住宅ローンの頭金はどれくらいが目安?
平均的な金額や用意するメリット・デメリットを解説
住宅ローンの頭金はどれくらいが目安?平均的な金額や用意するメリット・デメリットを解説

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住宅ローンの頭金は20%程度が一般的な目安といわれていますが、すべての人にあてはまるわけではありません。手元資金を多く残したい場合は頭金の割合を抑え、長期的な経済的負担を軽減したい場合は多くの頭金を用意するとよいでしょう。

なお、頭金の金額を決める際には物件の購入価格に対する割合だけでなく、今後のライフイベントも考える必要があります。

今回は、平均的な住宅ローンの頭金の割合や、頭金を支払うことによるメリット・デメリット等を解説します。

住宅ローンの頭金とは

住宅ローンの頭金とは、購入代金の一部を、ある程度まとまった金額で支払うことです。住宅を購入する時の「初期費用」ともいわれ、物件価格の一部を前もって支払い、借入額を減らす効果があります。

頭金が多いほど借入額が少なくなるため、返済負担を軽減できます。また、頭金を多く用意できると金融機関からの信用度が高まり、審査に通過する可能性を高められるメリットも期待できるでしょう。

ただし、頭金を用意しすぎると手元に残る預貯金が減るため、生活に支障が出てしまう恐れがあります。住宅ローンの契約を締結する際には、返済負担や手元の残したい金額等を踏まえて、用意すべき頭金を決めましょう。

住宅ローンの頭金の目安はどれくらい?

一般的に、住宅ローンの頭金の目安は物件価格の20%といわれています。ただし、購入する物件によって価格が異なるうえ、住宅ローン借入れ時には諸費用を別途支払う必要もあるため、資産状況に応じて自分に合った頭金の額を検討することが大切です。

ここでは、住宅ローンの利用者が物件購入時にどの程度の自己資金を用意したか、新築住宅と中古住宅の場合をそれぞれ紹介します。なお、この自己資金のなかには仲介手数料や保証料をはじめとした諸費用も含まれますが、頭金を用意する際のイメージづくりに役立ててみてください。

新築住宅の場合

国土交通省住宅局の「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によると、土地を購入した注文住宅新築世帯における自己資金の割合は29.0%となっております。[注1]

住宅金融支援機構が実施した、全期間固定金利の住宅ローン、フラット35利用者を対象にした「2023年度 フラット35利用者調査」によると、「注文住宅」を購入した時の自己資金割合は18.1%、「土地付注文住宅」を購入した時の自己資金割合は9.7%でした。土地を含めて購入する場合は借入額が大きくなるため、その分自己資金の割合が低くなっている、と考えられるでしょう。[注2]

なお、住宅ローンを契約する際に発生する諸費用の割合は、一般的に物件価格の3~7%程度といわれています。仮に自己資金割合を29%とすると、住宅購入費用に充てられる頭金の割合は22~26%程度となるでしょう。

[注1]※出典:国土交通省住宅局「令和5年度住宅市場動向調査報告書」p49
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001767858.pdf

[注2]※出典:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」p19,20
https://www.jhf.go.jp/files/400370694.pdf

中古住宅の場合

中古住宅は新築住宅よりも物件の価格が低くなるため、頭金の額が同じでも新築住宅に比べて自己資金割合は高い傾向にあります。物件によってばらつきはあるものの、10%〜40%程度がひとつの目安です。

国土交通省住宅局の「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によると、中古戸建住宅の自己資金割合は47.3%・中古集合住宅では47.9%でした。[注3]

なお、住宅金融支援機構の「2023年度 フラット35利用者調査」によると、中古戸建融資利用者の自己資金割合は8.7%・中古マンション融資利用者は17.4%でした。[注4]

中古物件といえども、比較的築浅の物件は価格が高く、築年数が経過するほど価格が低下します。そもそも物件の価格に幅が生まれやすいため、自己資金割合にも差が出ていると考えられるでしょう。

[注3]※出典:国土交通省住宅局「令和5年度住宅市場動向調査報告書」p49
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001767858.pdf

[注4]※出典:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」p23,24
https://www.jhf.go.jp/files/400370694.pdf

住宅ローンを組む際に頭金を支払うメリット

住宅ローンを組む際に、頭金を支払うメリットを見ていきましょう。

審査に通過しやすくなる

頭金を支払うと借入総額が少なくなり、返済負担を抑えられます。その結果、審査に通過しやすくなります。

金融機関からすると、融資する金額は少なくなれば月々の返済額が下がるため、頭金を用意できる人を「リスクが低い」と評価します。

また、頭金を用意できる人は計画的に貯蓄できる能力があることを示せるため、返済能力の高さを証明できるでしょう。

頭金を多く入れることで「担保割れ」のリスクを軽減することができるため、審査において有利に働きます。担保割れとは住宅ローンを借入れる際に担保に入れた物件の価値が借入残高を下回ることで、万が一、住宅ローンの返済ができなくなり金融機関が担保物件を売却しても未返済額を回収しきれない状態のことを示します。頭金を支払うことで、金融機関にとってのリスク軽減につながります。

月々の返済金額や金利を少なくできる

利息は借り入れた元本に対して付くため、借入総額を抑えられれば、月々の返済負担を軽減できます。月々の返済額だけでなく、支払う利息の総額も少なくなるため、長期的に経済的なメリットを得られるでしょう。

また、「フラット35」を利用する場合、住宅購入資金の10%以上の頭金を用意すると適用される金利が低くなります。金融機関によっては、頭金の割合が多い人に対して金利優遇を行うことがあるため、条件も確認しておきましょう。

返済期間を短くできる

頭金を入れて借入総額を抑えれば、返済期間を短縮することもできます。完済までの期間を短くできれば、心理的・精神的な負担が軽くなるメリットも期待できるでしょう。

退職前にローンを完済できれば、老後生活における住居費の負担を軽減できるため、安心につながります。

住宅ローンを組む際に頭金を支払うデメリット

頭金を支払うとさまざまなメリットがある一方で、デメリットがある点も押さえておきましょう。

一時的に預貯金が大きく減る

頭金は数百万円になることもあり、一時的に預貯金が大きく減ってしまいます。手元のお金が不十分になってしまうと、自分や家族の病気・ケガや親族の介護等、突発的にお金が必要になった時に対応できません。

当面の生活に支障が出たり、万が一の事態に対応できなかったりすることのないように気を付けましょう。先々必要となる資金を考慮すると、頭金を多く入れる代わりに頭金分の資金を資産運用に回す方法もあります。

住宅ローン控除の控除額が減る場合がある

一定の要件を満たすと、住宅ローン控除が適用され税制優遇が受けられます。住宅ローン控除とは、年末時点におけるローン残高の0.7%が最長で13年間、所得税や住民税から控除され住宅購入者を経済的に支援するための制度です。

しかし、頭金を多く用意すると借入額が減るため、受けられる住宅ローン控除も減少してしまう点に注意しましょう。

頭金なしでも住宅ローンの利用は可能?

昨今は、低金利や完済時年齢の引き上げ等を背景に、頭金を用意せずに住宅ローンを契約する「フルローン」のサービスも登場しています。金融機関の審査次第にはなるものの、頭金なしで住宅ローンを契約することも可能です。

頭金を用意せずに住宅を購入でき、若年層のような貯蓄が少ない人でも、住宅購入の機会が広がっています。そのため、将来的な収入増加が見込める若年層や、緊急資金として手元にお金を残しておきたい人にとって、頭金なしでの契約はひとつの選択肢となるでしょう。

頭金なしであれば、まとまったお金を用意する必要がないため、手元に預貯金を残せます。住宅ローン控除を最大限活用できる点も、頭金なしで契約するメリットです。

頭金を支払わない場合の注意点

頭金を支払わない場合は借入額が増加し、月々の返済額や総返済額が増えます。長期的に見ると、頭金ありの場合と比較して経済的な負担が重くなる点には注意しましょう。

また、頭金なしだと金融機関にとってリスクが高まるため、審査が厳しくなります。さらに、不動産価値が下落した場合は査定額よりも住宅ローンの残債が多い「担保割れ」の状態になり、「売りたくても売れない」という将来的なリスクを抱える点にも注意が必要です。

頭金の金額を決める際のポイント

頭金の金額を決める際には、「20%」を大まかな目安としつつ、ご自身の状況に合わせて調整するとよいでしょう。

以下で、頭金を考える際に押さえるべきポイントを解説します。

住宅購入後の諸費用についても考慮する

住宅を購入する際には、仲介手数料や保証料、登録免許税をはじめとした税金等が発生します。物件の購入費用だけでなく、さまざまな費用が発生する点に注意しましょう。

他にも、引越し費用や新生活を始めるために必要な家具・家電の購入費用も加味しなければなりません。さらに、注文住宅を立てる場合は追加費用が発生する可能性も織り込んでおきましょう。

今後に必要な資金への余力は残す

多くの頭金を用意すれば返済負担を軽減できるとはいえ、今後の生活に必要なお金まで頭金に充ててしまうのは問題です。個人のライフステージによって異なりますが、以下のようなライフイベントに対応するための費用は、別途お金を貯めておいたほうがよいでしょう。

  • 学費
  • 出産
  • 車の買い替え費用
  • 親の介護

発生が見込まれる費用をイメージし、今後の貯蓄計画を踏まえて頭金を決めましょう。

目安としては、少なくとも生活費6か月分の預貯金は生活防衛資金として残しておき、さまざまな資金ニーズに対応できるように備えると安心です。

頭金以外に住宅ローンの負担を減らす方法はある?

頭金を抑えて住宅ローンの契約を締結したあとでも、余裕があるタイミングで「繰り上げ返済」をすると返済負担を軽減できます。繰り上げ返済した分は全額が元金に充当されるため、借入金残高が減少し支払う利息を軽減できます。

なお、繰り上げ返済には2つのタイプがあります。

期間短縮型

月々の返済額は変わらず、返済額に応じて借入期間を短縮する方法

返済額軽減型

借入期間は変わらず、月々の返済額を少なくする方法

「完済までの期間を短縮したいのか」「月々の返済額を抑えたいのか」によって、どちらかのタイプを選びましょう。繰り上げ返済をする時でも、今後のライフイベントや見込まれる支出等をシミュレーションすることが大切です。

住宅ローンの頭金は今後のライフイベントも考慮して決めよう

住宅ローンは、ライフプランにかかわる重要な契約のひとつです。一般的に借りる金額は数千万円にもなるため、慎重に判断する必要があります。

契約時に支払う頭金が多いほど、返済負担を軽減できます。ただし、手元の預貯金が減少してしまうため、今後のライフイベントを考慮した上で決めることが大切です。

住宅ローンの契約や用意すべき頭金の金額で迷っている場合は、専門家に相談するのもおすすめです。「ほけんの窓口」では、住宅ローンに関する基礎知識をお伝えしたり、ライフプラン表を作成したりしてお金の計画を見える化します。何度でも無料でご利用いただけるため、お気軽にお問い合わせください。

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