火災保険は途中解約できる?解約返戻金の条件と注意点を徹底解説

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火災保険は、最長で5年までの長期契約が可能です。しかし、「引越しをする」「物件を売却する」等の理由で、加入している火災保険を途中解約したい場合があるかもしれません。

そもそも、火災保険は途中解約が可能なのでしょうか。また、火災保険を途中解約する際にはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。

ここでは、火災保険の途中解約について、タイミングや手続き時の注意点、解約返戻金を受取れるケース等について解説します。

この記事のポイント

  • 火災保険は保険期間の途中でも解約できる
  • 引越しや物件売却の際は火災保険の解約が必要
  • 火災保険を途中解約すると解約返戻金を受取れる場合がある
  • 火災保険の解約時は補償の空白期間をつくらないよう注意が必要

火災保険は途中解約ができる

火災保険は契約の途中でも解約が可能です。持ち家か賃貸物件かにかかわらず、保険期間の途中でも、自由に解約することができます。

火災保険は保険期間を定めて加入するため、「途中解約すると違約金がかかるのでは?」「保険料を一括払にしていたら途中解約で損をするのでは?」等、心配する人もいるかもしれません。しかし、火災保険を途中解約しても違約金は発生しません。また、途中解約すると解約返戻金を受取れる可能性があります。

長期契約でも途中解約は可能

契約した保険期間にかかわらず、火災保険の途中解約は可能です。そのため、「長期契約をしたら途中で解約できない」「不動産会社で加入した火災保険は途中解約できない」ということはありません。

火災保険は、最長で5年までの長期契約ができます。火災保険で契約できる保険期間の最長期間は、2015年10月より以前は36年でしたが、2015年10月以降の契約では10年と短縮され、さらに2022年10月以降は5年に変更されました。

長期契約には、短期契約に比べて保険料が割安になり、毎年の更新の手間を省けるというメリットがあります。そのため、火災保険の加入時に長期契約を選ぶケースは少なくありません。

また、賃貸の場合は、物件の契約期間とあわせて火災保険も2年間の契約となることが一般的です。もし賃貸物件の入居時に不動産会社がすすめる火災保険に加入していれば、多くの場合、物件の更新時に火災保険の更新についても連絡があります。

火災保険を途中解約するタイミング

火災保険を途中解約するタイミングとして多いのは、引越しをする時や、物件を売却する時等です。引越しをすると火災保険の契約対象が変わるため、それまで入っていた保険を解約する必要があります。また、物件の売却等で火災保険の補償そのものが不要になった場合も、途中解約が必要です。

なお、引越しの場合は、保険商品や新住居の条件等によっては契約を継続できる場合もあります。契約を継続する場合であっても住所変更の手続きが必要なので、必ず保険会社または保険代理店に連絡してください。

その他にも、増改築やリフォーム、家族構成の変化、ハザードマップの更新等、火災保険を乗り換えたいと考えるタイミングがあるかもしれません。ただ、これらのケースの多くは、現在加入している火災保険の補償内容を見直せば、対応できることもあります。そのため、火災保険の補償内容を見直すか、途中解約して新しい保険に入り直すか、どちらのメリットが大きいかを慎重に検討することが大切です。

火災保険を途中解約したら解約返戻金を受取れる?

火災保険を途中解約すると、解約返戻金を受取れることがあります。ここからは、火災保険の途中解約で受取れる解約返戻金と、その計算方法について解説します。

火災保険の解約返戻金とは

解約返戻金とは、保険を契約期間の途中で解約した時に、契約者に対して支払われるお金のことです。保険会社によっては「返還保険料」と呼ばれることもあります。

火災保険を途中解約した際も、保険料の払込方法や契約の条件によって、解約返戻金を受取ることが可能です。

火災保険の場合、未経過期間分の保険料の一部が解約返戻金として戻ってきます。そのため、保険料を長期一括払や年払で払込んでいれば、未経過期間に応じた解約返戻金を受取れることが一般的です。

ただし、必ずしも未経過期間に対する保険料の全額が戻ってくるとは限りません。また、保険商品によって解約返戻金の条件が異なるため、解約時に保険会社や保険代理店に確認することをおすすめします。

火災保険の解約返戻金の計算方法

火災保険の解約返戻金の計算方法は、契約年数や払込方法等によって計算方法が異なります。一般的に、年払の場合は月割等で計算しますが、長期一括払の場合は、「一括払保険料×未経過料率」で算出されます。未経過料率は、保険会社ごとに、契約年数と経過期間によって定められている係数です。

例えば、5年契約で長期一括払していて、2年経過後に解約するケースで、解約返戻金を計算してみましょう。まず、保険会社の未経過料率係数表から、適用される未経過料率の係数を確認します。仮に、保険料が15万円、未経過料率が55だった場合、解約返戻金の金額は「15万円×55(%)=8万2,500円」です。

なお、解約返戻金の計算をする際、契約年数と月数はカウントされますが、契約日数は端数として処理されるのが一般的です。端数処理されると、解約日から満期までの期間が1か月未満だった場合や月払の場合は、解約返戻金が発生しません。

火災保険を途中解約する方法

火災保険を途中解約するには、保険会社または保険代理店に連絡して所定の手続きを行う必要があります。連絡方法は保険会社や保険商品によって異なり、電話で保険会社または保険代理店に連絡する場合もあれば、Webサイトから問い合わせる場合もあります。解約の連絡をする際には、手元に保険証券を用意しておくと、契約日や証券番号がすぐにわかるため、手続きがスムーズに行えるでしょう。

火災保険を解約する際の注意点

火災保険を途中解約する際には、意識しておきたいいくつかの注意点があります。思わぬトラブルを招かないためにも、以下の注意点をしっかりと確認しておきましょう。

補償の空白期間をつくらないようにする

火災保険の途中解約で重要なのが、補償の空白期間をつくらないことです。現在加入している火災保険を解約して、他の保険に加入するケースもあるでしょう。解約後、新しい保険の加入までに空白期間があった場合、その間に受けた損害については補償されません。

無保険期間をつくらないように、引越しの場合は退去日、物件売却の場合は引渡日以降を解約日に設定することをおすすめします。新しい火災保険に加入する時も、賃貸なら入居日、新居購入なら物件の引渡日から補償が開始されるようにすることが大切です。

解約の手続きを忘れないようにする

引越し等に伴って火災保険を解約する場合は、解約手続きを忘れないように注意が必要です。旧居の火災保険を解約しないまま新居で新しく火災保険に加入すると、保険料を二重に払込むことになってしまいます。すでに退去や売却した物件であっても、契約者から保険会社や保険代理店に解約の連絡をしない限りは、保険料の払込みは続きます。賃貸物件で不動産会社からすすめられた火災保険に加入していた場合でも、退去する際には、自分で解約手続きをしなければなりません。

火災保険の解約をする場合は、必ず保険会社または保険代理店に連絡をするようにしてください。

乗り換えの場合は契約内容を確認する

火災保険を乗り換える場合は、補償内容について改めて見直すことが大切です。保険を乗り換えることで必要な補償が外れてしまっていないか、不必要な補償が含まれていないか等、しっかりと確認しましょう。また、乗り換えに伴う保険料の変動にも注意が必要です。一般的に、火災保険の保険料は、保険期間が長いほど割引率が高くなります。特に、それまで最長36年や10年の長期契約をしていた場合、新しく加入する保険で最長5年契約になると、割引率が下がり、結果として保険料の負担が増える可能性があります。

火災保険の途中解約は慎重に検討して行おう

火災保険は、保険期間の途中でも解約が可能です。途中解約にあたって違約金等はかかりませんし、保険料の払込方法や契約の条件によっては解約返戻金を受取れます。ただし、火災保険を解約する時には、次に新しく加入する保険についてもしっかり検討しておくことが大切です。

火災保険にはさまざまな保険商品があるため、どのように選べばよいか戸惑う人もいるかもしれません。また、火災保険を乗り換えたほうがいいのか、それとも現在の火災保険の補償内容を見直したほうがいいのか、迷うケースも少なくありません。

火災保険について疑問や不安がある場合は、保険の専門家に相談することをおすすめします。「ほけんの窓口」では、火災保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。火災保険の解約や乗り換えを検討する場合は、ぜひ一度ご相談ください。

  • 特約の名称や補償内容は保険会社ごとに異なります。
  • 当ページでは火災保険に関する一般的な内容を記載しています。個別の保険商品等の詳細については保険会社及び取扱代理店までお問い合わせください。

(2025年5月承認)B25-200208

火災保険の途中解約についてよくある質問

火災保険の途中解約について、よく聞かれる疑問をまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。

火災保険は途中解約ができる?
火災保険は途中解約が可能です。火災保険は最長5年までの長期契約ができますが、以前は、最長10年や36年の長期契約も可能でした。このような長期契約であっても、火災保険の途中解約はできます。
火災保険を途中解約したら、解約返戻金は受取れる?
火災保険を途中解約すると、保険料の払込方法や契約の条件によっては解約返戻金を受取れます。基本的には、保険料を長期一括払や年払で払込んだ場合は、未経過期間に応じた解約返戻金を受取れる可能性が高いでしょう。なお、一般的に月払の場合は解約返戻金を受取ることはできません。
火災保険はどのような方法で途中解約できる?
火災保険を途中解約するには、保険会社または保険代理店に連絡して所定の手続きを行う必要があります。連絡方法は保険会社や保険商品によって異なり、電話で連絡する場合や、Webサイトから問い合わせる場合等があります。
火災保険を途中解約する際の注意点は?
火災保険を途中解約する際には、現在加入している保険を解約してから新しい保険に加入するまでの間に、補償の空白期間をつくらないことが大切です。また、引越し等で火災保険を解約する場合は、解約手続きを忘れて新居で新しく火災保険に加入すると、保険料を二重に払込むことになるため注意が必要です。その他、火災保険を乗り換える場合は、補償や保険料等の契約内容をよく確認する必要があります。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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