女性はがん保険に加入すべき?
子宮頸がんや乳がんに備える保険の選び方

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がんは三大疾病のひとつで、一生涯でがんと診断される人も多い身近な病気といえます。特に、女性の場合は、乳がんをはじめとした女性特有のがんのリスクがあります。そのため、「女性はがん保険に加入したほうがいいのだろうか」「がん保険は本当に必要なのだろうか」等と悩む女性は多いかもしれません。がん保険への加入を検討する際には、自分に必要な保障をしっかりと把握することが大切です。

ここでは、女性にとってのがん保険の必要性や、がん保険の保障内容、女性ががん保険を選ぶ際のポイント等を解説します。

この記事のポイント

  • 女性が生涯のうちに何らかのがんと診断される確率は48.9%
  • 女性のがんでもっとも多いのは乳がんで、他にも子宮がんや卵巣がん等の女性特有のがんがある
  • がん保険は、乳がんや子宮がんといった女性特有のがんも保障対象
  • 女性のがん保険の加入率は、ライフステージが変化しやすい30代以降から高くなる

女性にとって、がん保険は必要?

厚生労働省の「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によれば、がんは日本人の病気による死亡原因としてもっとも多く、特に女性の場合は女性特有のがんのリスクもあるため、とても身近な病気といえます。がんになると、治療費がかかるだけではなく、治療のために一定期間仕事を休んだり、時には退職を余儀なくされたりする場合もあります。こうしたがんのリスクに備えるなら、がん保険への加入がおすすめです。

がん保険とは、その名のとおり、がんの保障に特化した保険のことです。がん保険の保障対象は、がんの部位や種類を問わないため、乳がんや子宮がんといった女性特有のがんも含まれます。がん保険のなかには、乳がんや子宮がん等、女性特有のがんに対して手厚い保障が用意されている保険商品もあります。

※出典:厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」P.10、P.11
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/gaikyouR5.pdf

女性のがんの罹患率

国立研究開発法人国立がん研究センターの「最新がん統計」の2020年のデータによると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性62.1%、女性48.9%です。全体的に見ると、女性よりも男性のほうががん罹患率は高いものの、10代後半から50代にかけては、女性のがん罹患率が男性を上回ります。

特に、女性のがん罹患率が男性を大きく上回るのが30~40代です。これは、この時期、乳がんや子宮がんといった女性特有のがんのリスクが大きく増加するためです。

■がん罹患率(人口10万対)の年齢による変化(全がん)

がん罹患率(人口10万対)の年齢による変化(全がん)

※出典:「「がん統計」(全国がん登録)」(国立がん研究センターがん情報サービス)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html)を基に作成

なお、かつては「死に至る病気」というイメージのあったがんですが、近年では医療技術の進歩等により、早期に発見して適切な治療を行えば、治癒が期待できるケースも少なくありません。

※出典:国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

女性特有のがんの種類

女性特有のがんには、乳がん、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)、卵巣がん等が挙げられます。女性のがん罹患数を部位別に見ると、以下の表のとおり、多いものから順に、乳房、大腸、肺、胃、子宮です。

■がん罹患数の順位(2020年)

総数男性女性
1位大腸前立腺乳房
2位大腸大腸
3位
4位乳房
5位前立腺肝臓子宮

※出典:「最新がん統計」(国立がん研究センター がん情報サービス)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)を基に作成

女性特有のがん罹患率を年代ごとに見ていきましょう。乳がんは、30代から急増し、40代後半でピークを迎えた後、60代後半まで微増し、70代から減少します。また、子宮がんは、20代後半から増加傾向にあり、50代後半でピークを迎えた後、ゆるやかに減少します。

なお、大腸がん、肺がん、胃がんといった一般的ながんの場合は、50代から増加が見られ、90代まで継続して増加傾向です。

■女性の年齢階級別がん罹患率(2020年)

女性の年齢階級別がん罹患率(2020年)

※出典:「がん統計」(全国がん登録)」(国立がん研究センターがん情報サービス)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html)を基に作成

つまり、女性にとって、がんは30代ぐらいからリスクが高まり、以降どの年代においてもリスクが高い病気であるといえます。

がん保険で受取れる給付金

がん保険には、がんと診断された時や、がんの治療のために手術や入院をした時等に受取れる給付金があります。また、女性特有のがんに対する保障として、乳がん治療のために乳房を切除した後の乳房再建術のような手術を受けた際に、まとまった給付金を受取れる場合もあります。

がん保険で受取れる給付金の種類は、主に以下のとおりです。

診断給付金

診断給付金は、がんと診断された時に受取ることができる給付金や一時金です。保険商品によって、保険期間を通じて1回だけ受取れるものと、複数回(1~2年に1回等)受取れるものがあります。受取った給付金の使い道は自由なので、がんの治療費用の他、がんの治療中の生活費にあてることも可能です。

治療給付金(放射線・抗がん剤・ホルモン剤治療等)

治療給付金は、放射線治療や抗がん剤治療、ホルモン剤治療を受けた際に受取れる給付金です。保険商品によっては、公的医療保険が適用されない抗がん剤治療を受けた場合でも給付金を受取ることができます。

入院給付金

入院給付金は、がんの治療のために入院した際に、入院日数に応じて受取れる給付金です。多くの場合、入院1回あたりの支払限度日数や通算支払日数は無制限です。

手術給付金

手術給付金は、がんのために所定の手術をした際に受取れる給付金です。給付金額は、手術の種類に応じて入院給付金日額の10・20・40倍等と決まっています。基本的には手術回数に上限はありません。

通院給付金

通院給付金は、がんの治療のために通院した場合に受取れる給付金です。保険商品によっては、給付金の支払日数に制限が設けられていることもあります。

なお、医療保険の通院給付金は、一般的に入院を伴う通院のみが保障の対象となっていますが、がん保険の場合は、入院を伴わない通院であっても給付金を受取れるものが多くあります。

がん保険の通院保障については、以下の記事をご覧ください。
がん保険の通院保障はいらない?検討する際のポイントを解説

先進医療給付金

先進医療給付金は、がんの治療のために所定の先進医療を受けた際に、自己負担した技術料と同額を受取れる給付金です。先進医療の技術料は高額になることが多く、場合によっては数百万円にものぼる可能性があります。しかし、先進医療の技術料は公的医療保険の対象外なので、全額が自己負担となり、高額療養費制度も利用できません。

先進医療給付金を受取れるがん保険に加入していれば、経済的負担を軽減しつつ治療の選択肢を広げることができるでしょう。ただし、治療の時点で先進医療に該当していなければ、給付金を受取ることはできません。

先進医療については、以下の記事をご覧ください。
先進医療とは?種類や費用、先進医療特約について解説

自由診療給付金

自由診療給付金は、がん治療に関連する自由診療を受けた際に受取れる給付金です。先進医療給付金と似ていますが、対象となる治療法が異なります。

自由診療とは、公的医療保険が適用されない診療のことです。日本では、公的医療保険適用の保険診療と自由診療の併用(混合診療)は認められていません。そのため、自由診療を受ける場合は、本来なら保険診療となる検査や投薬等も含めて、すべての費用が全額自己負担となります。

先進医療も自由診療のひとつですが、例外として混合診療が認められており、保険診療と併用した場合は、先進医療の技術料のみが全額自己負担となります。先進医療給付金は、この自己負担となる先進医療の費用を保障するものです。

自由診療給付金の保障対象は、未承認・適応外薬の抗がん剤治療や未承認の免疫細胞療法といったものがあり、保険商品によって異なります。なかには、先進医療と自由診療を合わせてカバーできる保険商品もあります。

乳房再建給付金

乳房再建給付金は、乳がんの手術によって乳房を切除し、乳房再建術を受けた時に、手術給付金とは別に受取れる給付金です。乳房再建術は基本的に公的医療保険が適用されますが、3割負担でも数十万円程度の費用がかかる可能性があります。高額療養費制度を利用したとしても、まとまった費用負担が発生する可能性が高いといえます。女性にとって乳房切除は、外見的にも精神的にも非常に影響の大きい手術です。

乳房再建給付金を受取れるがん保険なら、経済的負担が軽減され、乳房再建を前向きに考えやすくなるでしょう。

女性は何歳でがん保険に加入している?

公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、民間の生命保険会社やJA(農協)、県民共済・生協等で取扱っているがん保険・がん特約の加入率は、以下の表のとおりです。

■がん保険・がん特約の加入率(性・年齢別)

年齢男性女性
20代14.0%21.9%
30代42.9%46.4%
40代46.4%50.6%
50代45.5%49.2%
60代45.0%38.2%

※出典:「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」(公益財団法人 生命保険文化センター)P.77
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf)を基に作成

上の表からは、20~50代の幅広い年代において、男性よりも女性のほうが、がん保険・がん特約への加入率が高いことがわかります。

また、年代別に見ると、がん保険・がん特約に加入する女性は、30代以降の割合が特に高くなっています。女性にとって30代は、がんのリスクが高まるだけではなく、結婚や出産、マイホーム購入、転職等、さまざまなライフステージの変化が生じやすい年代であることから、生活環境が変わるとともに、自身の健康に対する意識も高まっていると考えられるでしょう。

女性ががん保険を選ぶ際のポイント

女性ががん保険を選ぶ際には、確認しておきたいいくつかのポイントがあります。以下のポイントを押さえておきましょう。

保障内容を確認する

がん保険を選ぶ時には、保障内容を確認することが大切です。がん保険の給付金にはさまざまな種類があります。また、保険商品によって中心となる保障内容や、給付金の支払条件は異なります。

女性特有のがんに対する保障を手厚くできる特約を付加できる保険商品の場合は、まずは主契約に含まれている保障内容を確認し、必要に応じて特約を検討するといいでしょう。

がんの診断を受けた時の保障を決める

診断給付金の支払回数は、1回のみ、複数回、無制限等、保険商品によって異なります。また、診断給付金を複数回、または無制限で受取れる場合は、所定の条件が設けられていることが一般的です。がんは再発や転移で何度も発症するリスクがある病気です。そのようなリスクに備える場合は、診断給付金が複数回受取れるがん保険を選ぶといいでしょう。

ただし、基本的には、保障が手厚くなるほど保険料の負担も大きくなります。保険料の払込みは月々の家計にも影響するため、無理のない範囲で決めることをおすすめします。

治療に対する保障を決める

がんの治療は、「手術療法」「化学療法」「放射線療法」の3種類が基本となります。どの治療方法でも対応できるように、これらの治療が保障対象となっているかどうかを確認しておきましょう。治療の選択肢の幅を広げたい場合は、先進医療特約を付加するのもひとつの方法です。

入院・通院の保障を決める

がん保険を選ぶ時は、入院保障や通院保障の内容についても確認が必要です。特に近年では、入院や手術ではなく、通院で放射線治療や抗がん剤治療を行うケースも増えています。加えて、がんの治療は一般的な病気やケガより長引きやすく、長期にわたる通院治療が必要になる可能性もあります。

例えば、乳がんの場合、がんそのものを手術や放射線治療、抗がん剤治療等で取り除いた後も、再発防止のために、一定期間の通院・経過観察が必要です。一般的に、ホルモン療法であれば5~10年かけて治療を行うことが多いでしょう。

そのため、入院治療だけでなく、通院治療にも対応できる治療給付金の有無や、その受取条件等についても、しっかりと確認することをおすすめします。

保険期間を決める

がん保険は、保険期間によって、終身型と定期型の大きく2種類に分けられます。終身型のがん保険は、保障が一生涯続き、契約内容を変更しない限り保険料は変わりません。一方、定期型は保障を受けられる期間があらかじめ決められており、保険期間満了後は保障も終了します。定期型のがん保険で継続して保障を受けたい場合は更新手続きが必要ですが、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、基本的には更新のたびに保険料が高くなります。

一生涯にわたって保障が必要なのか、特定の期間のみ保障を必要とするのかを考え、自分に合ったタイプを選びましょう。

がん保険の終身型と定期型の違いについては、以下の記事をご覧ください。
がん保険の終身型と定期型の違いは?選ぶポイントをわかりやすく解説

がん保険で女性特有のがんにも備えよう

女性には、一般的ながんに加えて、乳がんや子宮がん、卵巣がんといった女性特有のがんのリスクがあります。がんは「高齢の人が罹患しやすい病気」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、乳がんや子宮がんは若い年代でも罹患率が高い傾向があります。がんになった時にしっかりと治療に専念するためにも、健康なうちにがん保険に加入して、リスクに備えておくことが大切です。

女性ががん保険を選ぶ際には、保障内容や保障期間、女性特有のがんに対する備え等、確認したいポイントが多くあります。保険選びに迷った時には、保険の専門家に相談するのがおすすめです。

「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。また、女性のスタッフの指名も可能です。がん保険に関する疑問や悩みがある場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

  • 本コラムは、2025年4月現在の社会保障制度の概要についての説明です。詳細につきましては、所轄の年金事務所等にあわせてご確認ください。

女性ががん保険への加入を検討する際によくある質問

女性ががん保険への加入を検討する際に、よく聞かれる疑問をまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。

女性もがん保険は必要ですか?
女性にもがん保険は必要といえます。がんは、病気による死亡原因のうち、もっとも多い割合を占めています。女性特有のがんのリスクもある女性にとって、がんは身近な病気のひとつです。なお、がん保険のなかには、女性特有のがんに対して手厚い保障が用意されている保険商品もあります。
女性特有のがんにはどのような種類がありますか?
女性特有のがんとして挙げられるのは、乳がん、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)、卵巣がん等です。また、女性のがん罹患数を部位別に見ると、多いものから順に、乳房、大腸、肺、胃、子宮という調査結果が出ています。なお、乳がんは30代から急激に罹患率が増加します。
女性向けのがん保険ではどのような給付金が受取れますか?
がん保険の主な給付金の種類には、診断給付金、治療給付金、入院給付金、手術給付金、通院給付金、先進医療給付金、自由診療給付金等があります。女性向けのがん保険の場合、女性特有のがんに対して給付金が増額されたり、乳がんの手術で乳房を切除した後の乳房再建術を受けた際に手術給付金とは別に乳房再建給付金を受取れたりすることがあります。
女性ががん保険を選ぶ際の確認点はありますか?
がん保険を選ぶ際には、保障内容や保障期間を確認する必要があります。診断給付金の支払回数、保障対象となる治療、入院保障や通院保障の内容についても、しっかりと確認しましょう。女性特有のがんに対する保障を手厚くできる特約を付加できる場合もあるため、まずは主契約に含まれている保障内容を確認し、必要に応じて特約を検討することが大切です。

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子さん
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