共済と保険の違いとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説
共済と保険は、どちらも病気やケガ、万が一の事態、事故等による損害に備える目的で加入します。ただし、目的は同じですが、共済と保険にはさまざまな違いがあります。そのため、共済と保険の違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか。
ここでは、共済と保険の違いや共済のメリット、デメリットの他、共済が適している人、保険が適している人等について解説します。
共済は組合員がお金を出し合って助け合う制度
共済は、組合員がお互いに助け合う相互扶助の制度です。農協や生協といった協同組合等が組合員からお金を集めて協同の財産とし、組合員の誰かが病気やケガをした場合や、事故等で損害を受けた場合に、その財産から共済金を支払って助ける仕組みになっています。共済は民間の保険会社ではなく、共通する目的のために集まった人々がお金を出し合ってつくる、協同組合等の相互扶助組織によって運営されています。
共済と保険の違い
保険は契約した複数の人からお金を集めて運用し、病気やケガをした場合や、事故等で損害を受けた場合に、その資金の一部を保険金として支払う仕組みで、加入者全体で助け合う理念は共済と同じです。しかし、共済と保険とでは違いもあります。ここでは、5つの違いについて解説します。
営利を目的とするかどうか
共済と保険の違いとして、営利を目的とするかどうかが挙げられます。保険は、民間の保険会社が営利目的で運営している商品です。利益を増やすには、多くの人に加入してもらう必要があるので、さまざまなニーズに合わせた商品や特約等の保険商品が充実しています。
一方、共済は協同組合等の相互扶助組織が、組合員の助け合いのために運営している制度です。営利を目的としないので、組合員にできるだけ負担がかからない制度設計になっています。
加入対象
共済と保険とでは、加入対象も異なります。保険は、年齢や健康状態等の加入条件を満たせば誰でも加入できます。一方、共済は原則的に、協同組合等の組合員とその家族のみが加入対象です。非組合員が共済に加入するには、協同組合等に出資して組合員になる必要があります。
保障の範囲・内容
保障の範囲・内容も、共済と保険の違いのひとつです。保険は民間企業が営利目的で販売している商品なので、保険商品・特約の種類が多く、保障範囲も幅広くカバーしています。選択肢が多く、自分のニーズに応じてカスタマイズできるのも特徴です。
一方、共済は保障の範囲や内容はシンプルなものが多く、また、加入する際はいくつか用意された商品・プランの中からの選択となるため、保障の範囲や内容のカスタマイズはできないのが一般的です。
使われる用語
共済と保険では使われる用語も異なります。保険では、被保険者が支払うお金は「保険料」、万が一の際に支払われるお金は「保険金」、保険会社が保険商品をすすめる行為は「営業・勧誘」といった用語で表現されます。一方、共済ではそれぞれ「掛金」、「共済金」、「普及・推進」といった言葉が使われます。
根拠法
共済と保険では、その事業の実施において、根拠となっている法令と監督官庁も異なります。保険は、保険業法が根拠法となっており、監督官庁は金融庁です。一方、共済は運営団体によって根拠法が異なり、消費生活協同組合法、農業協同組合法、中小企業等協同組合法等が該当します。また、共済の監督官庁は、厚生労働省や農林水産省等です。ただし、加入者の権利や義務等に関しては、共済も保険も保険法が適用されます。
共済のメリット
共済にはメリットとデメリットがあるため、保険との違いを知った上で自分の状況やニーズに合った商品を選ぶことが大切です。ここでは、共済の4つのメリットについて解説します。
掛金が割安
共済のメリットとして、民間の保険会社の保険と比べると、掛け金が割安な点が挙げられます。共済は、非営利で運営されていて、貯蓄性のない掛け捨てタイプが多いことから、月々に支払う掛金が割安な商品が多く存在します。一般的に月1,000円から2,000円程度の掛金で加入できる商品も多いため、家計への負担を抑えることが可能です。
掛金が一律の場合がある
共済には掛金が一律の商品もあります。一部の共済には、子どもや高齢者を除いて、年齢による掛金や保障内容の差がない商品があります。保険では、年齢によって保険料が変わるのが一般的ですが、掛金が一律の共済であれば、年齢が進むにつれて負担が増えることはありません。そのため、加入のタイミングを焦ったり、更新の度に保険料を気にしたりする必要がないのです。
割戻金がある
割戻金がある点も、共済のメリットのひとつです。共済は営利目的ではないので、運営団体の決算で剰余金があった場合、一年間に払込んだ掛金の一部を、割戻金として加入者に戻す仕組みがあります。ただし、決算の結果次第のため、必ず戻ってくるわけではありません。
商品を選択しやすい
保険と比較して、商品を選択しやすいことも、共済のメリットといえるでしょう。共済は、保険に比べて加入できる商品が少ない場合が多く、保障内容も医療保障と死亡保障のみ等、シンプルな構成のものが中心です。そのため、共済は保障内容がわかりやすく、さまざまな保障内容や特約のある保険よりも、比較的容易に選択できます。
共済のデメリット
保険にない多くのメリットがある一方で、共済にはデメリットもあります。ここでは、共済の2つのデメリットについて解説します。
共済金が少ない
共済のデメリットとして、受取れる共済金が少ない点が挙げられます。共済は幅広い保障を割安な掛金で提供しているものが多いため、一つひとつの保障額はそれほど大きくありません。万が一の時の保障が不足する可能性もあるため、加入時に保障が足りるかしっかり確認することが重要です。また、掛金が一定のタイプの共済には、高齢になるほど保障額が小さくなる商品もあります。
選択肢が少ない
保険と比べて選択肢が少ない点も、共済のデメリットといえるでしょう。保険と比べ、共済は商品の選択肢が少ないので、選択しやすい一方で、ニーズや希望にぴったり合った商品を見つけるのが難しいといえます。保険の場合、保険金の金額を細かく設定できたり、自分に必要な保障だけを選んだりとカスタマイズできる保険商品もありますが、共済の場合は、用意された商品・プランからの選択となるため、細かいニーズには対応できません。
また、共済は掛け捨てタイプがほとんどで、保険のように貯蓄性のある商品はごく一部です。
共済が適している人
共済のメリット・デメリットを踏まえた上で、自分のニーズに合った保険や共済を選択することが重要です。ここでは、共済が適している人について解説します。
経済的な負担を軽減したい人
共済が適している人として、経済的な負担を軽減したい人が挙げられます。保険と比較すると、共済は非営利で運営されていて保障内容もシンプルなため、掛金の負担が少なくすみますが、無理なく支払い続けられる範囲の負担で抑えることが大切です。保険や共済は、病気やケガ、万が一の事態、事故等での損害に備えるものですが、経済的な余裕が少なければ、保険料や掛金が生活の負担になってしまう可能性もあるでしょう。経済的に余裕が少ない場合は、保険と比較して少ない掛金で家計への負担を抑えつつ、保障を確保できる共済が向いているといえます。
保障が少なくていい人
保障が少なくていい人も、共済に適しているといえるでしょう。子どもが独立したあとで大きな保障は必要なかったり、独身で葬式代程度の死亡保障があれば十分であったりする等、保障が少なくてもいい人は、少額の掛金で保障が得られる共済が適しています。
すでに保険に加入していて保障を加えたい人
すでに保険に加入していて、さらに保障を加えたい人も、共済に適しています。すでにある保障をもう少し上乗せしたい場合には、少額の掛金で保障を得られる共済が、適した選択肢となります。共済なら、月々1,000円から2,000円程度の負担で、簡単に保障の上乗せが可能です。
簡単に選びたい人
保障の内容や範囲を簡単に選びたい人にも、共済が適しています。細かいプラン選択や内容のカスタマイズにわずらわしさを感じる場合は、保険に比べて加入できる商品が少なく、保障内容もシンプルな共済が向いているといえるでしょう。
保険が適している人
共済が適している人がいる一方で、保険のほうが適している人もいます。ここでは、保険が適している人について解説します。
一生涯の保障が必要な人
保険が適している人として、一生涯の保障が必要な人が挙げられます。共済の中にも保障が一生涯続く商品はありますが、多くは保険期間が決まっています。一生涯の保障が必要な場合は、保険のほうが向いているといえるでしょう。
貯蓄性のある商品が必要な人
貯蓄性のある商品が必要な人にも、保険が適しているといます。ほとんどの共済は掛け捨てタイプで貯蓄性がありません。保障を得ながら資産を蓄えていきたいといった目的には適さないため、貯蓄性のある商品が必要な人は、保険を検討しましょう。貯蓄性を備えている保険には、学資保険や養老保険、個人年金保険等があります。
手厚い保障が必要な人
手厚い保障が必要な人にも、保険のほうが適しています。保険と比較して、一般的に共済は月々の負担を抑えられる一方で、万が一の際に受取れる金額は少なくなります。万が一のことがあった場合に共済では不十分な可能性があるため、手厚い保障が必要な人は保険に入っておいたほうが安心でしょう。
ライフステージに合った保障を選びたい人
保険は商品が豊富で、保障内容も多様なため、ライフステージに合った保障を選ぶことが可能です。共済は基本的に用意された商品からプラン、細かいカスタマイズはできません。ライフステージや個々のニーズに合わせて、必要な保障を組み合わせたい場合は、保険のほうが適しています。
共済と保険を比較して自分に合った商品を選ぼう
共済と保険は、病気やケガ、万が一の事態、事故等での損害に備えるために加入するという目的は同じものの、さまざまな違いがあります。共済は保険に比べ、掛金が割安であることや商品がシンプルで選びやすいことがメリットです。一方で、共済金の金額の小ささや選択肢の少なさがデメリットになります。共済と保険のどちらが適しているかは、加入する目的や求める保障の大きさによって変わるので、自分に合った商品を選びましょう。
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監修者プロフィール
原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。