50代からNISAを始めるのは遅い?
メリットや注意点、積立金額の目安も紹介
50代からNISAを始めるのは遅い?メリットや注意点、積立金額の目安も紹介

最終更新日:

2024年に制度が改正されたNISAを活用すれば、中長期的に効率よく資産形成を進められます。

50代の方は、若い人に比べて経済的に余裕がある人が多い傾向にあり、将来に向けたお金の計画を立てやすい点が強みです。資産の寿命を延ばすためにも、50代からの投資を検討するとよいでしょう。

今回は、50代からNISAを始めるメリットや注意点、投資した時のシミュレーション等を解説します。

そもそもNISAとは?

NISA(少額投資非課税制度)制度そのものは、2014年に導入されました。従来の制度をさらに拡大し、利便性を向上させるため、2024年に改正されています。従来のNISA制度よりも非課税で投資できる上限額が増えたり、非課税で運用できる期間が無期限化されたり、より多くの方が利用しやすい制度となりました。

制度の概要は以下のとおりです。

つみたて投資枠成長投資枠
対象年齢18歳以上
口座開設期間恒久化(いつでも可能)
年間投資枠120万円240万円
非課税保有限度額(総枠)1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)
投資可能商品金融庁の基準を満たした投資信託・ETF上場株式・投資信託・ETF・REIT等
投資方法積立一括または積立

通常の投資では、運用益に対して20.315%の税金が発生します。しかし、NISAの非課税投資枠を活用すれば、運用益に課税されません。

実際に50代からNISAを始めている人はどのぐらい?

金融庁の資料によると、2024年9月末時点の50歳代のNISA口座開設数は481万864口座でした。NISA口座の総数は2,508万6,221口座であるため、50歳代が20%近い割合を占めています。[注1]

なお、50歳代以上のNISA口座開設数を総計すると1,200万口座を超えます。このデータからも、年齢に関係なく、NISAが投資に活用されていることがわかります。

[注1]
※出典:金融庁「NISA口座の利用状況調査(令和6年9月末時点)」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20241220.html

50代からNISAを始めるのが遅くない理由

結論として、50代からNISAを活用した投資を始めるのは遅くありません。

厚生労働省によると、2023年の日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳です。[注2]

つまり、平均寿命を考えると、現在50歳の方は30年ほどの運用期間を確保できます。NISAは18歳以上であれば利用できるため、年齢に関係なく、投資をする際は活用を検討するとよいでしょう。

50代からNISAを始めるのが遅くない理由を詳しく解説します。

[注2]
※出典:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life23/

資産運用が欠かせない時代だから

昨今は物価の上昇(インフレ)が続いており、資産運用による預貯金の目減り対策が重要視されています。
総務省によると、2024年12月分の物価上昇率は、前年同月比で3.6%でした(総合指数)。[注3]

物価の上昇が起こると、お金の実質的な価値は下がります。つまり、物価が1年で3.6%上昇すると、お金の実質的な価値が3.6%減少してしまうことになります。

物価の上昇に対抗するには、物価上昇率以上にお金を増やさなくてはなりません。2025年1月23~24日に開かれた金融政策決定会合で政策金利が0.5%に引き上げられましたが、それを踏まえても普通預金の金利は0.2%程度にとどまることが想定されます。保有している資産を守るためには、ある程度のリスクを取った上での資産運用が大切です。

[注3]
※出典:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)12月分(2025年1月24日公表)」
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html

お金を増やす効果が期待できるから

資産運用には、貯めるための「預貯金」と増やすための「投資」があります。預貯金だけでなく投資を取り入れると、運用によってお金を増やす効果が期待できるでしょう。

安定した収入があれば積立投資を継続しやすいため、長期間にわたって投資することができます。一般的に収入が増える50代は、投資に回すお金を用意しやすく、投資に適した年代です。

例えば、私たちの老後の年金受給に向けて年金保険料を預かる側の年金積立金管理運用独立行政法人は、リスクを抑えながらも安定的な年金支給ができるよう、預かった資産の増加を目指しています。2020年4月1日より適用した基本ポートフォリオでは、資産ごとの期待リターンを以下のように定めています。[注4]

  • 国内債券:0.7%
  • 外国債券:2.6%
  • 国内株式:5.6%
  • 外国株式:7.2%

期待リターンが大きい資産に投資すれば、効率よくお金を増やせる可能性があります。リスク許容度の範囲内で、国内株式や外国株式を運用資産に取り入れるとよいでしょう。

[注4]
※出典:年金積立金管理運用独立行政法人「基本ポートフォリオの変更について(1)」P9
https://www.gpif.go.jp/topics/Adoption%20of%20New%20Policy%20Portfolio_Jp_details.pdf

退職後も取り崩しながら運用可能だから

退職後、そのまま働かずにリタイアする場合は、安定した給与収入がなくなります。そのため、公的年金を受給しつつ、資産を取り崩しながら生活費をカバーするケースは多いでしょう。

資産を運用しながら取り崩せば、資産の減少スピードを抑え、資産の寿命を延ばせる可能性があります。つまり、経済的な安心感を得ながら老後生活を送れるかもしれません。

自分の寿命よりも先に資産の寿命が来てしまうと、生活が破綻してしまうリスクがあります。老後生活における経済的不安を軽減するためにも、退職後もNISAで運用を続けることは有意義です。

50代からNISAを始めるメリット

50代の方はリタイアを徐々に意識し始める年代である一方で、投資をしやすい年代でもあります。

50代からNISAを始めるメリットを、詳しく見ていきましょう。

資金を投資に回しやすい

家庭によって差があるとはいえ、一般的に50代は支出のピークが過ぎます。子どもの教育にかかる支出や住宅ローン残高が減少し、資金を投資に回す余力が生まれるでしょう。

総務省の資料のなかで、2023年の世帯主年齢別の貯蓄・負債現在高を見ると、40代は負債が超過しているのに対して、50代は貯蓄が超過しています。[注5]

貯蓄負債
40代1,208万円1,388万円
50代1,705万円715万円

つまり、資産がマイナスの状態からプラスに転じている50代は、経済的に余裕が生まれやすい年代です。

また、60歳以降になると退職金を受け取る人もいます。当面必要な生活費や近い将来に使う予定のお金は別途取り分けた上で、余剰資金をNISAで運用する方法も考えられるでしょう。

[注5]
※出典:総務省「家計調査報告貯蓄・負債編2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」P10
https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2023_gai.pdf

十分な運用期間がある

50代でも十分な運用期間を確保し、長期運用が可能です。例えば、現在55歳の方が65歳まで働くとしたら、10年間は給与を得つつ運用に回すお金を確保できるでしょう。

退職後に再就職せず、運用しながら取り崩す期間も含めると、運用期間はさらに長くなります。例えば、80歳まで運用すると仮定した場合、運用期間は25年です。

金融庁の資料によると、1989年以降、20年間にわたって国内外の株式と債券の積立投資を行うと、運用成果の平均年率の多くが2%~8%の間に収れんします。銀行の預金金利は0.1%~0.5%程度であると考えると、積立投資を行ったほうが、リスクを抑えつつ効率よく資産を増やせることがわかります。

ただし、この運用成績は、あくまでも過去の分析結果に過ぎません。今後も同じような運用成果を得られるとは限らない点に留意しましょう。

目標額や目的を設定しやすい

50代は定年退職や再雇用等のイベントを意識する年代で、目標となる貯蓄額や運用の目的を設定しやすいメリットがあります。「定年までに〇万円貯めておきたい」「退職金はいくらもらえる見込みだから、自助努力で〇万円増やす必要がある」等、具体的な数字に落とし込んで考えやすいでしょう。

今現在の貯蓄や今後の貯蓄予定額、受け取れる退職金額等を総合的に鑑みて、資金計画を立ててみてください。あわせて家計の収支状況を把握し、無理なく投資できる金額を考えることも大切です。

50代でNISAを始める場合の注意点

50代から投資を始めるメリットがある一方で、注意点もあります。NISAを活用した投資にはリスクが伴う点に注意し、自分に合ったペースで投資を実践しましょう。

投資目的を明確にする

資産運用する際には、まず投資目的を明確にします。50代の方は老後資金作りが主な目的になると考えられます。その上で、「◯◯するために、〇年度までに〇万円貯めたい」等、明確な投資目的と目標年齢(時期)、目標額を設定しましょう。

目的と目標があれば、過剰なリスクを取らず、安定的に運用できる可能性が高まります。大きなリスクを取った結果、大きな損失を被ってしまうと必要な老後資金を用意できないだけでなく、当面の生活にも悪影響が出るかもしれません。

大きな損失をカバーするのが難しい

50代は40代以下の人と比べると、運用期間が短くなります。大きな損失を被ってしまった場合に、カバーするのが難しい点はデメリットです。

投資を始めたあとに、リーマンショックやコロナショックのような相場の暴落が起こる可能性はゼロではありません。残りの運用期間で損失をカバーできるとは限らず、結果的に損をしてしまうリスクがあります。

NISAは運用益が非課税になる制度であるため、損失が出ている状態だとメリットを享受できません。そのため、50代の方がNISAを活用して投資を行う際は、適切なリスク許容度の範囲内で投資しましょう。

50代でNISAを始める場合のシミュレーション

実際に50代からNISAで投資を始めたら、どの程度のリターンが期待できるかシミュレーションしてみましょう。今回は、毎月5万円を投資して年利5%で運用した場合に、5年後・10年後でどの程度の資産を形成できるかをまとめました。

投資元本運用益投資元本+運用益
運用期間5年300万円40万円340万円
運用期間10年600万円176万円776万円
運用期間15年900万円436万円1,336万円

運用期間が長くなるほど運用益は増え、資産が効率よく増えていることがわかります。毎月積立投資をして運用に回るお金が増えると、さらに複利効果が大きくなり、運用効率は高まります。

ただし、上表はあくまでもシミュレーションです。毎年5%で運用できるとは限らない点に注意しましょう。

50代からでもNISAはスタートできる!

NISA制度は18歳以上の方であれば利用でき、実際に多くの50代の方が口座を開設しています。運用益が非課税になる税制優遇を活かして、効率よく資産を増やせる可能性があるため、有効活用しましょう。

昨今は平均寿命が延びており、また物価の上昇が起きている状況等を考慮すると、50代からでもNISAを活用して投資を始める意義は大きいです。自分のリスク許容度の範囲内で投資を行い、経済的な不安を軽減していきましょう。

NISAの口座開設や商品購入等に迷った場合は、お金の専門家への相談をおすすめします。「ほけんの窓口」では、NISAの疑問に答えるほまどNISA相談室をスタートしました。ぜひお近くの対応店舗にお問い合わせください。

ほけんの窓口グループ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第1020号
金融商品取引法に基づく表示

  • 個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
  • 本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客さまご自身でご判断いただきますようお願いいたします。
  • 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。
  • 本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願いいたします。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。
ほまどNISA相談室 NISAの取扱いを一部の店舗ではじめました。

関連記事

新着記事