医療保険の通院保障とは?必要性や保障内容、給付条件について解説

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医療保険のなかには、病気やケガで入院・手術した時の保障に加えて、特約として通院保障を付帯できる保険があります。近年の医療における、入院日数の短期化や通院治療の増加等により、医療保険へ加入する際に通院保障をつけるかどうか悩む人も多いかもしれません。

この記事では、医療保険の通院保障の必要性や保障内容、給付条件、通院保障以外で通院費用に備える方法等について解説します。

入院日数は短期化・通院での治療は増加傾向に

一昔前に比べて、病気やケガによる入院日数は短期化しています。入院日数が短期化している背景には、高齢化によって医療費増大や病床不足が懸念されるなか、入院日数を短縮しようとする国の政策があります。また、医療技術の進歩で、より体に負担の少ない手術方法が導入され、入院日数が短縮していることも要因のひとつです。

入院日数が短期化している一方で、退院後の通院での治療は増加傾向にあります。日常生活や仕事と両立しながら、治療を続けるケースも少なくありません。このような変化をふまえると、入院や手術への備えだけでなく、通院についても考えておいたほうがより安心といえるでしょう。

通院保障は病気やケガによる通院費用が保障される

通院保障は、医療保険に付帯できる特約で、保障対象となる通院をした場合に通院給付金が支払われます。保障対象となる通院とは、病気やケガ等で主契約の保障対象になる入院をして、退院した後も通院が必要な場合のことを指します。入院を伴わず、ただ体調不良で通院したというだけでは、通院保障の対象にはなりません。

通院による治療は、治療費や薬代、交通費等さまざまな費用がかかります。通院のために仕事を休むことで収入が減り、通院にかかる費用が家計の負担になるケースもあるでしょう。通院保障は、そのような経済的負担を軽減することを目的に付帯する特約です。

通院保障は必要?

通院保障が必要かどうかは、自身や家族の状況等によっても異なります。公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、民間の保険に加入している世帯のうち、約4割(39.1%)が通院特約を付帯しています。

例えば、貯蓄が十分にあったり、入院時にまとまった一時金を受取れる医療保険に加入していたりする場合は、通院保障を付帯しなくてもそれほど問題はないかもしれません。一方で、貯蓄が少ない場合や、交通費・治療費の負担が大きい場合等、通院時の経済的な負担が心配であれば、通院保障を付帯したほうが安心でしょう。

通院保障を付帯すると、保障が手厚くなるぶん保険料も上がります。また、通院保障には保険会社ごとに給付の条件が定められており、通院をすれば必ず給付金を受取れるというわけではありません。通院保障が必要かどうかを考える際には、貯蓄や入院・通院にかかる費用、他に加入している保険の保障内容等を把握した上で、検討することが大切です。

※出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf

通院保障の給付金が支払われる条件と金額

医療保険の通院保障には、給付条件や日数等が定められています。通院保障を検討する際には、どのような場合にいくら給付金を受取れるのか、しっかりと確認しておきましょう。

保障対象となる通院

通院保障の対象になるのは、医療保険の主契約で給付金が支払われる入院をした後の通院です。保険商品によっては入院前の通院も対象になることもありますが、いずれにしても、その入院の原因である病気・ケガの治療のための通院であることが条件となります。風邪や腹痛等、入院と関係なく医療機関を受診した場合は、保障対象になりません。また、保障対象とされるのは医師の診療を受けるための通院であり、治療を目的としない検査や薬の受取り等は原則として該当しません。

支払い期間や日数

通院保障の対象となる期間や、給付金の支払い日数は、保険商品ごとに定められています。入院の原因である病気・ケガの治療のための通院であっても、無期限、無制限に保障されるわけではないので注意が必要です。例えば「1回の入院につき、退院後120日以内の通院で、保障限度は最大30日間(入院が複数回あった場合は通算約1,000日)」等、保険商品によって決められた期間や日数があるので、あらかじめ確認しておきましょう。

給付金額

通院保障で受取れる給付金の額は、多くの場合、「通院給付金日額×通院日数」で計算され、1日あたりの給付金額は保険商品やプランによって異なります。例えば、通院給付金日額が5,000円で、5日間通院したとすると、5,000円×5日で2万5,000円の給付金を受取れます。保険商品によって設定金額等が異なるため、保障内容をしっかり確認するようにしましょう。

通院保障以外に通院費用をまかなえる保障

通院費用の負担をカバーするには、医療保険に付帯する通院保障以外にも、いくつかの方法があります。病気やケガによる通院の費用に備えたい場合は、次のような方法についても検討してみましょう。

医療保険の入院一時金

医療保険のなかには、1日あたりの入院給付金とは別に、入院一時金としてまとまった金額を受取れる商品があります。入院一時金は、入院時の差額ベッド代や保険適用外の治療費等にあてられることが多いものの、使い道が決められているわけではありません。退院後に通院での治療が必要になった時に、入院一時金を通院費用にあてることも可能です。入院一時金は、入院日数にかかわらず支払われるため、短期間の入院や日帰り入院でも契約時に定めた金額を受取れます。通院費用を考慮した上で、入院一時金の金額を設定しておくのもひとつの方法です。

傷害保険

傷害保険は、日常生活でのケガによる入院や手術、死亡等のリスクに備える保険です。「急激・偶然・外来の事故(突発的に、たまたま、体の外部からの作用によって生じる事故)」によるケガで、入院や手術、通院等をすると、契約時に定めた金額の保険金が支払われます。

傷害保険が通院保障と違う点は、傷害保険は損害保険の一種で、通院保障は生命保険の一種である医療保険に付帯する保障ということです。傷害保険は通院保障と異なり、必ずしも入院を伴う通院ではなくても補償対象となるため、ケガによる通院治療だけで、保険金が支払われる可能性があります。また、商品によっては同居の家族が補償対象になるタイプもあるので、個人で加入するよりも保険料が割安になります。

ただし、傷害保険で備えられるのはケガのリスクだけで、病気については補償対象とならないため注意しましょう。

がん保険の通院保障

医療保険だけではなく、がん保険にも通院保障をつけられます。がんのリスクに手厚く備えたい場合は、がん保険の通院保障を付帯するのもよいでしょう。

がん保険の通院保障のなかには、入院の有無に関係なく通院給付金を受取れるものもあります。また、保険商品によっては、がん治療の入院後における所定の期間内の通院であれば、日数無制限で給付金が支払われる場合もあります。その他にもがん保険には、がんと診断された時に支給される診断給付金があり、通院費用にあてることも可能です。

がんの通院治療は、他の病気やケガに比べて長期化しやすいものです。最近では、仕事や日常生活を送りながら、通院で放射線治療等を続けるケースも増えています。がん治療に伴う経済的リスクに備えたい場合は、がん保険の通院保障についても検討してみてください。

特約を検討して自分に必要な保障を選ぼう

医療保険の通院保障は、入院を伴う病気やケガで通院した時の費用負担に備えられる特約です。入院日数の短期化と、通院回数の増加傾向により、「通院費用による負担に備えたい」と考える人も多いかもしれません。ただし、通院保障の内容や給付条件は、保険会社や保険商品によって異なるため、内容をしっかり把握した上で判断することが大切です。

病気やケガの通院費をカバーするには、通院保障の他にもいくつかの方法があるため、内容に迷ったら保険の専門家に確認するのがおすすめです。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問やお見積もりが、何度でも無料でご利用いただけます。医療保険の加入を検討する際は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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