子どもが18歳で自動車保険に加入する際の契約内容や選び方を解説

最終更新日:

子どもが18歳になって運転免許を取った場合に気になるのが、任意で加入する自動車保険です。子どもが車を運転する際に、親の車を借りるのか、新たに購入した車を使うのかによって、自動車保険の契約内容は異なります。万が一の事故に備えるために、子どもが免許を取った時には、自動車保険についてしっかりと確認しておきましょう。

ここでは、子どもが18歳で運転免許を取った場合の自動車保険について、保険料やケース別の契約内容、保険料負担を抑える方法等を解説します。

この記事のポイント

  • 18~20歳は他の年代に比べて自動車保険の保険料が高い
  • 子どもが親の車を借りる場合、自動車保険の運転者の範囲や年齢条件の見直しが必要
  • 同居している子どもの場合、親のノンフリート等級を引き継いで保険料を抑えられる場合がある
  • 子どもの運転頻度が低ければ、「1日自動車保険」を利用する方法もある

18歳の自動車保険の保険料が他の年代と比べて高くなる理由

18歳で自動車保険に加入すると、保険料が高くなる傾向があるといわれています。その背景には、主に以下のような理由があります。

事故リスクが高いと判断される

18歳の自動車保険の保険料が高くなる理由は、事故リスクが高いと判断されるからです。自動車保険は、事故のリスクが高い人ほど保険料が上がる仕組みになっています。18歳は運転免許を取得したばかりで運転経験が浅いため、事故のリスクが高いとみなされ、自動車保険の保険料が高く設定される傾向があるのです。

実際に、警察庁の「令和6年中の交通事故の発生状況」を見ると、年齢層別の交通事故件数において、10代の事故率は他の年代と比べて高くなっています。

※出典:警察庁「令和6年中の交通事故の発生状況」P.24
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00130002&tstat=000001027457&cycle=7&year=20240&month=0&result_back=1&tclass1val=0

等級による割引率が低い

等級による割引率が低いことも、18歳の自動車保険の保険料が高くなる理由のひとつです。自動車保険には、事故歴に応じて、翌保険期間の保険料が割引・割増されるノンフリート等級制度があります。ノンフリート等級は1等級から20等級まであり、等級が上がるほど保険料の割引率が高くなります。

一般的に、初めて自動車保険に加入する際のノンフリート等級は「6等級(S)」または「7等級(S)」で、保険期間中に保険を使わなければ、1年あたり1等級ずつ上がっていく仕組みです。

18歳で運転免許を取得したばかりの人が自動車保険に加入する場合、等級による割引率が低い分、保険料が高くなる傾向があります。

ノンフリート等級については、以下の記事をご覧ください。
ノンフリート等級とは?等級による割引・割増率と等級の引き継ぎ等を解説

子どもが18歳で運転免許を取得したら見直したい自動車保険の契約内容

子どもが18歳で運転免許を取得した場合、親の車を借りて運転したり、車を新しく購入したりする等のケースが考えられます。親と同居しているか別居しているかによって対応が異なるため、それぞれの状況に応じて自動車保険の契約内容を見直しましょう。

同居の子どもが親の車を借りるケース

同居している子どもが親の車を借りて運転する場合、新たに自動車保険に加入する必要はありません。この場合は、親が加入している自動車保険の「運転者の範囲」や「年齢条件」を見直すことで、子どもも補償の対象となります。

一般的に、自動車保険で補償対象となる運転者の範囲は、「限定なし」「本人・配偶者限定」「本人限定」に区分されます。子どもも親の車を運転する場合は、「限定なし」で契約する必要があります。ただし、「本人・配偶者限定」や「本人限定」から「限定なし」へ変更すると、保険料が高くなる点に注意しましょう。

また、自動車保険には、運転者の年齢によって4つの条件区分があります。「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」です。同居の子どもが運転する場合は、年齢条件をもっとも若い運転者である子どもの年齢に合わせます。例えば、18歳の子どもが親の車を運転するなら、年齢条件は「年齢を問わず補償」に設定します。

別居の子どもが親の車を借りるケース

別居している子どもが親の車を借りて運転する場合も、新たに自動車保険に加入する必要はありません。この場合は、年齢条件が適用されないため、年齢条件に関係なく補償されます。

例えば、進学や就職で普段は実家を離れて暮らしている子どもが、帰省時に親の車を運転するようなケースです。この場合は、保険契約の「運転者の範囲」が「限定なし」になっていれば、年齢に関係なく子どもも補償の対象となります。

同居の子どもが親の車を譲り受けるケース

同居している子どもが親の車を譲り受けて運転する場合、親が加入している自動車保険を子どもへ引き継ぐことができます。その際は、自動車保険の記名被保険者(契約対象の車を主に運転する人)を、親から子どもへ変更する手続きが必要です。

記名被保険者の変更により、親のノンフリート等級を子どもに引き継ぐことができます。親の等級が7等級以上であれば、引き継ぐことで子どもが新規で加入するよりも保険料を抑えることができるでしょう。

別居の子どもが親の車を譲り受けるケース

別居している子どもが親の車を譲り受けて運転する場合は、子ども自身が新たに自動車保険に加入する必要があります。原則として、親の自動車保険の等級を引き継ぐことはできません。

同居の子どもが車を購入し、親はこれまでの車を使用するケース

同居している子どもが車を購入し、親がこれまで使用していた車を引き続き使う場合、親の等級を子どもに引き継ぎ、親が新たに自動車保険に加入することで、世帯での保険料が抑えられる場合があります。親の等級は6等級になりますが、一般的に同じ等級でも年齢が高くなるほど保険料が割安になるため、子どもが新たに加入するよりも、保険料を抑えやすくなるでしょう。

また、子どもが新たに自動車保険に加入する場合、「セカンドカー割引」を利用できる場合があります。セカンドカー割引は、親が1台目の車で一定の等級(一般的に11等級以上)を持っていれば、2台目の新規加入にあたって高い等級(一般的に7等級)からスタートできる制度です。

この制度を利用すると、一般的な新規加入等級の6等級より1等級高いため、保険料を抑えることができます。ただし、セカンドカー割引の適用にはいくつかの条件があるため、事前に確認が必要です。

別居の子どもが車を購入するケース

別居している子どもが車を購入する場合は、子ども自身が新たに自動車保険に加入する必要があります。このケースでは、親の等級を引き継ぐことも、セカンドカー割引を適用することもできません。

初めての自動車保険の入り方については、以下の記事をご覧ください。
初めての自動車保険の入り方は?タイミングや選び方について解説

自動車保険の保険料負担を抑えるためのポイント

自動車保険の保険料負担を抑えるには、親の等級を引き継ぐ他に、いくつかの方法があります。子どもが運転免許を取得し、自動車保険への加入を検討する際には、以下のポイントについても確認しておきましょう。

各種割引を確認する

自動車保険の保険料負担を抑えるには、保険会社による各種割引の内容を確認しておきましょう。例えば、保険会社や保険商品によっては、車の種類や性能に応じて保険料が割引される場合があります。具体的には、軽自動車のような排気量の少ない車や、ハイブリッド車や電気自動車等のエコカー、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)搭載の車等がその対象として挙げられます。

子どもの運転免許の取得を機に新たに車を購入する場合は、保険料の割引が受けられるかどうかを事前に確認してみてください。

運転の頻度が低い場合は「1日自動車保険」を検討する

子どもがたまにしか運転しない場合は、「1日自動車保険」を利用する方法もあります。1日自動車保険とは、1日単位で加入できる自動車保険のことです。Webサイト等で簡単に加入できる保険商品も多く、保険料も1回数百円単位と手頃です。

自動車保険には、「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」等の年齢区分があります。一般的には、「年齢を問わず補償」がもっとも保険料が高く、年齢区分が上がるほど安くなっていきます。子どもが20歳以下でたまに親の車を借りる程度であれば、運転する時だけ1日自動車保険に加入し、21歳になってから親の自動車保険を「21歳以上補償」にするほうが、保険料の負担を抑えられるかもしれません。

必要な補償を見直す

自動車保険の保険料の負担を軽減するには、補償を見直すことも大切です。自動車保険の保険料は、補償を充実させるほど高くなります。不要な特約や、2台目以降で重複している補償等がないかを見直すことで、保険料を安くできるかもしれません。

ただし、保険料を安くしようとして、必要な補償まで削ってしまわないように注意が必要です。自動車保険には「対人賠償」「対物賠償」「人身傷害」「車両保険」という4つの基本補償に加え、オプションとして追加できるさまざまな特約があります。

なかでも、重大な人身事故や高額な物損事故に備えるため、対人賠償と対物賠償については保険金額を無制限とするのが基本です。その上で、必要に応じて、自分や同乗者への補償である人身傷害や自分の車の修理費用を補償する車両保険をセットするようにしましょう。

自動車保険の補償範囲については、以下の記事をご覧ください。
自動車保険の種類とは?自賠責保険と任意保険の違いや補償範囲を解説

子どもが運転免許を取ったら自動車保険の見直しをしよう

子どもが18歳になり、運転免許を取得したら、自動車保険の見直しが必要です。親が加入している自動車保険の契約内容のままでは、子どもが車を運転して万が一事故が起こった時に、補償が受けられないかもしれません。

20歳以下の場合は、運転経験が浅く事故リスクが高いことから、自動車保険の保険料が高くなりがちです。子どもの運転免許の取得にあたって自動車保険を見直す際には、親のノンフリート等級を引き継ぐ等、上手に保険料を抑える工夫を心掛けるといいでしょう。

「自動車保険の保険料を抑えるにはどうすればいいのだろう」「家族に必要な補償がわからない」等、保険選びに迷った場合は、保険の専門家に相談するのがおすすめです。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。自動車保険に関する疑問や悩みも、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

  • 特約の名称や補償内容は保険会社ごとに異なります。
  • 当ページでは自動車保険に関する一般的な内容を記載しています。個別の保険商品等の詳細については保険会社及び取扱代理店までお問い合わせください。

(2025年5月承認)B25-200240

子どもが18歳で運転免許を取った場合の自動車保険についてよくある質問

子どもが18歳で運転免許を取った場合の自動車保険について、よく聞かれる疑問をまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。

18歳の自動車保険の保険料は他の年代と比べて高くなりますか?
18歳を含め、20歳以下の人は、自動車保険の保険料が他の年代より高くなります。保険料が高くなる理由のひとつは、20歳以下の人は運転経験が少なく、事故のリスクが高いと判断されるからです。さらに、運転免許を取得してから日が浅く、ノンフリート等級による割引率が低いため、保険料が高くなる傾向があります。
子どもが18歳で運転免許を取得したら自動車保険の契約内容を見直すべきですか?
子どもが18歳になって運転免許を取得したら、加入中の自動車保険の見直しが必要です。見直しの内容は、子どもが同居か別居か、親の車を借りて運転するのか、親の車を譲り受けるのか、新しく車を購入するのか等によって変わってきます。
例えば、子どもが親の車を借りて運転する場合は、運転者の範囲と年齢条件の見直しが必要です。また、親の車を譲り受ける場合や、新しく車を購入する場合、同居の子どもであれば、親の自動車保険を子どもへ引き継ぐことができます。ケースに応じて適した方法を検討しましょう。
自動車保険の等級は子どもに引き継げますか?
同居している子どもであれば、自動車保険の記名被保険者を親から子どもへ変更する際、親の等級を引き継ぐことができます。親の等級が7等級以上なら、自動車保険を引き継ぐことで、子どもが新規加入するよりも保険料を抑えられるでしょう。なお、別居している子どもの場合は、原則として自動車保険の引き継ぎはできません。
自動車保険の保険料負担を抑えるためのポイントはありますか?
自動車保険の保険料負担を抑えるには、割引を受けられる車の種類や性能をチェックしたり、補償内容を見直したりすることが大切です。また、子どもがたまに親の車を借りる程度であれば、「1日自動車保険」を利用する方法もあります。自動車保険は年齢区分によって保険料が変わるため、子どもが運転する頻度が低い場合は、保険料が安くなる21歳までは1日自動車保険を活用するのもいいでしょう。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
無料で保険を相談するなら「ほけんの窓口」
「ほけんの窓口」へ相談予約する

相談予約を迷っている方へ

相談会の流れや内容を詳しく紹介します

「ほけんの窓口」でできること

関連記事

新着記事