対象とした「夫婦型」、被保険者とその配偶者、同居の親族及び別居の未婚の子まで対象とした「家族型」、被保険者と同居の親族及び別居の未婚の子が対象となる「配偶者対象外型」等があります。

交通事故傷害保険

交通事故傷害保険は、交通事故によって被ったケガが補償される保険です。道路通行中の交通事故をはじめ、乗り物に搭乗中の事故や、乗り物との接触・衝突、乗り物の火災、駅の改札口内での事故等によるケガが補償対象となります。

旅行傷害保険

旅行傷害保険は、旅行中のケガが補償される保険です。海外旅行傷害保険と国内旅行傷害保険があります。特約をセットすることで、賠償責任、携行品損害、救援者費用等が補償されます。海外旅行傷害保険のなかには、病気による治療や死亡、テロ等対応費用、弁護士費用等が補償されるものもあるため、補償内容をよく確認しておきましょう。

傷害保険で支払われる保険金の種類

傷害保険では、急激・偶然・外来の事故によるケガで入院・通院・死亡した場合等に、契約時に定めた額の保険金が支払われます。主な保険金の種類は、以下のとおりです。

入院保険金

入院保険金は、ケガの治療を目的として、保険会社所定の入院(日帰り入院を含む)をした場合に支払われる保険金です。保険金額は「入院保険金日額×入院日数」で計算されます。なお、入院中に別のケガをした等、別々のケガで同一日に入院した場合は、重複する入院に対しての保険金は支払われません。

手術保険金

手術保険金は、ケガの治療を目的として、保険会社所定の手術を受けた場合に支払われる保険金です。保険金額は「入院保険金日額×所定倍率」となります。入院を伴わない手術も補償されます。

通院保険金

通院保険金は、ケガの治療を目的として、保険会社所定の通院をした場合に支払われる保険金です。入院の有無は問いません。保険金額は「通院保険金日額×通院日数」です。

死亡保険金

死亡保険金は、事故によるケガで被保険者が亡くなった場合に支払われる保険金です。支払われる金額は、契約時に設定した保険金額の全額になります。

後遺障害保険金

後遺障害保険金は、事故によるケガのために、保険会社所定の後遺障害を被った場合に支払われる保険金です。保険金額は「死亡・後遺障害保険金額×所定割合」で計算されます。所定割合は、後遺障害の程度に応じて異なります。

傷害保険と医療保険の違い

傷害保険と混同されやすい保険に、医療保険(民間の医療保険)があります。主な違いは以下のとおりです。

■傷害保険と医療保険の違い

傷害保険医療保険
対象となる原因急激・偶然・外来の事故によるケガ病気全般、ケガ(急性・慢性含む)
保障範囲入院、手術、通院、死亡、後遺障害等入院、手術、入院を伴う通院等
健康状態の告知なしあり
保険料職業、職種によって異なる年齢、性別、健康状態によって異なる
具体的な加入目的転倒、スポーツ中のケガ、交通事故等生活習慣病や女性疾患等の病気

傷害保険は急激・偶然・外来の事故によるケガ等が補償される保険で、損害保険の一種です。それに対して、医療保険は、病気やケガで入院、手術が必要になった際の費用等に備える保険で、生命保険の一種という違いがあります。

傷害保険は、急激・偶然・外来の事故によるケガによって、入院や通院、手術、死亡した場合に、保険金が支払われます。入院や手術を必要としないケガもカバーされ、通院1日目から保険金が支払われるケースが一般的です。ただし、病気による入院や治療は、補償の対象外です。

一方、医療保険は、病気やケガで入院したり、所定の手術や治療を受けたりした場合に、保険金を受取れます。また、特約を付加すれば、退院後の通院もカバーできます。ただし、入院を伴わない通院は基本的に保障対象外です。

医療保険については、以下の記事をご覧ください。
医療保険とは?公的医療保険制度と民間の医療保険の違いと種類、仕組みを解説

どのような人に傷害保険が必要?

傷害保険の必要性が高いといえるのは、スポーツや体を動かすレジャーをする機会が多い人の他、過去にケガをした経験があり、今後もケガの心配がある人等です。加入時に健康状態の告知が必要な医療保険とは異なり、一般的に傷害保険では、過去の病気やケガの告知は必要ありません。

また、年齢を重ねた人も傷害保険の必要性が高いといえます。年齢を重ねると徐々に運動機能が低下し、若い頃よりもケガのリスクが高まります。さらにケガの治療も長引く可能性があるため、心配な場合は傷害保険への加入を検討するといいでしょう。

傷害保険を選ぶ際のポイント

傷害保険への加入を検討する際には、いくつかの注目したいポイントがあります。傷害保険を選ぶ時には、以下のポイントをしっかりチェックするようにしましょう。

補償の対象者の範囲を決める

傷害保険は、被保険者本人のみを補償対象にする他、家族まで補償範囲を広げることができます。家族を対象とする場合は、被保険者とその配偶者が対象となる「夫婦型」、被保険者と配偶者、同居の親族及び別居の未婚の子が対象となる「家族型」等があります。家族構成やニーズに合わせて、「誰のケガに備えたいのか」を考えておきましょう。

例えば「家族型」なら、夫婦のいずれかが単身赴任中の場合や、実家を出て一人暮らしをしている未婚の子どもがいる場合等でもカバーできます。

どのような場面のケガに備えたいのかを決める

傷害保険にはいくつかの種類があり、それぞれ補償される事故の範囲等が異なります。普通傷害保険のように日常生活のあらゆるシーンでのケガに備えたいのか、「旅行中」「交通事故」というように補償を受けたいシーンが限られているのかといった、ライフスタイルや職業等からリスクを想定し、必要な補償内容を検討しましょう。

補償金額や特約を決める

傷害保険に加入する際には、補償金額や特約をよく検討することが大切です。特に、家族型等に加入する場合は、自分だけでなく、家族にとっても十分な補償内容になっているかを確認する必要があります。

また、保険商品によっては、他人にケガをさせたり他人の物を壊したりして損害賠償責任を負った場合の「日常生活賠償特約」や、事故によって携行品が壊れた際の「携行品損害補償特約」、ケガ等で弁護士に相談・委任した際の「弁護士費用特約」といった特約をセットできます。

基本的な補償金額とあわせて、特約についてもしっかりと確認し、自分や家族に必要な補償を選びましょう。

傷害保険で急な事故やケガに備えよう

傷害保険は、急激・偶然・外来の事故によるケガに対して、補償が受けられる保険です。「たとえケガをしても、公的医療保険等があるから問題ないのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、もし大ケガを負った場合は多額の入院費用がかかるケースも少なくありません。また、思いがけないケガのために仕事ができなくなり、収入が途絶えたり減少したりするリスクもあります。

特に、スポーツやレジャーの機会が多い人や、過去にケガをした経験のある人、高齢の人等は、ケガのリスクが高いため、傷害保険に加入しておくと安心です。

「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。傷害保険に関する疑問や悩みも、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

  • 特約の名称や補償内容は保険会社ごとに異なります。
  • 当ページでは傷害保険に関する一般的な内容を記載しています。個別の保険商品等の詳細については保険会社及び取扱代理店までお問い合わせください。

(2025年5月承認)B25-200202

傷害保険についてよくある質問

傷害保険について、よく聞かれる疑問をまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。

傷害保険とはどのような保険ですか?
傷害保険は、日常生活におけるケガに備える保険です。ケガによって入院・通院したり、死亡したりした場合に、契約時に定めた保険金が支払われます。ただし、「急激」「偶然」「外来」の3つに該当することが条件となります。
傷害保険にはどのような補償がありますか?
傷害保険の補償には、ケガの治療のために入院した場合に支払われる「入院保険金」、事故によるケガで手術をした際の「手術保険金」、ケガの治療で通院した場合の「通院保険金」等があります。また、事故によるケガで亡くなった場合には「死亡保険金」が、保険会社所定の後遺障害を被った場合には「後遺障害保険金」が支払われます。
傷害保険で保険金が支払われない例はありますか?
傷害保険では、「急激」「偶然」「外来」の3つを満たさないケガは、補償の対象外です。例えば、靴ずれやしもやけ等のように継続的な行為によって起こったケガや、「足の骨折治療中にボールを蹴って悪化させた」といった予測可能なケガ等に対しては、保険金は支払われません。その他、食中毒、危険な運動や犯罪行為、飲酒運転によるケガ等も、補償の対象外です。また、傷害保険で補償されるのは事故によるケガであり、病気は補償されません。
傷害保険と医療保険の違いはなんですか?
傷害保険は、災害や事故によって生じる損害に備える「損害保険」の一種で、医療保険は、主に被保険者の死亡または病気やケガに備える「生命保険」の一種という違いがあります。
また、傷害保険では、ケガによる入院や通院、手術、死亡に対して保険金が支払われ、基本的には通院1日目から補償されます。一方、医療保険は、病気やケガによる入院・手術が保障され、入院を伴わない通院では保険金(給付金)は受取れません。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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