生命保険の解約返戻金はいくら貰える?仕組みや解約時の注意点

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生命保険を解約すると、解約返戻金が戻ってくる場合があります。解約返戻金の有無や返戻率は、保険会社や保険商品によって異なり、商品によっては解約しても解約返戻金が支払われない場合もあります。

生命保険を契約する際には、保険料や保険金額、保障期間等に目が向きがちですが、ライフプランの見直し等で保険を解約する場合もありますので、解約返戻金の仕組みについてもしっかりと理解しておくことが大切です。

ここでは、生命保険の解約返戻金と返戻率の仕組みや、保険商品ごとの解約返戻金の有無、生命保険を解約する場合の注意点等について解説します。

解約返戻金の仕組みとは?

解約返戻金は、生命保険を契約期間の途中で解約した時に、契約者に対して支払われるお金のことです。保険会社によっては、「解約払戻金」「解約返還金」とも呼ばれます。

解約返戻金として戻ってくる金額は、それまで払い込んだ保険料全額というわけではありません。保険会社は、契約者が支払った保険料のうち、所定の割合を将来の保険金支払い等にあてるために積み立てています。これを責任準備金といい、その積立金の一部が、保険を途中で解約した場合の解約返戻金になります。そのため、一般的に、解約返戻金は払込保険料の総額よりも少なくなります。また、契約期間が短い場合や保険の種類によっては、解約返戻金が全くないか、あってもごくわずかなこともあるため注意が必要です。

また、契約期間が短い場合や保険の種類によっては、解約返戻金が受取れないこともあるため注意が必要です。

解約返戻金が受取れる保険の種類

解約時に解約返戻金を受取れるかどうかは、保険の種類によって異なります。解約返戻金が受取れるのは主に、万が一の時の保障と貯蓄性を備えたタイプの保険です。具体的には、終身保険や養老保険、学資保険等が該当します。

終身保険

終身保険は生涯にわたって保障が続く保険です。被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合は保険金が、解約した時には解約返戻金が支払われます。保険料の払込期間が決まっている商品の場合、払い込みが終わっていれば、解約返戻金が保険料の総額を上回ることもあります。

養老保険

養老保険は、死亡保障と資産形成の機能を兼ね備えた保険です。保険期間中に被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合は保険金が支払われ、満期時に生存していた場合は死亡保険金と同額の満期保険金が支払われます。満期に近づくにつれ、解約返戻金は満期保険金の金額に近づいていきます。

学資保険

学資保険は、子どもの年齢や進学等に合わせて、お祝い金や満期保険金を受取れる保険です。途中で解約した場合は解約返戻金が受取れますが、多くの場合、払込保険料の総額よりも少なくなります。

解約返戻金が受取れない保険の種類

解約返戻金が受取れない保険は、主に掛け捨て型の保険です。貯蓄型保険と比較して保険料が安く設定されていますが、満期保険金や解約返戻金がありません。具体的には、定期保険や医療保険、収入保障保険等が挙げられます。

定期保険

定期保険は、契約時に定めた保険期間に被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合、保険金が支払われる保険です。何事もなく満期を迎えた場合は、満期保険金等はなく、そのまま契約終了となります。途中解約の解約返戻金はないか、あってもごくわずかです。

医療保険

医療保険は、病気やケガで入院や通院、手術をした時に給付金を受取れる保険です。一定期間、特に事故や病気等なく給付金を請求しなかった場合、お祝い金を受取れるタイプの商品もあります。ほとんどの医療保険に解約返戻金はありません。

収入保障保険

収入保障保険は、保険期間に被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合、保険期間満了までの間、年金や給与のように定期的に保険金が支払われる保険です。ほとんどの収入保障保険に満期保険金や解約返戻金はありません。

解約返戻金には3つの型がある

解約返戻金には、「従来型」「低解約返戻金型」「無解約返戻金型」の3つのタイプがあります。生命保険に加入する際には、解約返戻金がどの型に該当するのかをきちんと確認しておきましょう。

従来型

従来型は、保険料の払込額とともに解約返戻金の金額も増えていくタイプのもので、主に終身保険や養老保険が該当します。3つの型の中では保険料払込期間中は返戻率が高いことが特徴として挙げられます。なお、返戻率とは払込保険料の総額に対して解約時に受取れるお金の割合のことで、後ほど詳しく説明します。

低解約返戻金型

低解約返戻金型では、保険料を従来型よりも安く設定する一方、保険料払込期間中の解約返戻金が従来型よりも低く設定されています。保険商品によっても異なりますが、一般的に、低解約返戻金型の解約返戻金は従来型の70%程度です。ただし、保険料の払込期間満了後は返戻率が上がり、解約によって受取れる解約返戻金も従来型よりも高いものが多くなっています。

無解約返戻金型

無解約返戻金型では、解約返戻金がないか、あってもごくわずかです。解約しても解約返戻金がほとんど戻ってこないため、解約返戻金のある保険に比べて保険料が安くなっているのが特徴です。主に掛け捨て型の保険が、このタイプに該当します。

解約返戻金と満期保険金との違い

解約返戻金と混同されやすいものに、満期保険金があります。解約返戻金と満期保険金は、どちらも保険会社から支払われるお金ですが、性質が大きく異なります。

解約返戻金は、生命保険を途中で解約した時に払い戻されるお金です。一方、満期保険金とは、保険期間の満期時に生存していた場合に受取れるお金です。終身保険のように保険期間の定めがない保険には、満期保険金はありません。

解約返戻金はいくら受取れる?

解約返戻金について気になるのは、「実際に解約返戻金をいくら受取れるのか」ということではないでしょうか。解約返戻金の金額を知るには、返戻率(解約返戻率)について理解しておく必要があります。

解約返戻金の割合を示す返戻率

解約返戻金の返戻率とは、払込保険料の総額に対して、解約した時にどれくらいのお金が受取れるかという割合のことです。計算式にすると、「解約返戻金÷払込保険料×100(%)」となります。

返戻率が100%を超えていれば、支払った保険料よりも戻ってくる解約返戻金のほうが多いということです。反対に、返戻率が100%を下回っている場合は、解約返戻金がそれまで払い込んだ保険料より少ないということになります。保険の種類にもよりますが、一般的に、保険の契約から解約までの期間が長いほど、返戻率は高くなります。

返戻率はどこで確認できるのか

解約返戻金の返戻率は、保険会社や保険商品によって異なります。返戻率や解約返戻金は、契約時に保険会社が作成した設計書等に記載されており、保険証券にも、5年後、10年後等区切りのよい契約年数での返戻率が書かれている場合もあります。設計書や保険証券を確認してもわからない場合は、保険会社に問い合わせてみましょう。

解約返戻金の受取り方

解約返戻金を請求するには、まず保険会社や保険代理店等に連絡して、生命保険を解約する手続きを行う必要があります。解約書類等が届いたら、必要事項を記入して保険会社に提出しましょう。保険会社によって多少異なりますが、手続き完了から1週間程度で解約返戻金が指定口座に入金されます。

生命保険を途中解約する際の注意点

生命保険を契約期間の途中で解約する場合は、解約返戻金の有無や金額、受取り時にかかる税金、今後同じ保険に加入する意思の有無等に注意する必要があります。

解約前に解約返戻金を確認する

生命保険の解約手続きをする前に、必ず解約返戻金の有無と、その金額を確認しておきましょう。一般的に、解約返戻金の額は払込保険料の総額よりも少なくなります。特に、契約から解約までの期間が短いと、受取れる解約返戻金もごくわずかになってしまう可能性があります。

解約返戻金には税金がかかることがある

払込保険料の総額よりも受取った解約返戻金の額が多い場合、税金がかかることがあります。例えば、解約返戻金を一時金として受取った場合は一時所得とみなされ、所得税の課税対象になります。一時所得には50万円の特別控除があるため、一時所得が解約返戻金だけの場合、解約返戻金から払込保険料の総額を引いた額が50万円を超えなければ所得税はかかりません。

また、保険料を払い込んだ人と解約返戻金を受取る人が異なる場合は、贈与税の課税対象になります。解約返戻金を受取る際には、どのような税金がいくらかかるのかを事前に確認しておきましょう。

以前と同じ条件での生命保険への再加入は難しい

生命保険を解約すると保険契約は終了になるため、それ以降の保障はなくなります。さらに、また同じ条件の保険に加入したいと思っても、健康状態が変化して加入できなかったり、年齢が上がって保険料が高くなったりする可能性があります。基本的には、生命保険を一度解約すると同じ条件で加入することは難しくなるため、解約する際には注意しましょう。

生命保険の解約返戻金は加入・解約の際に要確認

解約返戻金は、生命保険を解約した時に払い戻されるお金です。生命保険の加入時には、解約返戻金についてもよく確認しておきましょう。なお、解約返戻金の有無や額は保険会社や保険商品によって異なります。解約返戻金の注意すべきポイントを知りたい、解約返戻金が受取れる保険・受取れない保険を比較したい等、疑問や不安がある場合は、「ほけんの窓口」にご相談ください。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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