旧NISAから新NISAへの移行手続きは必要?
切り替える時の注意点も解説

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2024年1月にNISA制度が改正しれ、「新NISA」として生まれ変わり、投資がますます注目されています。NISA口座開設数は2024年3月時点で1,456万件にのぼり、新規口座開設件数も前年の同時期と比べると3.2倍になりました。

出典:日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況(証券会社10社・2024年3月末時点)」p3
https://www.jsda.or.jp/houdou/kaiken/files/240417shiryou1-1.pdf

新NISAが注目を集める一方、旧NISAから保有している商品について、どのようにすべきか迷っている人もいるのではないでしょうか。この記事では、新NISAと旧NISAの違いを確認し、旧NISAから新NISAへの切り替え方法や注意点を解説します。

そもそも新NISAってどういう制度?

NISA制度は、投資初心者でも少額から始めやすい制度として、2014年1月にスタートしました。NISAには次の2つの特徴があります。

  • 少額から投資できる
  • 運用益が非課税になる

通常、株式や投資信託等の商品を購入し、売却して得た利益や分配金には20.315%の税金がかかります。例えば、課税口座で10万円の株式を購入し15万円で売却した場合、利益が出た5万円に対して約1万円の税金が差し引かれます。NISA口座で売買すれば、5万円の利益がそのまま手元に残るのです。

2024年1月には「新NISA」制度が始まり、次の2つの投資枠が併用できるようになりました。

  • つみたて投資枠
  • 成長投資枠

つみたて投資枠は、旧NISAのつみたてNISAを引き継ぎ、金融庁の基準を満たした投資信託に投資できます。成長投資枠は一般NISAを引き継ぎ、株式や投資信託、ETF等の商品を購入可能です。

新NISAに関する情報は、「新NISAとは?旧NISAとの違いや活用の注意点について解説」でもまとめています。

旧NISAからの主な変更点

旧NISAから、さらに長期の分散投資をしやすい制度へ生まれ変わった新NISA。旧NISAとの変更点を改めて確認してみましょう。

旧NISA新NISA
つみたてNISA一般NISAつみたて投資枠成長投資枠
口座開設期間2023年まで2023年まで恒久化
年間投資枠40万円120万円120万円240万円
非課税保有限度額800万円600万円合わせて1800万円
再利用も可能
非課税保有期間20年間5年間無期限無期限
投資枠の利用どちらか選んで利用併用可能

出典:金融庁「NISAについて NISAを知る」をもとに作成
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html

出典:金融庁「新しいNISA概要」をもとに作成
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/summary.pdf

旧NISAと新NISAの大きな変更点は次の5つです。

  • 口座開設期間の恒久化
  • 年間投資枠の拡大
  • 非課税保有限度額の拡大
  • 非課税保有期間が無期限に
  • つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能に

旧NISAでは、つみたてNISAと一般NISAのいずれか選択制でした。つみたて投資枠と成長投資枠の併用ができるようになったことで、投資信託を積立購入しながら、同時に株式やETF等を機動的に売買することが可能になりました。また、非課税で投資できる上限額が増えたことはもちろん、非課税保有期間が無期限となったことで、より長期運用しやすい制度となっています。

旧NISAから新NISAに移行する際の注意点

続いて旧NISAで保有している商品を、新NISAへの移行を検討する場合の方法や注意点を解説します。

新NISAは旧NISAと切り分けて扱われる

新NISAと旧NISAは、同じNISA制度ですが別物の制度です。旧NISAで購入した株式や投資信託等の金融商品は、新NISAに移行できません。そのため、旧一般NISAで購入した株式は購入して5年経過後に売却するか、課税口座へ移管する必要があります。

新NISAへの切り替えの手続きは必要ない

旧NISAの口座を保有していた人は、つみたてNISAか一般NISAかによらず、利用していた金融機関で自動的に新NISA口座が開設されるため、新たに口座を開設する必要はありません。

ただし、利用する金融機関を変更したい場合は自身で手続きする必要があります。なお金融機関を変更する場合は、前年の10月1日から当年9月末までに手続きを完了させなければなりません。

旧NISAでの積立設定は自動的に引き継がれる

旧NISAで利用していた金融機関で継続して新NISAを始める場合は、新NISA口座が自動的に開設されます。また、旧NISAで行っていた積立設定も自動的に引き継がれます。

そのため、新NISAでこれまでと違う商品を購入したい場合や設定金額を変更したい場合は、改めて設定し直しましょう。

旧NISAから新NISAへのロールオーバーはできない

前述のとおり、旧NISAと新NISAでは適用されるルールが違います。そのため、旧NISAで購入した商品を新NISA口座にロールオーバーはできません。旧NISAで5年が経過したあとは、課税口座に移管するか売却するかを選択しましょう。

なお新NISAでは購入した金融商品について、無期限で非課税保有できます。つまり、新NISAではそもそもロールオーバー自体が不要となりました。

新NISAのロールオーバーについて、詳しくは「新NISAではロールオーバーはどうなる?旧NISAの運用方法についても解説」をご覧ください。

旧NISAで保有している商品を新NISAへ移行したい場合は?

旧NISAで保有している商品を新NISAへ移行したい場合は、一度売却し、もう一度同じ商品を購入する必要があります。前述のとおり、旧NISAから新NISAへ直接移管はできないためです。

旧NISA内の商品の売却と、新NISAでの購入を同じタイミングで行えば、大きく価額に差が出る可能性は低いでしょう。ただし、売却金額は数営業日後の受け渡しとなるため、一時的に購入資金を別で用意する必要があります。

旧NISAで保有している商品の運用はどうしたらよい?

旧NISAで保有している商品の運用方法は次の2つです。

  • 現在のまま運用する
  • 売却して新NISAで商品を購入する

それぞれの方法や特徴を順にみていきましょう。

現在のまま運用する

1つ目は旧NISA口座で、現在のまま運用を続ける方法です。購入時よりも株価や価額が下がっている時に回復を待ちたい場合や、新NISA枠を使い切りそうで新たな非課税投資を行えない時に検討の余地があります。

旧NISAで購入した商品は一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間の非課税投資期間があります。非課税投資期間内ならそのまま非課税で運用し続けられ、値上がりしたタイミングや資金が必要なタイミング等、非課税投資期間内で自分の好きな時に売却が可能です。

また、非課税投資期間が過ぎて課税口座に移行する場合、課税口座に移管した時の時価が新しい取得価額となります。

例えば当初100万円で購入した株式が課税口座に移管するタイミングで120万円になっている場合、取得価額は120万円です。売却時に150万円になっていた場合は、120万円で取得して150万円になったと考えます。そのため利益すべてに課税されるのではなく、30万円分のみ課税されます。

売却して新NISAの商品を購入する

将来の値上がりを見越して早い段階で新NISA口座に資産を移したい人や、将来的に新NISA枠を使い切れる見込みがあり、新NISAに資産を優先的に移し替えたい人は旧NISAで保有している商品の売却もひとつの方法です。新NISAの枠を持て余さず済むように考えましょう。

なお旧NISAで運用している商品を非課税投資期間内に売却すれば、売却益には課税されません。また、将来的に非課税運用期間の終了が迫ってきた時も、運用商品をどのようにすべきか考える必要がなくなります。

旧NISAと新NISAの運用方法は別々に考えよう

新NISAでは、口座開設期間や非課税保有期間が恒久化し、より長期の資産運用ができるようになりました。さらに、非課税投資額がこれまでより増え、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用できるようになったことも大きな変化です。

旧NISAと新NISAは併用できるため、これまで旧NISAで運用してきた商品をそのまま非課税保有期間まで運用し続けることで、非課税投資枠をより多く活用できます。旧NISAから新NISAに自動的に移管したり、旧NISAで保有する商品に新NISAのルールが適用されることはありません。旧NISAと新NISAは別々のものと考えて、旧NISAの非課税保有期間の期限までに売却するか、課税口座に移すか検討しましょう。

NISAについてどうすべきか迷っている時や、どのような手続きが必要かわからない時は、専門家に相談してみるのがおすすめです。

「ほけんの窓口」では、資産形成の専門家が投資やNISAの基礎知識から丁寧にわかりやすく説明します。お金の疑問や不安を解消したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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