学資保険の代わりにNISAを利用した方がいい?
メリットや注意点を解説
学資保険の代わりにNISAを利用した方がいい?メリットや注意点を解説

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学資保険は教育費準備に特化した貯蓄型保険、NISAは非課税で投資できる制度です。いずれも、教育費を用意するために有効活用できます。

ただし、それぞれ特徴が異なるため注意が必要です。学資保険はリスクが小さい一方で、準備できる資金はそれほど大きく増えません。NISAは効率よく資産を増やせる可能性がある一方で、元本割れのリスクを伴うことが特徴です。

今回は、学資保険・NISAのそれぞれで教育費を用意するメリットや注意点を解説します。

学資保険とNISAの違い

学資保険とNISAは、ともに教育費を用意するために利用できます。

まずは、それぞれの基本的な仕組みから見ていきましょう。

学資保険

学資保険は、子どもの教育費を準備するための貯蓄型保険です。入学や進学に合わせて満期保険金を受取るタイプや、数年にわたって毎年祝金を受取るタイプがあります。また、「いくら保険料を払うか」「いつ、いくらの満期保険金を受取るのか」をある程度柔軟に設計できます。

子どもが高校や大学等に進学するタイミングに合わせて、教育費を用意できるように契約するのが一般的です。計画的かつ安全に教育費を用意する上で、代表的な手段のひとつです。

NISA

NISAは「少額投資非課税制度」の略称です。2024年には制度が改正され、年間360万円まで、総枠1,800万円まで非課税で投資できるようになりました。

NISAの特徴は、投資で得られる売却益や配当金が非課税になる点です。通常の投資では、売却益や配当金に対して20.315%の税金が課されることを考えると、有利な条件で投資できることがわかります。

学資保険で教育費を準備するメリット

学資保険は安全性が高く、途中で解約しない限り、契約内容に基づいた満期保険金を受取れるメリットがあります。

メリットの詳細を確認していきましょう。

資金計画を立てやすい

学資保険は、契約時に定められた保険料を定期的に積み立てます。学資保険は払込期間や満期保険金(祝金)を受取るタイミングが決まっており、毎月(毎年)の保険料が明確で家計管理がしやすいメリットがあります。

また、途中で解約せず、保険会社が破綻しない限りは、契約内容どおりに保険金を受取れます。必要な時期に合わせて教育費を準備できるため、長期的な資金計画が立てやすくなります。

生命保険料控除が活用できる

学資保険は生命保険であるため、生命保険料控除が活用できます。所得税は最大で4万円、住民税は最大で2.8万円(新契約の場合)の所得控除を受けられます。

税制優遇を受けながら教育費を計画的に準備できる点は、学資保険ならではのメリットです。

万が一の時に保険料が免除される保険が多い

多くの学資保険には、契約者に万が一のことがあった際に以後の保険料の払い込みが免除される特約が付帯されています(保険料払込免除特約)。保険料が免除されても、契約時に定めた満期保険金や祝金は予定通り受取れます。

一定の死亡保障があり、万が一の際でも子どもの教育費を確保できる点は安心感につながるでしょう。

学資保険で教育費を準備するデメリット

学資保険にはメリットだけでなくデメリットもあります。デメリットの内容も理解した上で、自分に適しているかどうかを確認しましょう。

加入期間や資金の受取時期が限定される

学資保険の商品によっては、加入期間や資金の受取時期に制限が設けられています。例えば、加入に際して「子どもの年齢が○歳以下」「契約者の年齢が○歳以下」のような制限が設けられていることがあります。

また、学資保険によっては満期保険金や祝金を受取れるタイミングが決まっており、自分が希望しているタイミングで受取れるとは限りません。

契約する際には、事前に加入条件や保険金の受取条件等を確認しましょう。

受取る資金は課税対象となる可能性がある

学資保険の保険金を受取る時、税金が課せられる可能性があります。例えば、祝金がないタイプの学資保険の場合、受取る満期保険金は「一時所得」として取り扱われ、受取払い込んだ保険料の総額に対して50万円以上の利益があると、課税の対象になる可能性があります(※)。

(※)懸賞の賞金品や競馬・競輪の払戻金など他の一時所得がある場合は、すべての一時所得を合算した金額から特別控除額(50万円)を差し引きます。

昨今の運用状況下では、受取る保険金が「払い込んだ保険料+50万円」を上回るケースはほとんどなく、学資保険の満期保険金を受取る時に税金は発生しないのが一般的ですが、他の一時所得の有無によっては課税対象として税金の計算に含める必要があることは知っておくといいでしょう。

途中解約した場合は元本割れする可能性が高い

多くの場合、契約時に定めた保険料払込期間よりも前に解約すると、受取る解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る「元本割れ」が発生します。

また、解約に伴って保障は消滅します。契約時に定めたタイミングで満期保険金や祝金を受取れなくなる上に、契約者の万が一に備える保障もなくなる点には注意しましょう。

NISAで教育費を準備するメリット

NISAは運用益が非課税になる税制優遇を受けながら、通常よりも有利な条件で投資できます。

NISAで教育費を準備するメリットを確認しましょう。

好きなタイミングで現金化できる

NISAで運用している資産は、いつでも自由に引き出せます。手続きをすれば、数日~1週間程度で現金化できるため、さまざまな教育費のニーズに対応しやすいでしょう。

例えば、想定外に中学受験をすることになっても柔軟に引き出せます。また、資金の使途は自由なので、習い事や予備校の費用等の支出に充てることも可能です。

運用益を非課税で受取れる

NISAは運用益が非課税になるメリットがあります。例えば、通常の投資では100万円の値上がり益が出た時に売却すると、約20万円が税金で差し引かれます。つまり、最終的に手元へ残せる利益は約80万円です。

しかし、NISAで運用している資産は100万円の値上がり益をそのまま受取れます。通常の投資よりも約20%分有利に運用できる点は、NISAの魅力です。

積立金額を変更できる

NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があります。つみたて投資枠は自分で決めた金額を着実に積み立てる仕組みで、途中で積立金額を変更できます。

一時的に投資に回すお金を減らしたい時は積立金額を減らし、逆に、投資余力が生まれたら投資に回すお金を増やすことができます。

家計の都合にあわせて柔軟に積立金額を変更できるため、無理なく資産形成を行えます。

NISAで教育費を準備するデメリット

NISAのメリットを得るには、そもそもリスクを考慮して運用しなければなりません。

メリットだけでなくデメリットを押さえた上で、教育費を準備する方法としてNISAが適しているかどうかを判断しましょう。

投資額への控除はない

NISAには、学資保険のような所得控除の仕組みはありません。運用益が非課税になるメリットはありますが、投資した金額が所得控除にならない点には注意が必要です。

教育費以外に使ってしまう可能性がある

NISAはいつでも引き出せるというメリットがある反面、教育費以外の用途で使ってしまう恐れがあります。実際に教育費が必要になるまでの間に、違う用途で引き出さないように注意しなければなりません。

柔軟に利用できるメリットがある一方で、利用者自身が計画的にお金を管理する必要性がある点は押さえておきましょう。

元本割れのリスクがある

投資には元本割れのリスクがあります。いざ教育費を引き出すタイミングで運用状況が悪いと、元本割れを受け入れた上で資金を引き出さざるを得ません。

また、投資には不確実性があるため、当初見込んでいた教育費を用意できないリスクもあります。

教育費の準備は学資保険とNISAのどちらがいい?

教育費の準備を進める手段として、学資保険とNISAはいずれも有用です。

学資保険とNISAで、それぞれ向いている人の特徴を解説します。

学資保険がおすすめの方

以下に該当する方は、学資保険が向いています。

  • 計画的に教育費を準備したい方
  • 万が一の保障が必要な方
  • 所得控除を活用したい方
  • 元本割れのリスクを軽減したい方

学資保険は、契約時に定められた保険料を定期的に支払いながら、計画的に教育費を積み立てます。将来必要な金額を計画的に準備できるため、貯蓄が苦手な方にも適しているでしょう。

契約者である親が死亡、または高度障害状態になった時は、以後の保険料支払いが免除されます。万が一の保障があると安心、という方も学資保険が向いています。

生命保険料控除を受けて税金を軽減したい方や、元本割れが起きるリスクを極力避けたい方も、学資保険が向いていると考えられます。

NISAがおすすめの方

以下に該当する方は、NISAが向いています。

  • リスクを許容できる方
  • 積極的にリターンを狙いたい方
  • 子どもが小さく長期の運用ができる方
  • 柔軟に資産運用したい方

NISAは株式や投資信託等の金融商品に投資するため、運用結果によっては元本割れのリスクがあります。投資に関するリスクを理解し、受け入れられるかどうかが、NISAを利用すべきかどうかの前提です。

一般的に、運用期間が長ければ長いほどリスクを軽減し、安定したリターンを期待できます。子どもが小さく長期的な運用期間を確保できる方は、NISAを活用して積極的に運用することで、効率よく教育費を用意できる可能性があります。

また、NISAは好きなタイミングでお金を引き出せる柔軟性が魅力です。子どもの進学時だけでなく、急な出費が必要になった場合でも対応できるため、柔軟性を重視したい方は向いているでしょう。

学資保険とNISAの併用も検討しよう

いずれか一方ではなく、学資保険とNISAを併用するという選択肢もあります。両者を併用すれば、学資保険の確実性と、NISAの積極的にリターンを狙えるメリットを両取りできます。

学資保険で必要な分の満期保険金を設定し、上乗せとなる部分はNISAで用意すれば、NISAの運用状況が悪くても進学に支障が出る事態を防げるでしょう。一方で、運用状況がよければ、当初の予定よりも教育費が必要になっても対応できます。

ただし、学資保険は途中解約すると元本割れする可能性が高く、NISAも運用期間が短いと元本割れのリスクが高まります。学資保険とNISAを併用する際には、長期的に保険料や積立投資額を支払えるかを慎重に考えましょう。

学資保険とNISAを教育費の準備に活用しよう

計画的かつリスクを負わずに教育費を用意したい方は学資保険、積極的にリターンを狙う余裕がある方はNISAを活用し、教育費を用意するといいでしょう。

それぞれメリットとデメリットがあるため、自分のリスク許容度や価値観に合わせて、あっているほうを選択しましょう。また、学資保険とNISAの併用も、ひとつの選択肢として検討する価値があります。

学資保険とNISAのバランスに迷ったときは、ぜひ「ほけんの窓口」にご相談ください。

ほけんの窓口グループ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第1020号
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ほまどNISA相談室 NISAの取扱いを一部の店舗ではじめました。

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